週刊新潮の9月25日号に、面白い記事が載っていた。9年前、「刑務所誘致合戦」という記事で、「多くの地方自治体が、刑務所誘致に奔走している日本。」という現実を紹介したが、今回の記事は「国境を越えての刑務所レンタル」だ。
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昨今、流行の“アウトソーシング(業務委託)”が、何と此の分野にも-。
受刑者増による刑務所不足に悩んでいたノルウェー。隣国スウェーデンに助けを求めるも断られてしまった所に、救いの手を差し伸べたのはオランダだった。「大麻や売春が合法で、治安が悪いと思われ勝ちなオランダですが、実は此処数年、犯罪率は減り続けている。其れに伴い、国内の85刑務所の内19施設が、2018年迄に閉鎖予定となっていました。」。(現地記者)
どうせ不要なら他国の為に有効利用をと、オランダは受刑者300人の引き受けを決定。其の対価に、年間数千万ユーロが支払われると言う。
加えて、こんな事情も。「オランダの失業率は現在7.3%と、リーマン・ショック前と比べて2倍以上。700人分の雇用に繋がる刑務所レンタルの申し出を、断る理由は無いでしょう。」。
だが、ノルウェーから受刑者が遣って来ると聞き、青褪めた住民も多かったに違い無い。何しろ2011年のテロ事件で計77人を殺害した、ブレイヴィク受刑者を擁する国なのだから。
「安心して下さい。今回移送されるのは、性犯罪や暴力事件を起こして捕まった人々で、殺人犯は含まれない。然も、対象はノルウェー人受刑者では無く、犯罪率を上昇させている移民達になるとの事です。」。
同盟国の信頼と金銭を得られる一方で、“シリアル・キラー”が到来する訳でも無いとなれば、中々に良いビジネスではないか。
「最も困るのは、当の受刑者かもしれません。オランダに英語が話せる看守は少なく、先ずはコミュニケーションの問題が予想されます。又、文化が違う以上、社会復帰に向けた再教育も上手く行くとは思えない。」。
同情する義理は無いけれど、確かに少し気の毒かも。
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「安心して下さい。」とする根拠、「移送される受刑者に、殺人犯が含まれていない。」というのは未だ判るのだが、「対象はノルウェー人受刑者では無く、犯罪率を上昇させている移民達になる。」からというのが、今一つ理解に苦しむ。「ノルウェー人受刑者なら安心では無く、犯罪率を上昇させている移民達なら安心。」というのでは、論理的に成り立っていない気がするのだけれど。
其の辺は別にして、「閉鎖予定だった自国の刑務所を、有効利用出来る。」、「自国の失業者対策になり、尚且つ金銭を稼げる。」、「移送される受刑者は比較的問題が無く、治安悪化には繋がらない。」というので在れば、オランダが“刑務所レンタル”に乗り出すのは判らないでも無い。
唯、使用済み核燃料を含む廃棄物の処理もそうだが、「自国の問題は、自国内で全て解決するのが本筋。」と思うので、そういう意味ではどんな物か。