ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「MIST-ミスト」

2012年01月12日 | 書籍関連

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標高500m、長閑風光明媚な高原の町・紫野で、1人の経営者が遺体となって発見された。自殺か?それとも他殺か?難航する捜査を嘲笑う様に、第2、第3の事件が続け様に起きる。其の遺体は皆、鋭く喉を掻き切られ、殺人犯の存在を雄弁に物語っていた。

 

“霧”の様に掴めぬ犯人に、紫野で1人の警察官・上松五郎が挑む。東京の事件との奇妙な符合に気付く五郎。そして、見えて来た驚くべき真相とは?

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昨年、自分が読破した小説で言えば、「ジェノサイド」(著者:高野和明氏)と「下町ロケット」(著者:池井戸潤氏)が群を抜いて面白かった。池井戸氏の作品を読むのは此れが2作目で、最初に読んだのは「鉄の骨」。此の作品も非常に読み応えが在り、「遅蒔き乍ら(池井戸氏が文壇デビューしたのは、14年前の1998年。)、池井戸作品を全部読んでみようかな。」と思い立ち、3作目として手に取ったのが「MIST-ミスト」。同氏の作品で言えば、恐らく5作目に刊行された物で、“初期の作品”と言って良いだろう。「MIST」は「霧」の意味で、「霧の様に正体が掴めない犯人」を指すタイトルなのだろう。

 

真犯人は早い段階で察しが付いたけれど、其の犯行動機が余りに脆弱幼少期のトラウマ」というのが動機になるのだろうが、「其れ“だけ”で、あそこ残忍な犯行に及ぶだろうか?」となると、「絶対に在り得ない。」とは言わないけれど、どうしても同期としては“弱さ”を感じてしまう。

 

又、“崩壊寸前”の或る家族が登場するのだが、其の“結末”は御都合主義以外の何物でも無い。同じ結末にするにしても、もう一捻りも二捻りも欲しい所。其れだけの力量が在る作家と信じるからこそ、一層に残念。

 

「鉄の骨」では「星4つ」、「下町ロケット」では「星4.5個」と、池井戸作品には高い評価を与えて来た自分だが、今回の「MIST-ミスト」にはハッキリ言って肩透かし食らった思いが。厳しいかもしれないけれど、総合評価は星2つとする。


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2 コメント

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>マヌケ様 (giants-55)
2012-01-12 13:21:28
書き込み有り難う御座いました。

銀行員を経て、作家となった池井戸潤氏。小説家としてのデビュー作(其れ以前に、ビジネス書等は刊行されていたとか。)の「果つる底なき」では「第44回江戸川乱歩賞」を受賞しましたが、此の作品はミステリー仕立てで在るものの、中身は都市銀行の裏側を描いた物で、其れを考えるとマヌケ様が指摘されている様に、「池井戸作品の魅力は、社会派の企業小説の分野で映える。」という感じが自分もしました。

「空飛ぶタイヤ」は以前より気になっている作品なので、近い内に読んでみたいと思っています。
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Unknown (マヌケ)
2012-01-12 12:48:16
遅ればせながら「空飛ぶタイヤ」を読んでいます。 三菱自動車のリコール隠し事件にまで発展した実話をベースにした作品です。 熱い正義感を感じる作品で、とても引き込まれます。 池井戸さんの得意分野はミステリーよりも社会派の企業小説の分野なのでしょうね。 最後には正しいことが正しいとまかり通る、正直者がバカをみないというラストがおよそわかっていても登場人物のキャラクターや物語の展開に引き込まれる世界の方が自分的には好みです。 後味の悪いミステリーよりは。 まるで企業小説のような事件、トップが使い込みや不正な会計処理をしても、いつかは暴露されて断罪される、オリンパスや大王製紙のような事件が教訓となるよう、日本は正常に機能していることを信じたいですね。
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