ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「騎手の一分」

2013年11月16日 | スポーツ関連

昔は馬券を買い、競馬中継を見ていた。と言っても、日曜日に行われるメイン・レースだけだったが、一時期は気持ち悪い程当たり捲り通算では結構儲けさせて貰った。でも、或る時期からピタリと当たらなくなったので、競馬の世界から“引退”する事に。もう10年近く馬券を買っていないが、ザッピングしていて競馬中継に出会すと、レースに見入ってしまう。馬の目の可愛さや流麗な走りに目が惹き付けられてしまうのだ。

 

競馬に詳しく無くても、武豊騎手を知らない人は少ないだろう。G1数多制した、稀代の天才騎手。自分が馬券を購入していた頃は、彼が騎乗するというだけで、其の絡みの馬券のオッズがドーンと下がり、「此れじゃあ当たっても旨味が無いから、他の馬の馬券を買おう。」という事になるのだが、結局は武騎手が騎乗した馬が1着になり、「もう好い加減にしてくれよ。」と泣きを入れる事もしばしば。其れだけ凄い騎手だったけれど、此処数年は勝ち星が激減。其の理由に関しては、色々噂が飛び交っていたが・・・。

 

藤田伸二」という騎手が居る。一般的な知名度で言えば、武騎手の足元にも及ばないかもしれないけれど、通算勝利数が歴代8位の「1,829勝」(2013年3月31日現在因みに歴代1位は、武騎手の3,515勝。)という名騎手。2度不祥事を起こしタトゥーを入れたり、放言が多かったりと、ヤンチャ系のキャラで知られる彼。同時に世話になった人への気遣いが凄く、フェアプレイ徹し騎乗スタイルという面も在ったりする。

 

そんな彼が「本当に上手い騎手とは?」、「本当に強い馬とは?」から始まり、「(3つ上の)武豊騎手が勝てなくなった理由」、延いてはJRA抱える問題」を赤裸々に記した本が「騎手の一分」。武豊氏をして「ヤンチャなシンジらしい、おもしろい本やね。」と言わしめ此の本、確かに面白く、興味深い内容だった。

 

「競馬人気の低迷」は随分前から見聞していたが、JRAの売上高としては1997年の約4兆円をピークに、2012年は約2兆4千億円落ち込んでいるのだとか。入場者数は1996年が1,411万人だったのに、2012年は619万人と全盛期の半分以下になっているというのも驚きだが、もっと驚かされたのは「競馬学校の応募者数」の激減。1997年は761人だったのが、2010にはたった148人。最盛期の2割以下迄減ってしまったと言うのだ。

 

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子供の数が少なくなってきているとはいえ、いくらなんでも減りすぎでしょう、これは運動能力のある子供が他のスポーツに取られているんだろうけど、いつの間にか日本人のスター騎手がいなくなってしまったことも要因の一つなんじゃないかな。競馬界に魅力がなければ、メディアにもだんだん見放されていく。そうなれば、子供たちにも騎手という仕事に魅力を感じてもらえなくなる。

 

でもよく考えてみれば、今の競馬界に「魅力がない。」っていうのも当然だよね。だって、騎手をやっている俺たち自身が、騎手という仕事に魅力を感じなくなってきてるんだもん。競馬をやってる人間が楽しくないんだから、競馬を見ているファンに魅力は伝わらないし、もちろん、楽しいはずがない。

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「競馬界が駄目になって行っている大きな要因は、『JRAの体質』に在る。」と、藤田騎手は指摘。詳細は実際に本を読んで戴ければと思うが、キーワードとして誤った意味での国際化過ぎた効率失敗を許さない不寛容挙げられると思う。

 

母国語で在る日本語ですら危うい子供が少なく無いのに、其の事を蔑ろにして、『早い時期に英語の授業を必修化させる事が、国際化で在る。』とする思考。」や「効率化を前面に押し出した結果、大事な事柄が切り捨てられてしまった現代。」、「一寸した、どうでも良い様な事迄、逐一ネット上に晒し上げ、鬼の首を取った様に“集団リンチ”する様な不寛容さ。」等、現代の日本に見受けられる「何かおかしくない?」といった面が、競馬界でも影を落としているという感じ。

 

藤田騎手が考える「上手い騎手」に付いては異論も在るだろうが、彼の指摘する問題点に付いては、多くの人が同意するのではないだろうか。


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