ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

今では成立しない設定

2011年06月10日 | 其の他

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昭和34年9月26日所謂伊勢湾台風」で、東海地方は大きな被害を受けた。其の時、吉野信人(宇津井健氏)の妻・世津子(岸田今日子さん)と生まれた許りの娘・いづみ(山口百恵さん)が行方不明に。名古屋の実家で出産した世津子は、東京の夫のに娘を連れて帰る途中の出来事だった。其の日から17年、吉野信人は行方の判らぬ妻子の事を心の底に秘めつつ、東京地検中堅検事として多忙な日々を送っていた。

 

一方、行方不明になったいづみは、孤児として養護施設白百合園」で“若杉京子”と名付けられ、明るく元気に成長していた。そして世津子は、記憶喪失の“大竹由美子”として、家庭を築いていた。

 

或る、父娘を引き合わせる事件が起きるが、其れ切っ掛けに更なる運命の悪戯が。父娘が真実に気付くのは何時なのか?そして記憶を失った世津子は・・・。

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嘗ては「ミステリートリック」として普通に成立していた事柄が、時代の流れと共に成立しなくなってしまった(乃至は「成立するに不自然さを感じる様になってしまった」)というケースが在ったりする。例えば固定電話しか無かった時代では成立したトリック(アリバイ工作等。)も、携帯電話やらインターネットが普及した今となっては成立しなかったり、成立するには不自然さを感じる様になってしまった事が少なく無い。ハイテク化の流れは時代と共に加速度を増しており、「数年前には成立したトリックが、今じゃあ成立しない。」なんて事も在り得る事態に。ミステリー作家も、大変な時代に在る。

 

先日、TBSチャンネルでは「赤いシリーズ」の第3弾「赤い運命」(動画)の再放送が開始となった。「赤いシリーズ」と言っても若い方にはサッパリ判らないだろうけれど、1974年~1980年に掛けて放送されたドラマ10作品を指し、タイトルの頭に全て「赤い~」が付いた事から「赤いシリーズ」と呼ばれた。山口百恵さんが主演した作品は何れも高い視聴率を叩き出したが、中でも「赤い運命」は最高傑作の呼び声が高い作品。第1弾の「赤い迷路」(動画)、そして第2弾の「赤い疑惑」(動画)と再放送されたのを見て来て、今は「赤い運命」を帰宅して見るのが楽しみとなっている。大好きだった“百恵ちゃん”の姿を見れるのも嬉しいが、岸田今日子さんや仲谷昇氏、下川辰平氏、志村喬氏、池部良氏といった今は亡き名優達の姿も懐かしい。

 

冒頭で記したのは、「赤い運命」の梗概。養護施設で育ち、今は其処保母見習いとして働く2人の少女が主人公で、1人は「若杉京子」と名付けられた子、そしてもう1人は「青山圭子」(秋野暢子さん)と名付けられた子。上した様に京子の本当の名前は「吉野いづみ」で、実父は検事の吉野信人。一方、圭子の本当の名前は「島崎直子」で、実父の「島崎英次」(三國連太郎氏)は殺人の罪で服役していた人間。

 

いづみが養護施設に預けられた際には「彼女が伊勢湾台風で決壊した堤防付近にて発見された事実が書かれた手紙と、其の際に着用していた『小鳥の刺繍入りのケープ』が、又、施設前に遺棄されていた直子には「水天宮の御守り袋と、『実父は島崎英次という名前で、現在殺人の罪で服役中している。』事が記された手紙。」が其れ其れ“身元証明”として添えられていた。養護施設の園長(下川辰平氏)は各々を箱に入れて大事に保管していたのだが、施設が火災に見舞われ、其れ等を持ち出そうとした際、誤って中身が入れ替わってしまう。事情を知っていたで在ろう園長は火災で亡くなり、いづみと直子は其れ其れ“実父では無い”英次と信人の下に娘として引き取られる事に。

 

ストーリーとしては、良く在る「王子と乞食」のパターン。7年前の記事でも紹介したが、「取り違えにより実の親では無い人間に育てられ、長じて其の事実を知った事から、実の親を捜している。」という人が、現実社会には居られるのも事実。いづみと直子は手紙や持ち物が身元証明となり、取り違えられてしまった訳だが、放送当時(1976年)で言えば「血液鑑定」で「親子として在り得ない血液型」(此れだって、今となっては「100%確実」と言えない事が判っているのだけれど。)が明らかにならない限りは、「実の親子関係かか」は判らなかったと思う。でも今ならば「DNA型鑑定」で、“”確実に「実の親子関係か否か」は判ってしまうのだから、「手紙や持ち物だけで『我が子』と信じて引き取るなんて設定。」は成立しないと言っても良いだろう。


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2 コメント

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昔は (spa supernova)
2011-06-11 14:11:58
病院で取り違えって設定のドラマも多かったですね。

http://www.youtube.com/watch?v=f6EiDNme3Bs

社会問題だったんですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AD%E3%81%98%E3%82%8C%E3%81%9F%E7%B5%86
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>spa supernova様 (giants-55)
2011-06-11 22:23:52
書き込み有難う御座いました。

「乳姉妹」もそうですが、所謂「大映ドラマ」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%98%A0%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93)には「子供の取り違え」や「恋心を寄せた相手が、実は血の繋がった兄妹だった。」という設定が多かったですね。

ベビー・ブームの頃は取り上げる赤ちゃんが多かった上に、赤ちゃんの足にマジックペンで名前を書いて見分けを付けていた(消えてしまう可能性も。)事も在り、取り違えてしまう危険性は小さくなかったのでしょうね。
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