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「高速道路の2115年迄有料案に疑問 修繕費は『判っていた話。』」(1月25日、ライブドアニュース)
「国土交通省が通常国会で、高速道路の有料化を50年延長して、2015年迄出来る様にする関連法の改正案を提出する。」という事で、波紋を呼んでいる。
抑、高速道路は無料化が前提だった。1960年代に建設が本格化し、其の段階で国は「建設の為に借り入れた費用が、返済される迄料金を徴収し、返済後は無料開放というルール。」を決めていた。
然し、中々返済が進まず、無料化は度々延長。2005年、小泉総理の時代に高速道路は民営化され、「此の時点で残っていた借金40兆円を、2050年迄に返済、其の後無料化する。」と決められた。2014年には、更に15年の延長が決定し、2065年に。そして、今回の50年延長案。
何故、高速道路は無料にならないのか?抑、約束が反故にされ続けている事に問題は無いのか?19日の「ABEMA Prime」で議論した。
国土交通省の有識者会議メンバーの根本敏則・敬愛大学教授は、「2115年迄料金を取り、其の後無料にするんだったら、初めから『有料化』と言った方が判り易いじゃないかという議論は尤もだと思う。私も、其の立場だった。地方では『無料にすると言ってましたよね?』と言う方も居るので、説得に時間は掛かるだろう。」と話す。
田中角栄政権下の1972年、高速道路は纏めて計算、償還される「料金プール制」が導入された。然し、NEXCO東日本の1km当たりの通行台数(1日)を見てみると、東京外環自動車道の4,104台に対し、道東自動車道は40台と、100倍以上の差。同じく1km当たりの料金収入(1日)を見ても、東京外環自動車道の202万円に対し、釜石自動車道は6.5万円と、30倍以上の差が在る。
此の“格差”に付いて、根本氏は「交通量の多い所を無料化としてしまうと、偶其処を使っている方は恩恵を受けるが、『高速道路で日本全体が繋がる事で、物流が上手く回る。』という面も在る訳だ。其処では、プール制が一定程度役に立ったと思う。小泉改革時、『交通量が少なく、採算が取れない所は、もう建設しない。』という方針が出て、道路公団が民営化してからは、そんなに新しい整備はしていない。又、“暫定2車線”といって、地方の交通量の少ない所の4車線化は先延ばしする。そういう工夫をして来ている。」と説明。
JR等では、利用が極端に少ない路線は廃線化の議論も出て来るが、「例えば、『一般道路の中で使われていない橋は撤去しましょう、出来るだけ効率化しましょう。』というのは、人口も減って行くので在れば、どんどん遣ったら良いと思う。然し、日本の交通の中で果たす役割を考えると、高速道路の費用の分担率は未だ低いので、寧ろ一般道路を効率的に削減する方が重要だと思う。」との見方を示した。
リディラバ代表の安部敏樹氏は、「ネットワーク全体を維持する為に、細部の赤字を負担するという話は在りだと思う。唯、矢張り一番初期の段階で、きちんとした戦略を立てておくべきだったなと。『プール制の話も、修繕費用が掛かるんだから、抑、無料化は無理だ。』というのは、判っていた話だ。グランド・デザイン(全体構想)が在り、人口政策も想定していれば、もう少し上手く遣れたと思うが、出来なかった理由は、何なのか?」と尋ねる。
根本氏は、「NEXCOとしては、維持費はちゃんと見ているが、大規模な更新等が、こんなに早く来るとは思っていなかったと。首都高速道路の海沿いの道路は、潮の影響なんかも在って、相当傷んでいて、技術者も此処迄早い老朽化は、想定していなかった。此の更新費用を国民の税金で賄うのかというと、『矢張り、利用者に払って貰わなきゃ駄目だろう。』という事だ」と答えた。
民主党政権は当時、子ども手当等と一緒に、高速道路無料化を掲げていた。弁護士の菅野志桜里氏は、「自分が当選した時の政権交代の公約の1つだったので、中々責められない気持ちは在る。」と振り返った上で、「『本当は無料に出来ないと言った方が良い。』という派閥と、『未だ理解が進んでいないから、取り敢えず先送りで行こう。』という派閥が在るという事は、現状は『殆ど無料になる選択肢は無い。』という前提で進んでいる訳だ。唯、小泉さんは今政界には居ないし、政策を転換し様としている岸田総理も、2115年には生きていない。政策を変える事自体に責任が在るのでは無くて、『こうだから無理だ。』と変更の理由をきちんと説明するのかが問われている。」と指摘した。
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通行料無料の高速道路が多い海外に対し、日本は原則的に、全ての高速道路が有料となっている。此れは、1956年に制定された「道路整備特別措置法」によって、有料道路制度が創設されたからだ。そして、日本初の高速道路が開通したのは1963年7月16日の事(名神高速道路・栗東IC~尼崎IC間)で、其れから60年が経過し様としているのに、無料どころか、92年先迄延長し様としている訳だ。1963年を起点にすれば、「152年間」という事になる。
子供の頃に父から、「高速道路は将来無料にすると政府は言っているが、実に怪しい物だ。」と聞かされて来た。だから、今回の延長話も、「然も在りなん。」という感じ。
2004年の「年金制度改革」で、与党や政府は「今回の年金制度改革により、100年後でも年金制度は絶対大丈夫。」と大見得を切った。所謂「100年安心の年金制度改革」で、推し進めたのは小泉純一郎総理だった。だが、100年どころか、数年の内に「年金制度は、本当に維持出来るのか?」という声が次々と上がって来た始末。「2005年に高速道路を民営化し、『此の時点で残っていた借金40兆円を、2050年迄に返済、其の後無料化する。』と大見得を切ったのも矢張り小泉政権で、此の政権の胡散臭さを改めて感じている。
とは言え、自民党だけに問題が在る訳では無く、はっきり言ってしまえば「高速道路無料化問題は、徹底的な分析を行わず、抜本的な対策を先送りして来た与野党の好い加減さに端を発している。」と言って良い。
「大事故に繋がり兼ねないので、高速道路のメンテナンスは絶対に必要。なので、一定の出費が続いて行くのは仕方無いが、『メンテナンスに掛かる費用を、出来る限り減らす為の方策(技術的&人員的な方策)を真剣に考える。」事や「天下り等、無駄なコストを徹底的に削減する努力をする。」事等を死に物狂いで行わないと、高速道路は無料化どころか、利用者の負担はどんどん増加して行くのは明らかだ。