ズバリ聞きます！（５１）

元陸上競技選手の為末大氏は、其の言動がネット上で屡々取り上げられる人物の１人でも在る。彼がＡＥＲＡに連載しているコラム「為末大ＸＡＥＲＡ白熱ウェブ」は、「為末氏が最近に気になった話題を取り上げ、其の事に関する私見を記した上で、ネット上にて意見を求め、其れを紹介する。」というネット連動型ディスカッションで、１月２６日号は「ヘイト・スピーチをする人の素性を明かしても良いか」というテーマ。

 

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「ヘイト・スピーチをする人の素性を明かしても良いか」

 

インターネットの世界では、匿名の儘、情報を発信する事が出来ます。「実名では難しい告発も、匿名だったら出来る。」、「普段は言えない様な意見が集まる。」等の効果も在ります。

 

しかし、個人が特定されない事を理由に、ヘイト・スピーチや誹謗中傷を繰り返す人も見られます。

 

此れ迄、誹謗中傷は社会的地位の高い人や有名人が対象でしたが、ネットの発達で、一般の方が対象になる事も増えました。酷い場合には噂話を流したり、中には、其の人に成り済まして悪事を行ったように見せ、攻撃させたりするケースも在る様です。

 

警察に相談する事も出来るでしょうが、法に触れない限り限りのラインを狙われると、泣き寝入りせざるを得ないかもしれません。

 

海外には、匿名で誹謗中傷をする人の自宅を突き止め、「何故、そういう行動を取ったのか？」と問い詰める番組が在るそうです。物議を醸し乍らも、人気番組となっているそうです。

 

又、日本でも最近、ヘイト・スピーチを繰り返していた個人を、或るジャーナリストが突き止めたケースが在りました。個人を特定するのは如何な物かと、其の行為は賛否が分かれた様です。個人がソーシャル・メディアを使う時代に於ては、個人が相手の素性を明かす事も不可能では無い様です。

 

個人の特定は、誹謗中傷を止める為には有効です。更に、特定出来るという報道が誹謗中傷を抑制するかもしれません。ですが、間違った人を犯人扱いし、実害を与えてしまう事も在り得ます。

 

又、充分に裏を取らずに行動すると、インターネット上で長期間に亘って、或る殺人事件の犯人と中傷され続けたスマイリーキクチさんの様なケースが生まれるかもしれません。

 

此処で皆さんに伺います。誹謗中傷を繰り返す個人の素性を明かす事は、許されると思いますか。

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此の問い掛けに寄せられた主な意見が紹介されていたので、下記してみる。

 

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【許される】

・ヘイト・スピーチは犯罪だから、（個人情報を公開しても）許される。犯罪を通報する事が市民の義務で在る様に、ヘイト・スピーチから社会を守る為には、義務を果たすべき。

 

・法治国家とはいえ、ネット上での誹謗中傷からの充分な保護が与えられていない現状では、被害者は自力救済するしかない。又、誹謗中傷を繰り返すなら、加害者は素性を明かされる位は覚悟して欲しい。「リスク無しで、他者を攻撃出来る。」等と考える方がおかしい。

 

・ヘイト・スピーチという、許されるべきでは無い言論テロと闘うには、リスクを冒す覚悟が必要です。そして、余り覚悟の無いレイシスト側は、もっと社会的制裁を受けるべきではないでしょうか。人種差別やヘイトに対する今の日本の法整備は、余りに酷い。

 

・言論の自由を盾に罵詈雑言を並べるなら、言論の自由を以て、個人情報を出せば良い。判断は、司法が下せば良い。

 

 

【許されない】

・日本が法治国家として在り続ける為には、個人の報復で、相手の個人情報を公にしてはならないと考えます。ネット上で誹謗中傷された場合は、近くの警察か弁護士に相談すべきです。

 

・一旦ネットの世界で公開されたら、取り消しは出来ません。従って、仮令誹謗中傷を繰り返す人で在っても、其の素性を個人が明かす事は許されません。法治国家では、法律に委ねるべきです。

 

・感情的には兎も角、法的には許されない。晒した相手が本当の犯人だと、誰が担保するんです？

 

 

【其の他】

・武士の様に名を言って、顔を見せて、言い合えば宜しい。

 

・「被害者側の個人情報を、如何に保護するか。」の議論の方が、有益ではないでしょうか。例えば週刊誌等で名誉を毀損しても、貴社の個人情報が特定されたという話は聞きません。ネット以外の情報に付いても、責任を問う動きを並行して行わねば、意味が無いと思います。

 

・ヘイト・スピーチ等の社会的影響が在る発言をするからには、其れなりの覚悟と責任を負う必要も在る。覚悟も責任も無い発言には、何の価値も無い。

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「朝鮮人を皆殺しにしろ！」等、常軌を逸した野卑な表現は、最早“言論の自由”云々で許される物では無い。「自分が逆の立場で、そういった言葉を浴びせ掛けられたら、何れだけ恐怖を感じるか？」、真面な人間ならば判る事だろう。

 

自身がヘイト・スピーチを浴びせ掛けられたとしたら、“感情的には”「許される派」の人達の意見に賛成だが、“法治国家たる日本の国民としては”「許されない派」の意見を尊重せざるを得ない。「ヘイト・スピーチをした人間として晒した個人情報が、全くの誤りだった。」という場合、全く無関係な犠牲者を更に生んでしまう訳で、実際にヘイト・スピーチをした輩と同類になってしまうし。

 

「時の権力者達が、自信に不都合な事実を報道されそうになった際、『其れはヘイト・スピーチと一緒だ！』なんぞと報道を弾圧する材料にされ兼ねない。」という懸念が在るので、其の整備には慎重さが必要だけれど、常軌を逸したレヴェルのヘイト・スピーチには、其れなりに重い罰を与える法律が必要。そういった法律を作った上で、「悪質なヘイト・スピーチは絶対に許さない！」と、法律に則って不埒者を戒めるのが、法治国家としての在り様だと思う。

 

・・・と私見を書いた上で、皆様にズバリ聞きます！「ヘイト・スピーチを繰り返す人の素性を明かす事に付いて、貴方はどう思いますか？」。