ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

地球の上に夜が来る 僕は今、家路を急いでる♪

2007年05月26日 | 書籍関連
帰宅途中にふらりと立ち寄った書店で、平積みされた或る雑誌に目が釘付けとなってしまった。「うわー、懐かしい。」心の中でそう叫んでしまった雑誌は「熱血!!コロコロ伝説 Vol.1」。*1月刊漫画雑誌「コロコロコミック」が1977年4月に創刊されてから今年で30周年を迎えるという事で、それを記念して1977年から1996年の20年間に同誌を飾った名作&傑作漫画を、全10巻にて厳選収録した「大人の為のコロコロコミック」なのだそうだ。Vol.1は1977年から1978年に連載されていた作品で、正に当時小学生だった自分が読んでいた物ばかり。(「コロコロコミック」は創刊号から数年読んでいた記憶在り。)「ドラえもん」に「新オバケのQ太郎」、「みきおとミキオ」、「バケルくん」という藤子・F・不二雄氏の定番作品から、「いなかっぺ大将」(川崎のぼる氏)、「ザ・ウルトラマン」(内山まもる氏)、「リトル巨人くん」(内山まもる氏)、「がんばれ!ドンベ」(はしもとみつお氏)、「日本動物記」(飯森広一氏)等々、どれも夢中になって読んでいたっけ。余りにも懐かしかったので、即座に購入を決めてしまった。休みの日にでも、ゆっくり読んでみたいと思っている。

漫画と言えば、今、はまっているのが浦沢直樹氏の作品。ファンの方からすれば「何を今更。」と思われるだろうが、彼の作品を初めて読んだのは今年になってから。勿論、彼の名前及び「YAWARA!」等の作品の存在は以前より知っていたが、何故か読もうという気にはなれなかった。敬愛して止まない手塚治虫氏の代表作の1つ「鉄腕アトム」。その1エピソード「地上最大のロボット」を彼がリメイクのを知り、チラッとそのキャラクター・デザインを目にしたが、手塚タッチと全く異なるものだった為、「何だこれは・・・。」とガッカリさせられると共に、それが浦沢氏に対する反発めいた思いに転じてしまったというのも理由の1つ。ところが昨年、たまたま浦沢氏のトーク・ショーを観覧し、その中で彼のざっくばらんな為人や手塚氏に対する思いの深さに触れ、「彼の作品を読んでみようかな。」と単純な自分はあっさりと宗旨替えをしたのだった。

最初に読んだのは「地上最大のロボット」のリメイク作品で、現時点で4巻単行本化されている「PLUTO」。キャラクター・デザインは手塚タッチと全く異なるが、ロボット達が抱える懊悩を上手く描き上げている。リメイクで在りながら、単純なリメイクでは無い、換骨奪胎という言葉がピッタリ来る様な独自の世界観に魅せられてしまった。

その後、「YAWARA!」に「MASTERキートン」、「MONSTER」*2、「パイナップルARMY」等を読破。概して「従来の漫画では、余り取り上げられて来なかったテーマ」を取り上げているというのが、彼の作品の特徴の様に思う。「MASTERキートン」や「パイナップルARMY」がその典型だが、国際情勢や歴史等が絶妙に織り込まれたストーリーは読み応え充分で、「もっと早くから浦沢作品を読めば良かった。」と”読まず嫌い”を反省するばかり。

そして今、「20世紀少年」という作品を読み進んでいる。有名な作品と思うので改めて此処で改めて書くのも何なのだが、その粗筋は次の通り。

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日本が高度経済成長期の真っ只中の1970年代は、夢と希望に満ち溢れた時代でも在った。その時代に、少年達が空想した”未来”の世界。「地球滅亡を目論む悪の組織が、巨大ロボットを用いて東京を破壊し尽くす。世界は混沌とし、滅亡へと向かって行く。地球を救う為、悪の組織に立ち向かう正義のヒーローとその仲間達。」こんな下らないストーリーを、”よげんの書”と少年達は名付けた。そして彼等が大人になるにつれ、そんな空想の記憶は薄れて行く。

しかし1997年に幼馴染みが不審な死を遂げ、世界各地に異変が起き始めた事で、”嘗ての少年達”の脳裏に恐ろしい疑念が湧いて来る。「昔、”よげんの書”に書いた事が現実化して来ている・・・。」悪の組織”ともだち”を率いる謎の男”ともだち”は一体誰なのか?そして、嘗ての少年達は地球を救う事が出来るのだろうか?
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1970年代の世界と”未来”の世界が交互に描かれて行く。郷愁を感じさせる1970年代の世界が、中年のおっさんの心を激しく揺さぶる。「こんな事が在ったなあ。」、「そうそう、そんな事もしたっけ。」と懐かしさを噛み締めつつ、先の読めない展開にぐいぐい引き込まれて行く。浦沢作品、恐るべし。

尚、今回のタイトル「地球の上に夜が来る 僕は今、家路を急いでる♪」は、この作品の主人公・ケンヂがギター片手に歌う「ボブ・レノン」の一節から付けた。作者の浦沢氏が実際に手掛けた歌という事で、こちらで一部を聞く事が出来るが、70年代っぽい曲調&詩はなかなかGood!

*1 こちらの情報によると、Vol.3ではあのとりいかずよし氏の書き下ろし作品が掲載されるとか。「トイレット博士」を読み、「マタンキ」や「メタクソ団」、「7年殺し」といった言葉に懐かしさを覚える世代には至福のプレゼントと言えよう。

*2 この作品には、手塚治虫氏の作品「MW」を思わせるシーンが登場する。

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6 コメント

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あ!いけね! (Spa supernova)
2007-05-26 22:05:29
忘れてました!明日買いに行かなくちゃ!
特にオバQ!これをきっかけに単行本化されたらいいのだが…。
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>Spa supernova様 (giants-55)
2007-05-27 01:06:52
書き込み有難う御座いました。

「熱血!!コロコロ伝説」、御存知でしたか。昨日は野暮用に振り回されていた為、チラッとしか中身を見ていないのですが、ピック・アップされた作品のタイトルを目にするだけで懐かしさが込み上げて来ます。

藤子 不二雄Ⓐ氏の作品は比較的入手し易いのですが、御亡くなりになられた藤子・F・不二雄氏の作品は本当に入手困難な物ばかり。古本屋では目の玉が飛び出しそうな高価な値段が付いていますしね。「ウメ星デンカ」や「バケルくん」、「みきおとミキオ」、そして絵柄が差別的という理由からアニメの再放送も出来ない「ジャングル黒べえ」等、もう一度読みたい作品ばかり。

「オバケのQ太郎」及び「新オバケのQ太郎」も好きな作品です。(今回の雑誌の付録として、「新オバケのQ太郎 第1巻」の復刻本が付いているのは嬉しい限り。)「新オバケのQ太郎」の第1話は、「弟のO次郎を伴って再び人間社会に帰って来たQちゃんが、さぞかし皆が喜んで迎えてくれるだろうと期待していたものの、ドロンパがそれ迄にQちゃんに何度も化けて皆を騙していた事から、皆が冷たい対応を取る。しかし、頑固爺の神成さんだけは大歓迎してくれた事にQちゃんが大感激。」というストーリーでしたよね。以前自分が大好きな作品として挙げた「劇画・オバQ」(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/39db287e0e4e13d2764cd80ebcc88728)では、その神成さんが既に亡くなっていた事をQちゃんが知ってシンミリするというシーンが在りましたが、「新オバケのQ太郎」の第1話とこの「劇画・オバQ」を続けて読んだ時、何とも言えない寂寥感を自分は覚えてしまいます。

今回の雑誌の付録には他に、「がんばれ!ドンベ」の復刻本も付いています。この作品、自分の記憶の中からはスポッと抜け落ちていたのですが、当時は子供心に遣り切れない思いを持ったものでした。小学校のクラスで出来の悪い5人(男子4人、女子1人)がドンベ(最下位)のグループとして組まされ、その彼等の姿を描いた作品ですが、「ドンベ!」と皆から馬鹿にされながらも、仲間達を思い遣りつつ頑張る5人が何ともけなげで、特に幼い頃に両親が離婚し、女手一つで育てられた女の子(アケミ)が別れた父親に会いに行くという「第5話 父をたずねて・・・」は、もう読んでいて切なくて堪らなかったです。
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懐かしい!コロコロ (miyashiro)
2007-05-27 01:36:27
こんばんは。

このような大人心をくすぐる雑誌が出てたんですね!私は「ゲームセンターあらし」「とどろけ!一番」の世代ですが、中でも「金メダルマン」が好きでした。金メダルを獲った英雄なのになぜか貧乏という設定...子供心に不思議に感じましたが、アマの祭典であるオリンピックではあり得ることだと後に知りました(笑 アルバイトをしながらカップラーメンをすする金メダルマンに涙したものです(笑

思い入れのある作品が多いですが、内山まもる氏の野球漫画と氏が書くウルトラ兄弟の漫画は秀逸と思います!

「がんばれ!ドンベ」も好きでした。落ちこぼれとか貧乏とか家庭環境とか、今となっては古き良き日本を感じさせる作品だったかと思います。アケミちゃんがちょっとかわいかったので好きだったのかもしれませんが(笑 等身大の小学生がいろいろと考えて一生懸命問題を解決して(生きて)いくという秀作だったと思います。

明日、早速買いに走ります!
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Unknown (アラメイン伯)
2007-05-27 11:56:52
浦沢直樹は僕も大好きです。
なかでもお気に入りなのが
「MASTEARキートン」です。
考古学や社会教育といった他にはないテーマを扱ってる珍しいマンガです。
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懐かしいです (マヌケ)
2007-05-29 00:25:08
「20世紀少年」私も最近読んでいますよ。 少し前まではアニメにもなりましたが、「ヒカルの碁」という作品に一時期はまりました。 囲碁の世界を初めて知りました。 サザエさんのようにキャラクターが心身ともに成長しないマンガとの対極にあるような作品で、主人公の少年が囲碁との出会いから成長して才能も人間関係もはぐくまれて対局の中でもまれて大きくなっていく時間の流れがみごとに描かれているのです。 子供のころの少年漫画から始まってこの年齢になりましてもそれなにりにのめりこめる作品がたくさんあるものです。 浦沢直樹氏の作品もほとんど読みました。 最近では「へうげもの」「ガンツ」「フリージア」などを読みました。 野球マンガでは「メジャー」を息子とともに最新号が出るのを心待ちにしています。 それから最近見た「プルコギ」という映画の原作のマンガがあると聞き一度手にしてみようかと思っているところです。 
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-05-29 01:34:28
書き込み有難う御座いました。

マヌケ様も浦沢作品にはまっておられるんですね。上でアラメイン伯様も触れておられる様に、彼の作品は他の漫画家が余り取り上げないテーマを題材にした物が多いのが魅力ですし、「20世紀少年」に関しては兎に角おっさん達のハートにずしりと懐かしさをぶちかましてくれるのが最高です。

子供の頃は週刊少年誌を読み漁っていましたが、社会人になった辺りからは漫画雑誌自体を殆ど読まなくなりました。強いて言えば「金田一少年の事件簿」が載っていた「週刊少年マガジン」を立ち読みし、手塚治虫氏や弘兼憲史氏、西岸良平氏といった方々の作品が単行本化された際に購入して読む位。所謂「成人向けコミック誌」(H系という意味では在りません。)は殆ど読んでいないと思います。

ですのでマヌケ様が列挙された作品は残念乍ら全く存じ上げないのですが、マヌケ様がそこ迄はまられたという事はかなり面白いのでしょうね。
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