「週刊朝日」(6月11日号)に、「スタアを撮り続けた マルベル堂の100年」という記事が載っていた。「マルベル堂」や「スタア」、「プロマイド」といった用語に、何とも言えない懐かしさを感じる。記憶違いで無ければ、子供の頃に読んでいた雑誌に、マルベル堂の広告が良く載っていた。「マルベル堂」なる奇妙な社名も然る事乍ら、「『スタ“ー”』じゃ無くて『スタ“ア”』、『“ブ”ロマイド』じゃ無くて『“プ”ロマイド』って、誤記じゃないの?」と思ったりした物。
「昭和の映画俳優・女優や歌手、アイドルを中心に、マルベル堂専属カメラマンが撮影し、販売して来たマルベル堂。」が創業したのは、1921年5月5日の事。“日本で唯一のプロマイド販売会社”は、今年で創業100周年を迎えた訳だ。プロマイドを撮ったスターの数は約2,800名で、保有するネガは8万5,000版を超えると言う。因みにプロマイドとは「写真用印画紙、又は此れを用いた写真の事で、マルベル堂等が発行している、タレント等のコレクション用肖像写真。」を意味し、マルベル堂が販売したプロマイド第1号は、「松竹蒲田の人気女優・栗島すみ子さん」だったと。
【栗島すみ子さん】
洋食店を営んでいた三ツ澤実四郎氏が、経営不振の洋食店の売上を少しでも上げ様と、自分のコレクションで在った外国映画のスチールや俳優の写真を販売していたのだが、1921年、自身の誕生日で在る5月5日に、其れ等の写真を「プロマイド」と称して“専業”で販売する会社「マルベル堂」を浅草で立ち上げた。マルベル堂という奇妙な社名は、「三ツ澤実四郎氏の兄が営んでいた『三ツ澤洋食器』の製品で在る御皿に、当時流行っていたベルマークの銘が入っていたことに由来する。」そうだ。
マルベル堂のプロマイドには、創業以来ずっと守られている“撮り方の決まり”が在るそうで、其れは次の4点。
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=マルベル堂のプロマイドの撮り方の決まり=
① バストアップにする。
② カメラ目線で、微笑み掛けて貰う。
③ 顔や表情を見せる為に、影を付けない。
④ 指先も見せる為に、手を顔の近くに置く。
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「プロマイドは、昭和40年代に全盛期を迎えた。」と、元記事には書かれていた。という事は、自分がプロマイドという存在を知った頃には、既に右肩下がりに入っていた訳だ。雑誌の広告を見て、少ない小遣いの中からピンクレディーや松田聖子さんのプロマイドを買ったっけ。
1980年代後半から音楽番組が激減し、アイドル・ブームが衰退した事に加え、デジタル・ネットワークが急速に浸透し、写真をコレクションする時代が終焉した事から、プロマイドの需要は減少した。
でも、2000年代になると“昭和レトロ”がブームとなり、昭和の文化の象徴の1つとして、昭和を知らない世代がマルベル堂のプロマイドに注目する様に。近年は、「一般人でもマルベル堂で、スターの様なプロマイドが撮影出来る。」という「マルベル80’sプラン」が人気なのだとか。