「物乞い」というと、今は差別用語的な扱いとなってしまった「乞食」を思い浮かべてしまう。「ホームレス」とは違うイメージで、「路上に敷かれた筵の上に座り、目の前に置かれた空き缶に御金を入れて貰う。」というのが乞食という感じで、漫画やドラマでは「右や左の旦那様。哀れな乞食で御座います。何か恵んで下さいな。」という口上を述べている姿が、良く描かれていたっけ。
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「物乞い行為をネット配信・・・23歳を書類送検」(2月24日、日刊スポーツ)
香川県警生活環境課は24日、インターネット動画配信サイトを使って物乞い(乞食)行為をしたとして、軽犯罪法違反の疑いで高松市の無職の男性(23歳)を書類送検した。物乞い行為をネットに流し、立件されるケースは珍しいと言う。
送検容疑は1月6日午後5時半~6時10分頃、高松市浜ノ町のJR高松駅周辺でパソコンを使ってサイトに接続し「僕、御年玉貰ってないと思う。高松駅周辺に居るので、御年玉を此のカップに入れて下さい。」等と中継、不特定多数の閲覧者に金品を乞うた疑い。
サイトを見ていた視聴者が、警察に通報した。同課によると、男性は「御金を貰いたかった。」と容疑を認めている。
軽犯罪法1条は、「乞食をするか、乞食をさせた者を、拘留か科料に処する。」と規定している。
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「物乞い行為をネット配信し、書類送検。」という見出しを最初目にした時、「『(実際に許可を取って行っている人は居ないだろうけれど)許可無しに、公共の場で物乞い行為をした。』という理由を以て、見せしめ的に書類送検されたのかな?」と思った。
大学時代に法律を齧った身だが、軽犯罪法1条22号で「乞食をし、又は乞食をさせた者」が違法と既定されている事を、恥ずかし乍ら知らなかった。 ネットで調べてみた所、「『5年前、0円で日本一周にチャレンジしている女子大生が、同法に触れるのではないか?』と問題になった。」と言う。
恥を忍んで言えば、昔、「ネットで『恵まれない自分に、寄付をしてくれませんか?』と呼び掛けて、仮に1人当たり100円寄付してくれたら、1万人で100万円にもなる。」とアホな妄想をした事が在る。勿論、実際にはしなかったけれど、そんな不埒な事を思い浮かべた身なので、今回の男性を非難する立場には無い。
乞食は物乞いするが、ルンペンは貧しくても物乞いはしない、と自分の中では分けて理解していたように思います。
さて本題。
なぜ乞食行為が犯罪になるのでしょうか。
街頭で寄付を募る募金行為は良くて、乞食はなぜ駄目なのか。
托鉢僧が路上で喜捨を求め立っているのも犯罪行為なのでしょうか。
自分自身のために金品を乞うのが駄目なのか、姿が見苦しいので美観を損なうのが駄目なのか。
身なり正しく、誰かのための募金行為なら良いのであればよいのでしょうか。
集まった金がどれだけでどのように使われたか、収支明細を公にする義務がなければ、実際にはその寄付の大部分が自分たちの飲食費に使われていたとしても、闇の中だし(それが明るみに出れば、詐欺行為になるのでしょうが)。
素人の私には、この法律の意味がわかりません。
「ルンペン」というと、少年探偵団シリーズにそういう設定が良く出て来ましたね。今では、すっかり死語化。
昨日、此のニュースに関して、「『乞食の行為』と『寄付』とでは、具体的に何が違うのか?」という話が在りました。幾つか違う要素が挙げられていましたが、最も大きいのは「自身や身内の“生活費”を稼ぐのが、主目的か否か?」という事でした。又、此れは挙げられていませんでしたが、「其の行為をする上で、事前に“監督官庁”に、申請しているか否か?」というのも在るのではないかという気も。
唯、そうは言っても、寄付を求める組織の中には悠々遊様も書かれている様に、胡散臭い物も在るし、「見た目が良く無い物を排除したい。」という“御上”の意識も、色濃く反映されている様にも感じますね。
成りたくたくて成ったワケじゃあない。
「成りたくって成った訳じゃ無い。」、其の通りですね。セーフティー・ネットの“網の目”が昔よりも格段と粗くなった昨今、正規労働者と非正規労働者との“垣根”は低くなったと言って良いでしょう。なのに、何の根拠も無く、「自分は大丈夫。」と過信し、非正規労働者を叩く人が少なく無い風潮は、本当に残念でなりません。
今後とも何卒宜しく御願い致します。