ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「久遠の檻 ~天久鷹央の事件カルテ~」

2021年10月26日 | 書籍関連

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嘗てアイドルとして芸能活動をしていた少女、楯石希津奈(たていし きづな)。15年以上の時を経て、彼女が全く同じ容姿で現れた事に驚いた精神科部長の墨田淳子(すみだ じゅんこ)は、統括診断部の天久鷹央(あめく たかお)に診察を依頼する。だが、検査をし様ととした矢先、父親が現れ、希津奈は連れ去られてしまう。木乃伊化した遺体。自殺からの復活。相次ぐ不可思議な現象の真実とは?
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現役の医師でも在る小説家知念実希人氏には「天久鷹央の推理カルテ・シリーズ」というのが在り、今回読んだ「久遠の檻 ~天久鷹央の事件カルテ~」は、其の第12弾となる。「怜悧な頭脳と厖大な知識を持っているが、コミュニケーション能力が極めて低く、要らぬ軋轢を生み捲っている変人女・天久鷹央。」がシャーロック・ホームズ役、そして内科医見習いの小鳥遊優(たかなし ゆう)ジョン・H・ワトソン役という設定。そして、小鳥遊の天敵で在る研修医鴻ノ池舞(こうのいけ まい)が今回の作品では、統括診断部での3ヶ月間の臨床研修に入る事に。

奇想天外な設定が当たり前。」の「天久鷹央の推理カルテ・シリーズ」だが、今回も同様。「嘗ての女性アイドル楯石希津奈が、15年以上の時を経て現れたのに、当時と全く変わらない容姿だった。」というのも然る事乍ら、「ネットでの生中継で希津奈が自殺を図った後、其の遺体が発見され、本人と断定されたというのに、全く同じ容姿で生まれ変わった。」というのだから、「どういう事?」と頭の中が混乱してしまう。

「『見付かった遺体は鳥や魚に全身を食い荒らされ、皮膚や脂肪は殆ど残っていない。顔に到っては眼球や鼻も啄まれて無くなっていた。』という状況で、其の遺体が希津奈本人と断定されたのは、歯科治療の跡によって。」だと。「『歯科治療の際のレントゲン写真が、別人の物と掏り替えられていた。』という、良く在るトリックだな。」と思いきや、既に採取されていたDNAとも一致したという。「じゃあ、希津奈は本当に死んだんだ。」という事になるが、「そうなると、彼女と全く同じ容姿で生まれ変わったのは誰?」という疑問が。クローン人間や一卵性双生児等、様々な可能性が否定されて行き、トリックが全く判らない。だからこそ、“現役医師らしいトリック”が明らかになった時は、「そういう事か!」という驚きが。

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C型肝炎は血液を介して感染する。感染制御の方法が確立していなかった昔、外科医や産科医の多くは、手術や出産の際に大量の血液に触れることによってC型肝炎ウイルスに感染し、慢性肝炎患っていた。外科医はみんな、酒の飲みすぎで肝臓を壊して死ぬなんて言われていたが、実は結構な確率でC型肝炎が原因だったんだよ。まあ、最近はいい薬ができて、ほとんどの場合ウイルスを体から除去できるようになっているけどな。
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医学的な知識に乏しいので、色々勉強になる。奇想天外では在るけれど、トリック等の設定も悪く無い。総合評価は、星4つとする。


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