ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「祈りの幕が下りる時」

2018年02月22日 | 映画関連

俳優大杉漣氏が昨日、急性心不全で亡くなられた。11年前の記事「脇役」で触れた様に、大好きな俳優の1人だったので、本当にショックだ。演技力の高い俳優は他にも居るけれど、“硬軟自在に演じ分けられる俳優”となると、そうは居ない。66歳という若さなので、未だ未だ名演技を見せて貰えると思っていたのに・・・残念でならない。合掌

 

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滋賀県に住む女性・押谷道子中島ひろ子さん)が東京都葛飾区で殺され、松宮脩平溝端淳平氏)等、警視庁捜査1課刑事達が担当するが、捜査は難航する。軈て捜査線上に女性演出家浅居博美松嶋菜々子さん)の存在が浮かび上がり、近くで発見された焼死体との関連を疑う松宮は、其の遺品に日本橋を囲む12の橋の名が記されている事を発見する。其の事を知った従兄弟加賀恭一郎阿部寛氏)は心を乱し・・・。

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東野圭吾氏の小説加賀恭一郎シリーズ」は、現在に10冊上梓されている人気シリーズ。今回観て来た映画祈りの幕が下りる時」は第10弾に当たり5年前に原作を読んだ際の総合評価では「星4.5個」を付けている

 

加賀恭一郎と言えば、「父親・隆正と同じ警察官の道を歩むも、其の父親とはずっと疎遠の状態が続き、隆正の死によって漸く蟠り払拭出来たという過去。」を持つ。隆正が仕事を最優先し、家庭を顧みなかった事で、恭一郎が幼い時に母・百合子が家を出て行ってしまったからだ。今回の作品では、百合子が仙台で変死していた事、そして恭一郎が刑事としてずっと日本橋署から離れなかった理由が明らかとなる。

 

自分は原作を読んでいたから良いが、未読此の作品を観ると、人間関係に判り辛さを感じるかもしれない。「〇〇だと思っていた人物が、実はXXで、△△だと思っていた人物が〇〇だった。」みたいな状況に加え、正体不明な人物が登場したりするからだ。

 

又、約2時間の上映時間も、もう少し“圧縮”した方が良い。展開的に冗長さを感じ、眠気を感じもしたので。

 

とは言え、“家族間の情愛”に心を掻き乱され、原作を読んだ際と同様に涙してしまう内容だった。

 

1980年代、「MEN’S NON-NO」の人気モデルとして脚光を浴びた阿部寛氏だが、俳優に転向した当初は「顔が良いだけで、演技力が全然無い。」という感じだった。でも、演出家・つかこうへい氏によって徹底的に鍛え上げられた結果、今や個性的な俳優の1人となった。今回の作品でも、非常に良い味を出している。

 

一方、ファンの方には申し訳無いけれど、松嶋菜々子さんは「顔が良いだけで、演技力が全然無い。」という状況から全く脱却出来ていない。「何を演じても、『松嶋菜々子が、松嶋菜々子を演じている。』という感じ。」で、“女版キムタク”と言える。浅居博美役を別の女優が演じていたら、作品にもっと深みが出たかもしれない。

 

総合評価は、星4つとする。


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2 コメント

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Unknown ()
2018-02-22 20:26:59
奇しくも北野映画を書いている時でしたので、次の記事は、大杉さんに捧げるものになると思います。

物静かさと、激情の強さを兼ね備えた稀有な俳優でしたね。大人の男性の渋さとは、素直なだけではなく、どこか、悪辣とした、ちょい悪親父独特の気質もないと、魅力的ではない、と演じている姿から思いました。どこかで戦っていないと、大人の男性は、カッコ良さを表現出来ないのではないでしょうか。

Jリーグファンでもあったとの事ですが、どこかで自分の武と向き合っていた人だと思います。文士であっても、武の香はその端々から醸し出されるものでしょう。スポーツ選手が頭が悪い、というのは、偏見でありますが、文武両道という事は、人間としてバランスを保つ為に、大切な行動だと思います。大杉さんの硬軟演じ分ける才能は、そうした、懐の深さゆえでしょうね。
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>隆様 (giants-55)
2018-02-23 05:32:37
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

大杉漣氏の訃報、全く想像だにしていなかったので、本当にショックでした。つい先日も御元気な姿をTV番組で拝見した許りでしたし。大きな病気をした事も持病も無かったとの事で、御遺族の衝撃も相当な物だったでしょう。

俳優としてだけでは無く、画面から伝わって来る人間性も、実に魅力的な方でしたね。以前、煙草を吸うという動作だけでも、演じる役によって変えているという話を聞き、「“300の顔を持つ男”足り得ているのも、努力の賜物なのだなあ。」と感じました。

申し訳無いけれど、顔の作りで言えば決して男前では無い。でも、内面から滲み出て来る物から、実に男前さを感じる、セクシーな俳優でしたね。其れだけに、早い死が残念でなりません。
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