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明日から夏休みという終業式の日、不登校を続けている同じクラスのS君に「夏休みの宿題等を届けて欲しい。」と担任の先生から依頼された小学生の僕。彼の家に辿り着いた僕が見たものは、家の中で首を吊って死んでいるS君の姿だった。慌てて学校に戻り、先生に状況を報告した僕。それを受けて先生と警察はS君の家に向かうも、何故かS君の死体は消えていた。
「嘘じゃない。確かに見たんだ!」と主張する僕に、先生や警察は疑念の目を向ける。そんな時、混乱した僕の前に現れたのは、一匹の蜘蛛に生まれ変わったS君だった。半信半疑のまま、僕は妹のミカと共にS君に言われるまま真相を探る調査に乗り出す。
近所で続発していた動物虐待死事件との関係は?先生の不可解な行動は何を意味するのか?S君の死体は何故消えてしまったのか?僕が御母さんから冷遇されている訳は?様々な”謎”が徐々に解き明かされて行って・・・。
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道尾秀介氏の作品「向日葵の咲かない夏」を読破。道尾氏は2004年に「背の眼」で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した作家で在るが、不勉強にして自分はその存在を全く存じ上げていなかった。先だって発表された2種類のミステリー・ベスト10(本年度)にて彼の作品がランク・イン、それも「本格ミステリ・ベスト10」に到ってはベスト10に3作品も選出されていたので、「これは是非読まなければ。」と遅まき乍ら食指が動かされた次第。
実に不思議な作品というのが第一印象。死んだS君が蜘蛛に生まれ変わって、主人公にアドヴァイスを送ったり、祈祷師の様な”婆さん”が登場したりと、何処となくジュブナイル小説の匂いを感じさせる非現実的な内容。登場人物の年齢を考えると、「こんな思考をする訳無いよなあ。」という言動もチラホラ在り、それが又非現実的さを助長している。
”謎解き”の面で言っても然程の意外性は無い。強いて言えば登場人物の”素性”に、3年前ミステリー・ファンの間で絶賛された歌野晶午氏の作品「葉桜の季節に君を想うということ」(個人的にはピンと来なかった。)と同様の意外性を覚える人も居るかもしれないが。
とは言え、凡庸な作風でも無い。「となり町戦争」で文壇デビューを果たした三崎亜記氏の様な不思議な作風が、ついつい次の頁を追わせてしまう。道尾氏の他の作品にも興味が湧いた。
リアリズムを求める人には、先ず肌合いが合わない作品かもしれない。総合評価は星3.5としたい。
明日から夏休みという終業式の日、不登校を続けている同じクラスのS君に「夏休みの宿題等を届けて欲しい。」と担任の先生から依頼された小学生の僕。彼の家に辿り着いた僕が見たものは、家の中で首を吊って死んでいるS君の姿だった。慌てて学校に戻り、先生に状況を報告した僕。それを受けて先生と警察はS君の家に向かうも、何故かS君の死体は消えていた。
「嘘じゃない。確かに見たんだ!」と主張する僕に、先生や警察は疑念の目を向ける。そんな時、混乱した僕の前に現れたのは、一匹の蜘蛛に生まれ変わったS君だった。半信半疑のまま、僕は妹のミカと共にS君に言われるまま真相を探る調査に乗り出す。
近所で続発していた動物虐待死事件との関係は?先生の不可解な行動は何を意味するのか?S君の死体は何故消えてしまったのか?僕が御母さんから冷遇されている訳は?様々な”謎”が徐々に解き明かされて行って・・・。
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道尾秀介氏の作品「向日葵の咲かない夏」を読破。道尾氏は2004年に「背の眼」で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した作家で在るが、不勉強にして自分はその存在を全く存じ上げていなかった。先だって発表された2種類のミステリー・ベスト10(本年度)にて彼の作品がランク・イン、それも「本格ミステリ・ベスト10」に到ってはベスト10に3作品も選出されていたので、「これは是非読まなければ。」と遅まき乍ら食指が動かされた次第。
実に不思議な作品というのが第一印象。死んだS君が蜘蛛に生まれ変わって、主人公にアドヴァイスを送ったり、祈祷師の様な”婆さん”が登場したりと、何処となくジュブナイル小説の匂いを感じさせる非現実的な内容。登場人物の年齢を考えると、「こんな思考をする訳無いよなあ。」という言動もチラホラ在り、それが又非現実的さを助長している。
”謎解き”の面で言っても然程の意外性は無い。強いて言えば登場人物の”素性”に、3年前ミステリー・ファンの間で絶賛された歌野晶午氏の作品「葉桜の季節に君を想うということ」(個人的にはピンと来なかった。)と同様の意外性を覚える人も居るかもしれないが。
とは言え、凡庸な作風でも無い。「となり町戦争」で文壇デビューを果たした三崎亜記氏の様な不思議な作風が、ついつい次の頁を追わせてしまう。道尾氏の他の作品にも興味が湧いた。
リアリズムを求める人には、先ず肌合いが合わない作品かもしれない。総合評価は星3.5としたい。
乙一氏の作品読まれた事在るんですね。彼は10年前に「夏と花火と私の死体」という作品でジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞したのですが、その時は何と17歳という若さでした。自分はこの作品と「GOTH リストカット事件」の2作を読みましたが、個人的には肌合いの合う作風では在りませんでした。「ZOO」は未読ですが、近い内に読んでみたいと思います。