三連休初日の昨日、早起きをして池袋へと向かった。小説「池袋ウエストゲートパーク」シリーズは大好きな自分なれど、池袋に足を運んだのは恐らく数回しか無い。10数年振りに訪れたのが4年前の事で、其の時は「ウルトラマンフェスティバル2007」なるイヴェントを見る為だった。今回、茹だる様な暑さの中を池袋へと向かわせたのは、“憧れの人”に会えるからだった。
当ブログでも何度か触れているが、幼少時の自分は「ウルトラシリーズ」よりも「仮面ライダー・シリーズ」の方に夢中になっていた。仮面ライダー・シリーズでは「仮面ライダー」(動画)から始まり、「仮面ライダーストロンガー」の途中位迄をリアル・タイムで見ていたけれど、断トツに好きだったのは第2弾の「仮面ライダーV3」(動画)。仮面ライダーV3の姿形の斬新さ、ストーリーの面白さ、アクションの派手さ等々、其の魅力は幾つも挙げられるが、何と言っても子供だった自分を魅了したのは、仮面ライダーV3の“人間体”で在り、主人公の風見史郎の格好良さだった。風見史郎役を演じていた宮内洋氏はイケメンで、尚且つ運動神経抜群。「あんな兄貴が居たら、周りに自慢出来るのになあ。」と思ったし、「一番好きなヒーロー」で在り続けてもいる程。
【風見史郎】
2ヶ月前の記事で紹介したが、仮面ライダー・シリーズ開始から今年で40年を迎えたのを祝って、「ライダー大集合!」というイヴェントが昨日から18日迄、池袋の新文芸坐で開催されている。昭和の仮面ライダー・シリーズを対象とし、「劇場公開された作品の上映」や「出演者及び制作スタッフのトーク・ショー」を日に3回、3日間で合計9回行うという内容。特に3日目の最後の回は「昭和ライダーの人間体が全員集合する。」という事で、前売り券が即完売したという凄さ。
【「ライダー大集合!」パンフレット】
「昭和ライダーの人間体が全員集合する」というのも是非目の前で見てみたかったのだが、残念乍ら前売り券を確保出来なかった。しかし、初日の第1回目の前売り券は確保。此の回の演目は、次の通り。トーク・ショーのMCは仮面ライダー・シリーズでプロデューサーを務めていた阿部征司氏、そしてゲストは仮面ライダーの大幹部達の中で、自分の好きなベスト3に入る「ドクトルG(ゲー)」役を演じていた千波丈太郎氏と、38年前に初めて見て以降ずっと憧れの人だった、風見史郎こと宮内洋氏なのだ。
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【7月16日(土) 第1回目】
10時~11時45分:上映会
・ 「仮面ライダーV3対デストロン怪人」(1973年7月18日公開、32分)
・ 「仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王」(1980年3月15日公開、45分)
・ 「仮面ライダーBLACK 鬼ヶ島へ急行せよ」(1988年3月12日、25分)
12時~13時:トーク・ショー
・ 宮内洋氏x千波丈太郎氏(MC:阿部征司氏)
13時~13時30分:抽選会
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開場30分前に到着したのだけれど、既に長蛇の列が。40~50代の人が殆ど(男性:女性=8:2といった割合。)で、嘗てはサラッとした汗を流していたで在ろう子供達も、今や自分を含めてドロッとした粘っこい汗を流す年代に入っている事を、嫌が上でも痛感させられたのだった。
上映された3作品の内、見た事が在ったのは「仮面ライダーV3対デストロン怪人」だけ。「仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王」は「仮面ライダー(スカイライダー)」(動画)で筑波洋役を演じていた村上弘明氏が、そして「仮面ライダーBLACK 鬼ヶ島へ急行せよ」は「仮面ライダーBLACK」(動画)で南光太郎役を演じていた倉田てつを氏が其れ其れ主役の作品。此の3作品の中では「仮面ライダーV3対デストロン怪人」が一番古いのだが、何故か画質は一番綺麗に感じられた。(デジタルリマスター版では無いと思うのだが。)逆に「仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王」は気の毒に感じてしまう程、赤っ茶けた画質が印象に残った。
「仮面ライダーV3対デストロン怪人」に登場する風見史郎、矢張り格好良い。昔の特撮番組は火薬を使った爆発シーンが多かったけれど、「仮面ライダーV3」は爆発シーンの規模や回数が半端じゃ無い。諸々の規制が在る現在では、彼程迄の強烈な爆発シーンは中々難しいだろう。四国ロケが中心で、フェリー「さんふらわあ」や「ホテル奥道後」といった施設が登場。昔の特撮番組で「当時の人気スポット」としてロケ先に選ばれた施設の中には、今はもう無くなってしまった所が結構在ったりするものだが(行川アイランドや横浜ドリームランド等。)、「さんふらわあ」(当時の船では無いだろうけれど。)や「ホテル奥道後」は共に今でも残っているのが嬉しい。
上映会が終り、15分の休憩時間を挟んで、いよいよ待ちに待ったトーク・ショーの時間。ピーンと張り詰めた緊張感が漂う中、数分遅れでゲストが登場。会場後ろのドアから宮内洋氏と千波丈太郎氏が、客席の間の通路を歩いてステージに。嘗ての子供達は必死に手を伸ばし、彼等に握手を求めていた。勿論、自分も。
今年で64歳になられた宮内洋氏、「流石に老けたなあ。」という思いは在った。しかし一時期はTV番組でゲッソリ痩せた姿を目にしていたので心配していたのだけれど、ふっくらとした体型になっていたのにはホッとする一方、「もう少し痩せた方が良いかも。」と思ったりも。ドクトルGのイメージが余りに強烈な千波氏は今年で74歳だが、ロマンスグレーの渋い紳士という感じで、当時の余り変わっていないスッキリとした体型だった。嬉しかったのは、何方も当時と変わらない声量だった事。後述する決め台詞を、大きな声で明瞭に再現してくれた時は、場内が大いに盛り上がったし。
【ドクトルG】
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【トーク・ショーで語られたエピソードの一部】
・ 仮面ライダー・シリーズでは第1弾の「仮面ライダー」から第5弾の「仮面ライダーストロンガー」迄、ライダー達を見守る「立花藤兵衛(通称:おやっさん)」役として出演された小林昭二氏。彼は「ウルトラマン」(動画)で「科学特捜隊 日本支部基地」のムラマツ・キャップ(隊長)役でも有名だが、ハヤタ隊員(黒部進氏)を始めとする“隊員達”が「公私に渡って面倒見の良い方だった。」と話されているけれど、宮内氏も「役者としてだけでは無く、人間としても色々教えて下さった方。其れだけに、亡くなられた際には非常にショックだった。」と語っていた。
・ 「仮面ライダーV3」のOP等で宮内氏が「仮面ライダーV3!」と叫ぶ際、「ヴイ・スリー!」では無く「ヴイ・スリャー!」と叫んでいるというのが良くネタになったもの。其れに付いて宮内氏は、「アフレコの際、『仮面ライダーV3!』と絶叫する所で音声スタッフがエコーを効かせるのだけれど、普通に『ヴイ・スリー!』と叫ぶと最後の部分が弱々しい感じになってしまい、力強さを残す意味で『ヴィ・スリャー!』にした。」と。
・ 仮面ライダーV3の決め台詞が「ヴィ・スリャー!」ならば、ドクトルGの場合は仮面ライダーV3の名前を呼ぶ際の、独特なイントネーションの「仮面ラ~(↑)イダ~(↓)V3」というのが決め台詞と言って良い。一度聞いたら忘れられない独特のイントネーションで、当時の子供達は良く物真似したものだが、千波氏によると「歌舞伎で見得を切る際の言い回しを意識した。」との事。
・ 上記した様に「仮面ライダーV3」では半端じゃない規模の爆破シーンが多かったのだが、「仮面ライダーV3対デストロン怪人」では「無人島基地」での爆発撮影で派手にドカンドカンと大規模な爆破をしたせいで(無人島所有者の子供が仮面ライダーV3の大ファンという事も在り、「好きな様に撮影して貰って構いません。」との事前許可は得ていた。)、其の衝撃により海岸の地形が変わってしまい(島付近の海上では、ショック死した魚が何匹も浮き上がっていたとも。)、担当官庁から大目玉を食らったそうだ。(「くるしまドック」内での爆発撮影では、近所の民家から通報される騒ぎも起こしている。)今じゃあ考えれらない撮影手法。
・ 正義のヒーローだった宮内氏のみならず、ドクトルGという悪役を演じた千波氏も「凄く撮影が楽しかった。」と言っておられたのは、特撮ファンとして嬉しい事だった。
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抽選会では魅力的な賞品が多く提供されていたが、「宮内氏&千波氏両名のサイン色紙(1枚に連名で!)」及び「宮内氏&千波氏に挟まれての記念撮影」(其れ其れ5名ずつ)というのは死ぬ程欲しかった。残念乍ら賞品は何も当たらなかったのだけれど、サイン色紙の当選番号が自分の番号と僅か1番違いだったのは、本当にショック。でも憧れの人と握手出来たのだから、其れ以上を求めたら罰当たり。思っていた以上に力強い握力が、今も感触として残っている。(千波氏も、意外と強い握力だった。)
出演交渉を巡って幾つかのトラブルが在った様で、公式の掲示板では酷い中傷も受けていたイヴェントのスタッフ。でも手作り感の在る、実に温かな雰囲気でのイヴェントで、参加して本当に良かったと思っている。スタッフ及び出演者の皆様方、御疲れ様でした。楽しい時間を提供して下さった事に、只々感謝です。