年金の支給漏れが大きな問題となっているが、社会保険庁の数々のデタラメな事務処理には呆れるばかりだ。支給漏れにつながる不明の納付記録は約5000万件に及び、そのうち約2880万件はとくに問題がある可能性が高いと言われている。老後の頼みの綱である年金なだけに、政府にはがっちりとした対策を講じてほしい。
今国会で社会保険庁改革法案が成立する見通しだが、秋の臨時国会では、
①時効となる過去5年を超える支給漏れも全額補償する
②受給者が領収書をなくしていても、保険料納付の事実を確認する新たな手続きを策定するという。
民主党など野党は、審議不十分だとして委員会採決に反対し
ていたが、より良い制度を確立することを望みたい。
一方で、国民自身も考えなければならない点もある。テレビで、社保庁のズサンな事務処理によって、年金受給が少なくなっていると抗議している夫婦が、「20年も30年も前の領収書を持っているわけがない。証拠になるものがなければ受け付けられないというのは、私たちに死ねということだ」と怒っていたが、これはちょっと言い過ぎではないか。心情的には分かるが。
本来、年金の領収書は自分できちんと保管しておくべきものなのだ。われわれも、かなりいい加減な夫婦だが、年金に関する領収書は30年以上前のものでも全部持っている。私の場合、5回も転職し、その都度、厚生年金→国民健康保険→厚生年金というパターンを何回も繰り返したが、何の問題もなかった。
こうした大事なことは、国民も自己責任をキチンと果たし、自分を守らなければならないのだ。なんでも最後は国の責任だ、政治の責任だといっても、結局困るのは自分自身なのだから。
政治家は選挙のことを考えて、なかなか国民にほんとうのことを言わないが、言うべきことは勇気をもって発言すべきだ。委員会における民主党など野党の発言を聞いていると、いかにも国民の味方のように見えるが、政府を攻撃ばかりするのではなく、国民がしっかりしなければならないということも訴えていくべきなのだ。
いずれにしても、年金問題を決して政争の具にすることなく、安心できる高齢社会を目指してもらいたい。