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終戦前夜、東京から疎開して来た美作宗八郎(みまさか そうはちろう)と、寄宿学校「白霧学舎」の個性的な面々が、連続殺人事件を追う!時代に翻弄された少年達の、推理と友情の日々を描いた戦時青春ミステリー。
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表紙に描かれた平沢下戸氏のイラストに、先ずは興味を惹かれた。 脛にゲートルを巻いた3人の少年と、御河童にセーラー服姿の1人の少女。時代は戦時中と思われ、彼等は一様に暗く、厳しい顔付きをしている。小説のタイトルは「白霧学舎 探偵小説倶楽部」と在り、著者・岡田秀文氏の作品は、此れ迄読んだ事が無い。手に取ってパラパラ読んでみると、面白そうな感じなので、読む事にした。
終戦間近、東京から地方の山中に、18歳の少年・美作宗八郎が疎開して来る所から、話は始まる。病気で2年留年した彼は、中学4年として寄宿学校「白霧学舎」に転校して来たのだ。「良家の子息が通う全寮制の名門中等学校」と聞いていた白霧学舎だったが、彼が仲良くなった連中は個性的な面々。寮長で中学5年の滝幸治(たき こうじ)、中学4年の斎藤順平(さいとう じゅんぺい)は共に2年留年しており、滝は宗八郎の1つ年上、そして斎藤は同い年。2人は「探偵小説倶楽部」を主宰しており、滝が部長、斎藤は副部長で、宗八郎に入部を勧める。そして、入部した宗八郎は、“教授”と呼ばれる梁川光之助(やながわ こうのすけ)なる人物が、特別名誉部員として存在している事を知る。滝よりも1つ年上の彼は頭脳明晰なれど、部屋に引き籠る生活に入り、中学5年を3年続けていると言う。風貌も含め、変人中の変人。彼等は5年前から4件続けて発生し、未解決の儘となっている猟奇的殺人事件の犯人を突き止める事を目論んでいたが、そんな中、1人の少年・林屋健太(はやしや けんた)が殺害されてしまう。手口が連続殺人事件と似ており、探偵小説倶楽部の4人と、健太の幼馴染で在る少女・早坂薫(はやさか かおる)は、事件の究明に乗り出す。
時代も含め、大好きだった「少年探偵団シリーズ」を彷彿させる雰囲気。猟奇的な犯行手口も相俟って、どんどん読み進んでしまった。「探偵役として謎解きをする。」と思っていた或る人物が“意外な結末”を迎える等、「どうなるのだろう?」とストーリー内に引き込まれてしまう事だろう。
然し、「竜頭蛇尾だったな。」というのが、読み終えての感想。「健太の下腹部が切り取られていた。」というのが非常に無理さを感じさせる理由だったし、もう1人の“少年”の死因も「そんな事で死んじゃったの!?」と唖然とさせられる等、“壮大な謎解き”を期待していたのに、最後は尻窄みな感じとなってしまったので。
読む前の期待度が高かった分、がっかり感が強い。総合評価は、星3つとする。