衆議院選を前にしての野田総理の発言を聞いていて思うのだが、何と空しく響くことか!何しろ、2009年の民主党のマニフェストの多くが幻に終わったからだ。
子ども手当→『廃止』。中学生以下に1人あたり26,000円を支給するとしたが、翌年から13000円支給したものの、財源不足で全額は支給出来なかった。
高速無料化→『凍結』。目玉政策の一つだったが、一部の路線で実験したが、東日本大震災もあり、復旧・復興の財源を優先するために凍結した。
八ッ場ダム→『建設継続』。「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズを掲げ、前原国土交通相が建設を中止させたが、関係自治体から批判され、結局2011年12月、建設を継続することに変更した。地元に大きな混乱をもたらした。
ガソリン税などの暫定税率廃止→『実現できず』。恒久的に廃止すると掲げていたが、財源不足を理由に、実施出来なかった。
最低保障年金→『実現できず』。年金制度を一元化して、月額7万円を支給することとしたが、新しい年金制度へ移行するまでの、約40年間は満額支給できないということに。今後、社会保障制度改革国民会議で検討されることになった。
これらの目玉政策は、2007年、当時の小沢一郎代表が参院選公約に掲げたものが中心だったという。しかし、ムダを省けば16.8兆円を捻出できると豪語していたにもかかわらず、事業仕分けで出てきたお金は、たったの1兆7千億円だった。如何にいい加減な数字だったかが分かる。その上に、マニフェストには無かった「消費税増税」を突然言い出す始末だ。大事な外交・防衛の面でもお粗末そのものだ。
だから、いくら野田総理が、「元の政治に戻すのか、前進させるのか」と声高に叫んでも、全く説得力はない。民主党は、今回の選挙戦に際し、野田総理の巧みな弁舌を生かし、「人間力」で点数を稼ごうとしているようなのだが、一体誰が信用するのか。しかも、大量の離党者を出していることからみても、党内は混乱の極みだ。こんな民主党に、政権を任せられないことは、有権者がとっくに見抜いている。
われわれ有権者は、決して「誰がやっても同じだ」などと棄権することなく一票を投じよう。「誰がやっても決して同じではない」のだ。それ以下になることがあるということを忘れてはならない。