東京都知事選挙の候補者選びが慌ただしくなっている。マスコミでは、あれこれ名前が挙がっているが、有権者は、とにかく落ち着いて都政に取り組むリーダーを選ばなければならない。石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏ともに任期途中で辞職し、併せて約92億円もの税金を無駄遣いすることとなった。石原氏は、国政の混乱に乗じて、あわよくば総理になれるかもしれないと都政を投げ出し、猪瀬氏は石原都政を受け継いだものの、徳洲会絡みのスキャンダルで、「政治には素人だった。奢りがあった」と認め、僅か1年で退陣に追い込まれた。
都知事選挙は1月23日告示、2月9日投開票と決まった。候補者選びが注目されるが、とにかく日本の顔・東京に相応しいトップを選んでほしい。短期決戦のため、知名度の高さが候補選びの重要なファクターになるのはやむを得ないが、しかし、行政経験もないタレント候補のような人物を選んではならない。仮に行政経験があっても、前宮崎県知事を務め、国会議員を僅か1年で辞めてしまった東国原氏のような者は論外だ。
「中央集権を打破するためには国政に参画しなければならない」と勇ましかったが、最早、自分の役割は終わったと、理解不能の言葉を残して議員辞職してしまった。一体、どれだけの努力をしたのか。本音は、知事時代のように、存在感を示すことができなかったというだけではないか。マスコミなどにチヤホヤされないことが寂しいというタレント特有の性なのだ。
東国原氏は「現時点で、都知事選出馬はないし、考えてもいない」と言っているが、この「現時点では」という言葉がクセ者なのだ。政治家は、「状況が変わった」と平気で翻意するからだ。一説には、日本維新の会の橋下徹代表との間で、橋下氏が都知事に出馬し、東国原氏が大阪市長へというシナリオがあると囁かれているという。東国原氏が議員辞職の際、「橋下氏と、男と男の話なので内容は言えない」と意味深なことを言っていたが、ひょっとしてという気がしないでもない。
また、タレントのビートたけし氏が冗談半分とは思うが、手を挙げようかなどと言っているようだが、都知事の座を、こんないい加減なレベルに落としてはならない。また、東京オリンピックを意識して、スポーツに理解が深い人が良いということも言われるが、それよりももっと大事な大地震対策などが焦眉の急だ。オリンピックムードに流されることなく、しっかりとした政策を語れる、しかも実行力のある、世界に恥ずかしくない都知事を選ばなければならない。まさに、有権者の賢明な選択に委ねられている。