失敗しない電気シェーバーの選び方
ここでは、電気シェーバーの代表的な2種類の駆動形式「往復式」と「回転式」を順に紹介していこう。
・駆動形式と肌質~「往復式」~
「往復式」は、主にパナソニックやブラウンの電気シェーバーが採用する。写真は、パナソニック「ラムダッシュ ES-LV9FX」のヘッド部
「往復式」は、外刃で捕らえたヒゲを、左右に往復する内刃で剃る駆動形式。
内刃が高速で往復し、濃いヒゲから太いヒゲ、細い毛、くせ毛まで、しっかりと捕らえて剃り上げる。外刃の枚数は3~5枚が主流。刃の枚数が多いモデルほど、それだけヒゲを根本から捕らえて取りこぼしなく剃り上げる能力に長けているため、シェービング時間は短縮される。時間のない朝に使うにはぴったりだ。
いっぽうで、刃が多いモデルは、肌との摩擦が強くなりがちで、薄いヒゲの人にとってはオーバースペックなことも。剃った部分が傷ついてヒリヒリしてしまうことがあるのだ。とは言え、近年の「往復式」モデルは、肌の凹凸に合わせて動くヘッドや、摩擦を低減するローラーの搭載など、肌への負担軽減をうたう機能を備えたモデルも多く、一概にヒゲが濃い人向けとも言えない。
なお、パナソニックの往復式電気シェーバーブランド「ラムダッシュ」では、5枚刃の電気シェーバーを「濃いヒゲ」用、3枚刃シェーバーを「やや濃いヒゲ」用と分けている。
・駆動形式と肌質~「回転式」~
「回転式」は、特にフィリップスの電気シェーバーが採用する。写真は、フィリップス「S9000プレステージ SP9861/13」のヘッド部
「回転式」は、扇風機の羽根のように回る内刃でヒゲを剃る駆動形式。
円形の外刃の中で、内刃が回転運動することでヒゲを剃り上げる。もみあげなどの剃りたくない個所の剃り分けが難しい半面、外刃が触れる面積が大きいために広範囲に剃れるメリットもある。使用時の動かし方も独特で、「往復式」が本体を上下に動かすいっぽう、「回転式」は刃が肌の上で円を描くように本体を回しながらシェービングする。
また、「回転式」は1度に広範囲のヒゲが剃れるので、何度も肌をこする必要がなく、肌への負担やシェービング後のヒリヒリ感が少ないとされている。敏感肌や乾燥肌の人、ヒゲが薄い・まばらな人におすすめだ。いっぽうで、ヒゲが濃い人にとっては、剃り上げるのに時間がかかる可能性はある。
2つの駆動形式には、それぞれメリットとデメリットがあるが、最新モデルにおいてはどれもデメリットをある程度解消する機能が搭載されているので、一様に「濃い人にはこれ」「薄い人にはこれ」と断言できない。結局は、実際に使ってみて、動かし方や肌に当てた時の感触、剃り具合が、自分の顔の形やヒゲに合っているかどうかを確認する必要がある。もちろん、価格.comの製品ページに書かれた「ユーザーレビュー・評価」をチェックするのもひとつの手だ。
以上で説明した特徴は、目安程度に覚えておこう。
・使い勝手
駆動方式以外にチェックしたいのが、使い勝手に関する機能だ。
自分の使用シーンを想像してほしい。「どこで」「どのように使って」「どのようにメンテナンス」するか。理想の使用シーンを実現してくれるモデルを選んでいけば、購入検討モデルが絞られていくはずだ。特に「風呂剃り対応」「電源方式」「洗浄器の有無」はチェックしておきたい。
「風呂剃り対応」と「電源方式」は関係性がある。ケーブルを電源とつないだ充電中の状態だと使用できない「充電」タイプは、風呂剃りに対応しているモデルが多く、充電しながらでも使用できる「充電交流」タイプは、風呂剃りに対応していない場合が多い。ちなみに、「水洗い対応」していても「風呂剃り対応」していないモデルは多いので注意が必要だ。
「風呂剃り対応」モデルは、シェービングフォームやジェルが使用できるので、ドライシェービングが苦手な皮膚の弱い人でも快適に使用できる可能性がある
「洗浄器」は、同じ電気シェーバー本体でも、付属モデルと非付属モデルがラインアップされていたりする。メーカーによって機能は多少異なるものの、なかには電気シェーバー本体を入れておくだけで洗浄、乾燥、潤滑化、充電まで行ってくれる高機能洗浄器もある。洗浄器があれば、メンテナンスは非常に楽になるが、付属していればもちろん価格は上がるため、付属モデルを選ぶかどうかは予算との相談になりそうだ。
マクセル「イズミ Z-DRIVE ハイエンドシリーズ IZF-V990」に付属する全自動クリーニング充電システム
なお、「水洗い対応」は以下であげるすべてのモデルで対応しており、本体のバッテリーライフも最低でも14日間分(1日1回3分使用した場合)からと気にする必要がないため、本稿では詳解しない。
ブラウン「ブラウンシリーズ9Pro 9477cc」
【ポイントをチェック!】●駆動形式:往復式●風呂剃り対応:可●電源方式:充電式●洗浄器:アルコール洗浄システム
「ブラウンシリーズ9Pro」は、P&Gのシェーバーブランド「ブラウン」の最上位モデル。最大の魅力は、寝たヒゲをカットするトリマー刃の改良版「プロブレード」を搭載したこと。前モデル「ブラウンシリーズ9」のものと比べ、刃を35%広く、かつ30%薄くすることで、さまざまな種類のヒゲを1度に捕らえながら、0.05mmまで刈り込めるようになった。これにより、1日中キレイな肌をキープできるほか、少ないストロークとシェービング時間でヒゲが剃り切れることで肌にやさしくなった。
従来モデルの高機能も踏襲している。ヘッドが前後に40°動き、上下に浮き沈みもする「プロスイング密着システム」や、細かい個所でもシェーバーが密着できるように設計された「コンパクトヘッド」を採用しており、密着性は抜群。鼻の下やアゴの下においても、剃り残しなくシェービングできる。また、ヘッドを1分間に10,000回振動させる「音波振動テクノロジー」も、従来モデルから踏襲しており、多くのヒゲを1ストロークで捕らえて剃り切るため、肌にやさしいシェービングと深剃りを両立できる。
「ブラウンシリーズ9Pro」のもうひとつの魅力は、「新充電トラベルケース」が付属していること。本ケースは、リチウムイオン電池を内蔵しており、シェーバー本体を収納するだけで、電源コードを繋がなくても充電が可能だ。ケースをフル充電しておくと、本体のバッテリー50%を充電できる。つまり、シェーバー本体がフル充電の場合の連続使用時間は4週間だが、ケースのバッテリーを使えばプラス2週間分使用時間が延びることに。要は、約6週間以内の旅行や出張であれば、電源コードを持って行く必要がないわけだ。
「ブラウンシリーズ9Pro」は、付属品の組み合わせを10種類以上用意。「アルコール洗浄システム」と「新充電トラベルケース」が付属する全部入りセット(「9477cc」ほか)は、5万円前後で、充電スタンドとハードケースのいちばんシンプルな組み合わせ(「9419s」ほか)が、27,800円前後。およそ21,000円の差があるので、自分の生活スタイルと照らし合わせて選びたい。