小学校低学年の時、給食の時に出される牛乳瓶の蓋を集めている同級生が居た。斯様に、他人にとっては塵としか思えない物でも、或る人にとっては“御宝”という事が在ったりする。
今朝のTV番組に、“試し書き収集家”という人が出ていた。文房具店(又は文房具コーナー)にはペン類の試し書きをする紙が置かれているけれど、彼の(試し書きされた)紙を集めているそうで、収集した枚数は国内外を合わせて約4万枚。途中から見たのだけれど、海外で目にした試し書き上のイラストが余りに可愛かったので、以降、収集する事になったそうだ。
「試し書きからは、色々な事が見えて来る。」と収集者。「STAP細胞はあります」という試し書きに対し、「ねーよ」という“リプライ”がされたり、「STAP」という文字に反応して「SMAP大好き」という書き込みがされていたり、「便秘に良い薬教えて下さい」に「コーラックが良いですよ」というリプライが在ったりと、試し書き者間の遣り取りのケースも少なく無いとか。
又、「『畳の縁を踏んではいけません』と書き込んだ上で、『縁』の上に態々『ふち』と振り仮名を振っている。」等、「自分は、『縁』を『ふち』とちゃんと読めるんですよ。『畳の縁を踏んではいけない』という事を、自分はちゃんと判っているんですよ。」という自分の能力の高さをアピールしている様なケースも。
試し書きには、世相も反映される。例年、試し書きで「ハゲ」と記される事は多かったが、今年は「このハゲー!」というのが非常に多かったとか。
一番面白かったのは、「国内の試し書きで使われた有名人の名前ベスト3」だった。「画数が多かったり、『とめ、はね、はらい』が使用されている名前。」で試し書きしているケースが多いそうで・・・。
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「国内の試し書きで使われた有名人の名前ベスト3」
1位:グレート義太夫氏
2位:壇蜜さん
3位:剛力彩芽さん
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2位の壇蜜さん、「蜜」の字が「密」と誤記されているケースが多いとか。又、1位がグレート義太夫氏というのは非常に意外だったが、「片仮名と漢字が入り混じった名前という事で、『字のバランスを見るのに良い。』という理由から、多くが試し書きで使っているのではないか。」と収集者は分析していた。
かくいう自分も使用済み切手を収集していたわけで、それらを総称して御美(ゴミ)収集と自虐的表現をしたりして(苦笑)。
しかし4万枚も収集し分類・分析までしていると、もうゴミの山というより宝の山ですね。
ちなみに私の試し書きは一番オーソドックスに、ぐるぐる渦巻です(笑)。
マッチ箱、亡き父が収集していました。遺品を整理してた所、押し入れの奥から大きなスチール缶が幾つか見付かり、其の中にごっそり入っていたのですが、1つ1つ内部を突板(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AA%81%E6%9D%BF)で補強してあり、可成り大事にしていた様。捨てるに捨てられず、今でも保管しています。
4万枚の試し書き、本当に膨大な数です。毎日10枚収集したとしても、4万枚集めるには約11年掛かる。好きじゃないと、出来ない事です。
此の記事に追記したのですが、試し書きにも世相が反映される様で、例年、「ハゲ」としるされる事は多かったのですが、今年は「このハゲー!」が非常に多かったとか。
自分の試し書きも、矢張り渦巻が殆ど。悪筆故、人様の目が触れる場所に字を記すなんて出来ません。
無料であるもの、がらくたが価値を持つのは、数の力によるもので、本来の物量というのは、個々では勝負出来ないものが、多数派を作る事によって、価値を得るものだと思います。よもや、取引の対象となる事は無いし、持ち主にも手放す気はないのでしょうが、末永く愛し、趣味を続けてもらいたいと思います。
「価値」という概念も色々あ在り、自分の様な俗人だと、どうしても「資産価値」という部分に重きを置いてしまい勝ち。「此の切手、将来的に高くなりそう。」とか「宝籤の外れ券、今は無価値だけれど、若しかしたら高値を付ける様になるかも。」といった欲深さが収集に出てしまったりするけれど、試し書きの収集なんていうのは「好奇心充足価値」とでも言いましょうか、非常にピュアな思いからの収集という類いでしょうね。
件の収集者、試し書きに関心を持つ事になった「海外で入手したイラスト入りの試し書き」を、猫砂の上に置いて保管されていました。個人的には「そういう効果無いんじゃないかなあ?除湿剤の入った箱で保管した方が良い様に思うけれど。」と感じたけれど、当人曰く「此れだと劣化しないので。」と説明していました。