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同一犯か?模倣犯か?
群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で、相次いで女性の死体が発見される。10年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせて行く。
嘗て容疑を掛けられた男。取り調べを担当した元刑事。娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者達。
10年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか?
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奥田英朗氏の「リバー」は「2022週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」の6位、そして「このミステリーがすごい!2023年版【国内編】」の9位に選ばれた小説。10年前に発生した2件の連続殺人事件は、未解決の儘となっていたが、再び似た手口の連続殺人事件が発生する。事件に関わって来た(関わっている)人々の姿を描いているのだけれど、癖の強い人間が少なく無い。
特に癖が強いのは、「嘗て容疑を掛けられた男。」と「娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。」の2人。被害者の父親という気の毒な面は在るけれど、彼の言動は常軌を逸した部分が在り、申し訳無いが“病的”で、「付き纏われる警察官達も大変だなあ。」と同情してしまう程。
解離性同一性障害(多重人格)や引き籠り、目的達成の為には手段を選ばない元刑事等、特異なキャラクターを詰め込み過ぎた感じがする。其れでいて、肝心な“謎解き”や“動機”の部分がパッとしないのだから、「色々詰め込み過ぎて、収拾が付かなくなった。」、「大山鳴動して鼠一匹だな。」といった感じが。
総合評価は、星3つとする。