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2003年に作家デビュー後、発表した短編小説は120編超。其の中から、著者厳選の5編を収録。加えて、此れ迄未刊行だった第25回小説推理新人賞受賞作「真夏の車輪」を、大幅に加筆修正して初収録。「短編ミステリーの名手」による巧妙な伏線、予想外の結末、ビターな人間ドラマを存分に堪能出来る、ザ・ベスト・オブ・長岡ミステリー。
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小説「『教場』シリーズ」で有名な作家・長岡弘樹氏。彼の短編小説6編で構成されていのが、今回読んだ「切願 自選ミステリー短編集」。何よりも貴重なのは、彼の“処女作”で在る「真夏の車輪」が初収録されている事。短編ミステリーの名手の処女作に触れられるのは、ミステリー好きとしては嬉しい限り。
先ずは「真夏の車輪」だが、全般的に“生硬さ”が感じられる。処女作という事で仕方無いのだろうけれど、今の長岡作品を知っている身としては、どうしても物足り無さを感じるし、結末も「うーん・・・。」という感じ。
又、他の5編も“先が読める内容”で、長岡氏自身が厳選した作品群というのが納得出来ない。言葉は良く無いが、「未収録の作品を、取り敢えず搔き集めました。」という感じで、「『教場』シリーズ」のテーストを期待して読んだならば、がっかりするのではないだろうか。
総合評価は、星3つとする。