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「最新のセキュリティー・システムで守られた難攻不落の研究所に侵入し、12時間という制限時間内に、所定の物を持ち帰ったチームが懸賞金1億円を得られる。」。そんな一大イベント「ブレイクスルー・トライアル」に参加する事を決めた門脇と丹羽。大学時代の親友だった彼等にはそれぞれ秘密にしている過去が在り、このイベントで優勝する事によって人生を変えようと考えていた。
ひょんな事からイベントに紛れ込んだダイヤモンド強盗犯グループ、保険会社の依頼でその強盗を追う私立探偵、研究所の守りを固める頑固一徹な管理人、ライバル会社から派遣されたスパイチーム等、それぞれの胸に思惑秘めた人々がこのイベントに終結する。
侵入者を阻む為、各所に設けられた指紋や静脈、虹彩等の生体認証。更には凶暴な番犬や新型警備ロボットの一群等、数々の障害に立ち向かい、突破するのはどのチームなのか?
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2002年に創設され、昨年で第7回開催を数えた「『このミステリーがすごい!』大賞」。大賞受賞作としては第4回の「チーム・バチスタの栄光」(海堂尊氏)、そして第1回の「四日間の奇蹟」*1(浅倉卓弥氏)の2作をこれ迄読んでおり、今回読んだ「ブレイクスルー・トライアル 」(伊園旬氏)は3作目になる。
かなり期待して読み始めたのだが、全く面白くない。「もっと先には、面白い展開が待っているのだろう。」と思って読み進めるも、その気配が無いままに結末に到ってしまった。登場人物達個々の描き方が浅く、ストーリーには意外性や捻りが感じられない。必死で書き上げたで在ろう筆者には申し訳無いが、「良くこれで大賞受賞出来たなあ。」というのが正直な感想。不満感一杯で巻末に載っていた選考委員達の選評を読んだ所、「本命不在の混戦模様。」という思いを殆どの委員達が持っていた様だ。「短所より長所を評価しよう。」というのがこの文学賞の創設趣旨には在るそうで、或る意味「妥協の産物」といった面がこの作品の大賞受賞には在った気が。
個人的に言えば、「四日間の奇蹟」もイマイチな感じが在った。唯、第1回という事も在って、選考委員の間にも手探り状態的な部分が在ったと思うし、「寄せられた作品の中で最も良かった作品を選んだのだろう。」という理解をした。しかし回を重ねる毎に“一定のハードル”は出来上がったろうし、何よりも第4回の大賞受賞作「チーム・バチスタの栄光」の出来が秀逸だっただけに、この作品への失望度はかなり高い。主催者側にすればビジネス面を考えて「何としても受賞作を出す。」という思いが強いのだろうが、賞の権威を維持する為には「一定レベルに達していない場合は、『受賞作無し』も止む無し。」という強い姿勢が在っても良いのではないだろうか。
総合評価は星2.5個。
*1 正確に言えば「大賞金賞」。
「最新のセキュリティー・システムで守られた難攻不落の研究所に侵入し、12時間という制限時間内に、所定の物を持ち帰ったチームが懸賞金1億円を得られる。」。そんな一大イベント「ブレイクスルー・トライアル」に参加する事を決めた門脇と丹羽。大学時代の親友だった彼等にはそれぞれ秘密にしている過去が在り、このイベントで優勝する事によって人生を変えようと考えていた。
ひょんな事からイベントに紛れ込んだダイヤモンド強盗犯グループ、保険会社の依頼でその強盗を追う私立探偵、研究所の守りを固める頑固一徹な管理人、ライバル会社から派遣されたスパイチーム等、それぞれの胸に思惑秘めた人々がこのイベントに終結する。
侵入者を阻む為、各所に設けられた指紋や静脈、虹彩等の生体認証。更には凶暴な番犬や新型警備ロボットの一群等、数々の障害に立ち向かい、突破するのはどのチームなのか?
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2002年に創設され、昨年で第7回開催を数えた「『このミステリーがすごい!』大賞」。大賞受賞作としては第4回の「チーム・バチスタの栄光」(海堂尊氏)、そして第1回の「四日間の奇蹟」*1(浅倉卓弥氏)の2作をこれ迄読んでおり、今回読んだ「ブレイクスルー・トライアル 」(伊園旬氏)は3作目になる。
かなり期待して読み始めたのだが、全く面白くない。「もっと先には、面白い展開が待っているのだろう。」と思って読み進めるも、その気配が無いままに結末に到ってしまった。登場人物達個々の描き方が浅く、ストーリーには意外性や捻りが感じられない。必死で書き上げたで在ろう筆者には申し訳無いが、「良くこれで大賞受賞出来たなあ。」というのが正直な感想。不満感一杯で巻末に載っていた選考委員達の選評を読んだ所、「本命不在の混戦模様。」という思いを殆どの委員達が持っていた様だ。「短所より長所を評価しよう。」というのがこの文学賞の創設趣旨には在るそうで、或る意味「妥協の産物」といった面がこの作品の大賞受賞には在った気が。
個人的に言えば、「四日間の奇蹟」もイマイチな感じが在った。唯、第1回という事も在って、選考委員の間にも手探り状態的な部分が在ったと思うし、「寄せられた作品の中で最も良かった作品を選んだのだろう。」という理解をした。しかし回を重ねる毎に“一定のハードル”は出来上がったろうし、何よりも第4回の大賞受賞作「チーム・バチスタの栄光」の出来が秀逸だっただけに、この作品への失望度はかなり高い。主催者側にすればビジネス面を考えて「何としても受賞作を出す。」という思いが強いのだろうが、賞の権威を維持する為には「一定レベルに達していない場合は、『受賞作無し』も止む無し。」という強い姿勢が在っても良いのではないだろうか。
総合評価は星2.5個。

*1 正確に言えば「大賞金賞」。
ストーリーに惹き込まれる物が無い場合、ついつい集中力が欠けてしまう事が昔に比べて多くなりました。年齢を経る毎に、堪え性が無くなって来たのかもしれません。
自分の場合は小説の購入に迷った際、先ずは後書きに目を通します。昔は後書き内でネタバレをしちゃっているケースも在ったりしたのですが、最近はその辺がきちんと配慮されており、その後書きで自分のテーストに合っているかどうかの第一判断をする。そして合いそうだったら、冒頭から数頁を流し読みして第二判断。それでOKならば、最終判断はコスト・パフォーマンス。価格と内容が釣り合っている様だったら購入する訳ですが、昔は第一判断で購入してしまうケースが多かったけれど、懐が寒くなって以降はシビアなチョイスを迫られています。
図書館の司書や書店の店主に憧れた時期が在ります。大好きな本に囲まれて、毎日を過ごすというのが羨ましかった訳ですが、クレーマー等の“問題児”と対応している姿を見たり、書店業の経営の厳しさを知るにつれ、そういった思いは消えて行きました。大好きな本が意図的に傷付けられて行ったりする現実も在りますし、趣味を仕事にする事の心理的な困難さというのは在りますね。