♪
小鳥が楽し気にさえずり 小川のせせらぎが聞こえていた
正午の鐘が 村に陽気に鳴り響く
この世界は 収穫の月よりも明るく思えた
腕の中に君をやさしく抱きしめていたから
ほほを赤らめて 君はそっと背を向けた
僕は忘れることはできない 君を抱きしめたあの感触を
もう一度会える日が来てほしいと祈らずにはいられないんだ
街から長い旅をして 僕はここにやって来た
心は哀しみで張り裂けそうだけれど 強く持たなければ
花束を持って来たよ
新しい墓標を飾るのに とてもきれいだと思う
お父さん、 彼女の眠っているところを
遠くから指さすだけでもいいから 僕に教えてください
彼は言った
「娘は今わの際に
このリンゴの木の下に私を埋めて、と言ったんだよ」
その古いリンゴの木の陰で
君の瞳の中に愛を見、ささやく声を
鳥の歌う甘い調べのように聴いた
ミツバチの羽音がけだるく聞こえるリンゴの花の中で
君は言ったんだ
「きっと待っているわね この古いリンゴの木の下で」