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中学時代に養父から性的暴行を受けた女子高生・平林美和(ひらばやし みわ)は、義父に殴り殺された弟“ユウちゃん”を内面化し、其の囁きに従って“ファイナル・プラン”と名付けられた大量殺人計画を遂行し様とする。
一方、倉持穂乃果(くらもち ほのか)は意識が高く社交的で、自らの日常や読んだ本の感想をブログに書き続けていた。そんな倉持を嘲笑し乍ら、着々と計画を進める平林で在ったが、其の先には思い掛け無い事態が・・・。
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東山彰良氏や海堂尊氏、中山七里氏等、多くの人気作家を輩出して来た文学賞の「『このミステリーがすごい!』大賞」。今年で15回目を迎えるが、第14回(2015年)の“隠し玉”に選ばれたのが、枝松蛍さんの小説「何様ですか?」。年齢も性別も判らない“覆面作家”としてデビューしたそうだが、直木賞作家・朝井リョウ氏の作品「何様」とタイトルに似ていて、実に紛らわしい。
「何様ですか?」は“平林美和の独白”、“男子高校生・戸塚原(とつかはら)が兄に宛てた手紙”、そして“倉持穂乃果のブログ”という3つの視点から、ストーリーが進んで行く。
「読み終えた時、嫌な気持ちになるミステリー。」を“嫌ミス”と呼び、其の代表格は作家の湊かなえさんなのだとか。「何様ですか?」も“嫌ミス”の範疇に入ると思われるが、最初から最後迄悪意に溢れた内容は、自己愛が異常に高い倉持穂乃果が記す文章のうざさも加わって、不快さ満点で在る。
どんでん返しには稍意外性が在ったものの、兎に角、強烈な不快さが前面に出過ぎていて、個人的には御薦め出来る作品では無い。読後に残ったのは、「読まなければ良かった・・・。」という思いのみ。
総合評価は、星2つとする。