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「千切れた臓器ピタッ『夢の生体接着剤』 岡山大が開発」(5月22日、朝日新聞)
岡山大は、千切れた臓器等、生きた組織をくっ付ける新たな接着剤を開発した。体に優しく、接着力も強く、直ぐくっ付き、剝がすのも容易。利点の多い新素材に、研究チームは医用以外にも広く使える「夢の生体接着剤」へ繋げたいと期待している。
組織接着剤は、主に手術時に切断面の止血や縫い合わせた傷の補修等に使う。現在、血に含まれる蛋白質を利用したフィブリン系接着剤が市販されているが、接着力が余り強くないという弱点が在る。
岡山大歯学部の松本卓也教授(生体材料学)等は、骨や歯の主成分で、医用品や歯磨き剤、健康食品等に使われている「ハイドロキシアパタイト(HAp)」に着目した。
HApは、蛋白質等を吸着する性質を持つ。研究チームは、蛋白質をより効率良く吸着する微細構造を設計。独自の手法で成形し、シートや粉末状にした。
此のシートや粉末を切断面に付けて押し付けると、直ぐに組織の蛋白質と反応して接着した。マウスの皮膚組織を使って接着力を比べると、従来のフィブリン系接着剤の2倍以上の引っ張り力に耐えた。又、水をたっぷり含ませると、綺麗に剝がせると言う。
構造設計をした岡田正弘准教授は「HApは価格が安い上、無機素材なので加熱消毒が出来、取り扱いも容易という利点が在ります。」と説明する。食べても大丈夫な成分なので、医用以外に、食品加工や接ぎ木や生け花等、植物への応用も期待出来ると言う。
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手術する側にとっても、手術される側にとっても、多くのメリットを生み出すで在ろう夢の“接着剤”。医療現場で実際に使用される迄には、クリアしなければならない点が在るのだろうけれど、早く使用される様になって欲しい。