ミステリー関連の年間ブック・ランキングで、自分が注目しているのは「本格ミステリ・ベスト10」(発行元:原書房)、「週刊文春ミステリーベスト10」(発行元:文藝春秋)、そして「このミステリーがすごい!」(発行元:宝島社)の3つ。昨日、「2014週刊文春ミステリーベスト10」が発表となった。「国内編」に関しては、次の通り。
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「2014週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」
9位: 「オービタル・クラウド」(著者:藤井太洋氏)/「機龍警察 未亡旅団」(著者:月村了衛氏)
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「今年は、ベスト10内に女性作家は皆無なんだなあ。」と、先ずは思った。そして次に思ったのは、「此の中で読んだのは、『虚ろな十字架』と『怒り』だけ。」という事。
7位の「後妻業」は内容が、実在の殺人事件と非常に似ているという事で、今話題になっているけれど、何と無く読む気が起こらないでいる。
1位の「満願」、実は周りから「面白い小説だよ。」と言われていたので、最近購入し、近い内に読む積りでいた。読了したら、レヴューする予定。
閑話休題。
今回の衆議院議員総選挙、各メディアが公示直前及び直後に行った世論調査では、何れも「選挙を行う大義名分が無い。」と考える人が大半だった。「望ましい選挙結果」に付いては「与党と野党の勢力が伯仲する。」と答えた人が5割を超え、安倍内閣の支持率も支持と不支持が拮抗(乃至は不支持が若干上回る結果で、其れ等を元にした選挙結果予測も、幅は在るものの「自民党は、少なからずの議席を失う。」という事で一致していた。僅か1週間程前の事だ。
しかし、一昨日発表された選挙結果予測によると、何れも「自民党が単独で、300議席近くを獲得する。」という話に。解散前、与党の自民党は295議席、公明党は31議席だったが、何れも解散前より議席数を増やす。」なんて予測も。「自民党が議席数を減らすのは間違い無いが、組織力が在るので、減らしたとしても30議席程度か?『驕る平家は久しからず』の結果になってくれれば良いが。」と思っていただけに、「減らすどころか増える。」という予測には唖然。
安倍内閣の支持率が不支持と同じ位迄下がり、5割以上もの人が「選挙結果は、与党と野党の勢力が伯仲する形が望ましい。」と考えているならば、何故、自公の圧勝という事になるのだろうか?
大義名分が無い選挙という事で、国民の関心は概して低く、「投票率は、可成り低くなるのではないか。」と噂されている。そうなると、組織力に勝った自公にとっては、得票数を積み増せる事になろう。
「1選挙区から、当選者は1人だけ。」という「小選挙区制」では、「多くの死票が出る。」というデメリットが。1票でも上回った候補が当選し、其れ以外は(小選挙区では)落選となる訳で、そうなると「過半数以上が死票になっている。」という分析も在る。極端な結果が出易い(「政権交代の可能性が高まる。」というメリット(?)も在るけれど。)という事が、今回の様に組織力が物を言う選挙では、自公の議席数を大幅に伸ばすというのは否定出来ない。
唯、本当に結果予測通り自公が圧勝するならば、一番の要因は「自公の遣り方はおかしいと思うけれど、だからと言って野党には期待出来ない。」と考える人が少なく無いという事だろうし、特に“与党として国民の期待を大きく裏切った民主党の責任”は非常に大きいと言わざるを得ない。*1
安倍晋三首相やネット右翼と称される人達が執拗に「民主党政権は、“全て”駄目だった。」と攻撃しているが、駄目だった部分は多かったと思うけれど、評価出来る点も在ったとは思っている。(安倍首相に対しては批判的な自分だが、過去に2度程彼の政策を評価した事が在るし、「“全て”が駄目。」というのは滅多に無い事だろう。)
問題を感じる点も在るが、「失策が続いたら、民主党から共和党(又は其の逆)に政権を委ねる。」という“実質的な選択肢”が在るアメリカの政治制度は羨ましい。「好い加減な政治を行っていたら、何時でも野党に取って代わられる。」という緊張感が、政界に生まれるから。
民主党政権成立はそういった機会を生み出せた筈なのに、国民の期待を余りに裏切り過ぎた結果、自ら其の機会を消滅させてしまった。しかし、確かに民主党政権が駄目だった面は在るけれど、戦後から(併せて)50年以上も政権を担って来た自民党に対し、民主党は僅か3年。雫石鉄也様も書いておられるが、自分も「『真に政権を担える政党を、国民がじっくり育てる。』という意識が、もっと在っても良かったのではないか?」と感じている。くどい様だが、国民の期待を裏切り続けた民主党が一番悪いのは、言う迄も無いけれど。
嘗ての自民党は、党内に“右”や“左”、“中庸”といった政治家が一定数づつ居て、右が行き過ぎると左や中庸、左が行き過ぎると右や中庸が政権を担うといった、「政党内での政権交代」が出来ていたと思う。だからこそ、本当の意味での政権交代が(6年程を除いて)行われないでも済んだ。しかし、今の自民党内を見ると右、其れも極端な右勢力が大半を占めている現状。此れでは「政党内の政権交代」は期待出来ず、自民党の暴走が懸念される。
だからこそ、自民党と真に対峙出来る政党が必要と考える。「野党よ、確りしろ!」と言いたい。
“権力の監視機関”としては一定の評価をしているけれど、現実的な意味では政権を担えると考えられない共産党に、其の役割を任せるのは無理。
安倍首相との近しさを吹聴し、自民党に出戻りたくて仕方無い渡辺喜美氏が実質的なボスだったみんなの党(現在は解党)程では無いにせよ、自民党に秋波を送っていた橋下徹市長が共同代表の維新の党も、自民党と“体質的”には変わらない気がする。そうなると、「民主党が、もっと真面な政党に変わってくれる。」事を期待するのが、選択肢としては現実的なのかも。(民主党を積極的に支持している訳でも無いし、もっと良い政党が現れてくれたら、其れは其れで喜ばしいのだけれど。)
「民主党が、もっと真面な政党に変わる。」為には、党として行わなければいけない事が沢山在る。特に大事に思う事を、書き出してみる。
1.腰を据える。
「皆が皆、常に同じ方向を向いている。」というのは北朝鮮の様で不気味だし、政党内に色んな意見や考え方が在っても良い。けれど、根本的な部分では、コンセンサスが出来上がっていなければ、とても真面な組織とは言えない。民主党の場合、“形式上の綱領”は存在するけれど、党内にコンセンサスが出来上がっているとは言えない。だから、“政党としての主張”が屡々ぶれる。(解散が決まる前迄は、「三党合意の通り、来年には更なる所費増税を行うべき。」と言っていたのに、解散が近くなると「延期すべき。」と言い出したし。)国防等、国家の根幹に関する事柄は腰を据えた上、“具体的な方針”を打ち出し、党内にコンセンサスを作り上げないと駄目。主張がぶれ捲るから、益々国民から信用されなくなってしまっている。
2.アクションを早くする。
2年前の記事で詳細を書いたが、政権交代した際、民主党のアクションの遅さは致命的だった。迅速に行えば国民の評価が上がったで在ろう案件を放置し、“内部抗争”を優先していた様に感じる。自民党に政権を奪還されてから2年“も”経つのに、抜き打ち的に解散される迄、選挙に備えた対策を、真面目に行っていた様には思えない。野党間の選挙協力等、全く行っていなかったとは言わないけれど、解散が言われ出してからあたふたとし、極めて部分的な野党間協力しか築けなかった。小選挙区に立てられた“独自の”候補者数は、自民党の足元にも及ばないし、首脳部が「常在戦場」を良く口にしていた割には、アクションが余りにも遅い。先手先手で動けない様では、とても国家を運営出来ない。
3.「政権を、絶対に奪還する!」という気迫を前面に打ち出す。
上記した“アクションの遅さ”の根底に在るのだろうけれど、「政権を、絶対に奪還する!」という気迫が、民主党議員には其れこそ“希薄”に感じる。海江田万里代表は、野党に転落して以降の“代表としての成果”に付いて、「(他の野党の様に)政党を割らせなかった。」と口にしているが、「そんな程度の事で満足している様でどうする!」と言いたくなる。他の議員からも「取り敢えず、2番目に大きい政党の座をキープ出来れば良いや。」という感じが受取れたりする。此れじゃあ、国民が振り向いてくれる筈も無い。
4.“昔の名前で出ています”はもう良い。
民主党内を見渡すと、「若い芽が全く育っていないなあ。」と感じる。元首相やら元大臣やらがといった、“昔の名前で出ています”的な人物が、何時迄も前面に出ている様では駄目。「ルックスが良いから。」といった理由だけで選んだ様な候補者を立てるのでは無く(此れは、自民党等にも言える事だが。)、“真面な政治家”として必要な知識や能力を有した人材を積極的にスカウトし、“党として”教育すべきだ。(其れ以前に、党内にコンセンサスを作り上げておく事は、言う迄も無いが。)
5.政権担当時の“失敗”をきちんと認め、謝罪すべき点はハッキリと謝罪する。
政権担当時の“失敗”を、民主党の首脳部が認めていなかったり、謝罪しなかったりしている訳では無い。確かに、其れらしい事を口にはしていた。でも、“丁寧さ”に欠けているから、自民党に対して何を言った所で、「民主党政権の時は、どうだったんだ?」と言われてしまうし、そう思う国民も少なく無いと思う。具体的な失敗例を挙げ、誠心誠意の謝罪をした上で、「こういった失敗が在ったけれど、其れをこういう形で、今後に活かして行きたい。」と具体的に説明しない限り、「もう一回、民主党に政権を任せてみるか。」と思う国民は増えないだろうし、自民党やネット右翼にデマを含めた攻撃材料を与え続ける事になるだろう。
6.情報発信力を高める。
デマや問題発言も在るが、ネットを利用した安倍首相の情報発信力は評価出来る。其れに比べると、民主党の情報発信力は弱い。自民党と同じ事を後追いしている様では駄目だし、外部の専門家をもっと使ってでも、発信力を高める必要が在る。情報発信力を高めれば、其れに反発する声も増えるだろう。だが、そういった声に対して真摯に向き合えば、“反発者”を“シンパ”に変える事だって可能な筈だ。「民主党は具体的に何を考え、具体的に何を行おうとしているのか。」、そういった事を丁寧に発信して行く必要が在る。(安倍首相の場合、批判者のコメントを受け付けない様にしていると言われ、だからこそ“差別化”が図れるとも言える。単なる“構ってちゃん”は無視するに限るが。)
選挙結果予測では、民主党の議席数は多少増えるという事だが、与党の大勝を許したのでは、負けと言って良い。ざっと考えただけでも、此れだけ改善すべき点が在るのだから、民主党の議員達は真剣に取り組んで貰いたい。
*1 「真剣に将来を考えた上で、自民党に票を投じ様。」と考えている国民も、勿論少なからず居るとは思うが、「自分の利益“だけ”を考えて、『他人がどうなろうが、知った事では無い。』という思いから、自民党に投票する人。」も少なく無い様に感じる。「株が上がって儲かった。」と喜ぶ気持ちは判るけれど、「株価を上げる為、国民年金の保険料が以前にも増して、株購入に突っ込まれている。」という話も在り、「株で大損したら、国民の将来の年金額が大幅に減ってしまう。」という懸念が在る。過去に「グリーンピア事業」の例も在るし。
安倍政権になって、予算の散撒きやら無駄な箱物作りやらといった、自民党の悪しき体質が蘇り、そして加速化している。「自分さえ利益を得られれば、他人の事なんか知った事では無い。」として、将来の子供達が更なる国の借金を抱える事になったら、どうするのだろうか?
多様性を認めず、異論や反論を力尽くで封じ込め様とする体質の安倍首相。(自身の“趣味を政策にとして最優先しているのも受け容れ難いが、自分が「安倍首相を、“国のトップ”として相応しく無いと考える最大の理由は、彼の言論統制的なスタンスに在る。)そんな彼に影響を受けてか、似た様な風潮が強まっている様に感じるのだけれど、そういった危うさをも「勇ましい!」なんぞと評価し、積極的に票を投じるとしたら・・・。
1人の日本人として、日本という国が大好きだ。他人を思い遣り、優しく接せられる日本人の気質も大好き。しかし、安倍政権が生み出している風潮は、そういった良き部分を破壊して行ってはいないか?
1955年から始まる自民党政治を、完全否定する積りは無く、評価すべき点も在ったとは思っています。金権政治等の問題は在ったけれど、党内に様々な意見や主張を持つ議員が居り、一方向に行き過ぎてしまうと、別の立場の議員達がブレーキを掛けたりと、其れなりの“自浄作用”や“バランス感覚”が在った。しかし・・・。
安倍晋三氏が“総裁に返り咲く前”の段階で、自分は「歴代の首相の中で、史上最悪の首相。」と彼の事を書きました。(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/0d0551518da9ce409a2961234ab6d2d8)前回の首相時代のみならず、其れより以前からの彼の言動を加味した上で、人として余りに問題が多いと感じていたからです。「多様性を一切認めず、異論や反論を力尽くで抑え込もうとする。」という点が、一番の問題。
優先して片付けなければならない案件、そして「議員定数削減」という国民との約束を放置し、自分の趣味としか思えない事柄を、数の論理で強引に推し進める。傲慢としか思えず、本当に最悪。
記事でも書いた様に、民主党政権を評価出来る部分は少ないし、同党が非難されるのも当然だとは思っています。しかし、何でも彼んでも民主党の所為にして、其れを自身の支持アップに結び付けている安倍首相の遣り方は卑怯とも感じています。長引く不況の発端を作ったのは、一体何処の党だったのか?原発を推し進めたのは、一体何処の党だったのか?全てを民主党の所為にし、ネット右翼を焚き付ける。新聞報道等によると、民主党首脳部による選挙演説会場では、韓国の旗を掲げ「売国政党民主党!」等と叫んで、嫌がらせ攻撃をしているネット右翼達が居るとか。そういう連中を間接的にでも“悪用”し、世論誘導しているとしたら、悪質以外の何物でも無い。だからこそ、「ヘイト・スピーチを放置しているのだろうなあ。」と改めて思った次第。
私たち団塊の世代は高度経済成長期に金の卵と呼ばれ、安価で大量な労働力としてもてはやされたものですが、年金受給年齢を迎えた目前で受給年齢は引き上げられ額は減らされ、年金老人増加で若者がかわいそう、とまるで厄介物世代扱いです。
こうなる事は初めからわかっていたのに、何の対策も取らなかった政府。
そんな政府を支持し目先の欲につられていた私たち世代にも、もちろん責任があるわけですが・・・。山砂利採取跡地の境遇と重なるように思えるのはひがみかな。
現政権は国家百年の大計を左右する重要法案を次々と閣議決定しながら、目先の景気の判断で国民の信を問うと言います。戦後70年、これほど庶民を愚弄した政権が他にあったでしょうか。
目先の利益に釣られて子孫に禿山を残す愚を冒さないよう、心して投票にのぞみたいものです。