菅総理が1年で退陣することになったが、
1か月前の文藝春秋9月号の特集、
四面楚歌の菅政権「裸の王様」につけるくすり(政治ジャーナリスト・後藤謙次氏)は、
胸にストンと落ちる内容だった。
結びにある「国家のグランドデザイン」を示すことや「総理の作法を身につける必要性」を説き、
裸の王様のままでは、総理であり続けることは難しく、
つけるクスリはなくなりますーという言葉は鋭い分析で、
まさに、その予言通りとなった。
1年前、「人類がコロナに打ち勝った証しとして東京オリンピックを開催する」と、
自信ありげに語った時、一体、どのような根拠に基づいていたのか、
大変疑問に思ったものだ。
現状は後藤氏が言うように5人もの閣僚に次々に指示を出すという
「パッチワーク政治」に陥っているという有様だ。
経営の神様と言われた松下幸之助は、リーダーの条件の一つとして、
「自分より優れた人を使えることですな」と語ったというが、
政治の世界とて同じだろう。
菅総理は一国のリーダーとして、
この危機の時代を乗り越えるために優秀な人材を組織的、
機動的に使うことが出来なかったと言えよう。
菅総理の言葉が国民に響かないということに関しても、
後藤氏は「官房長官スタイルで、官僚の用意したペーパーを読み上げている」
「自分の言葉はどこにもない」と指摘している。
記者会見などの映像を通して伝わってくるのは、
「自信の無さ」「無難に切り抜けようとする、素っ気ない答え方」だ。
目に輝きも無い。
これでは、国民に響く訳がない。
かつて、評論家の大宅壮一は、
「男の顔は履歴書、女の顔は請求書」という迷言?を残しているが、
新しいリーダーには、この国をどうしようとしているのか、
人生を丸ごとぶっつけ、魂を込めて誠実に語ってもらいたい。