難聴をあつかった本に飛びついているわたしですが、映像作品も同様です。
(とにかく、難聴についてもっともっと知りたいのです。)
最近見たものをいくつかご紹介してみますね。
まず、今年のアカデミー作品賞に輝くアメリカ映画「コーダあいのうた」です。
主人公の高校生少女は、家族4人のなかでただ一人の健聴者です。
全聾の両親(や兄)の手話通訳者として、子どもにはどうか? という場面にも立ち会ってきました。
漁師という家業にも、彼女の尽力は必須です。
まさに、いま話題のヤングケアラーなのです。
少女は歌が大好きだし、すばらしくうまい。
選択科目でとったコーラスの授業で、音楽教師からバークレー音楽大学への進学をすすめられます。
夢が広がるのを感じる少女ですが、家族の現実を考えると「ダメよダメダメ」と自分をおさえてしまいます。
ま、このストーリーならば、結末のハッピーエンドは予想がつくと思います。
聾者役の一部を本当に聾の俳優が演じているらしく、手話の迫力がはんぱないです。
スピーディで情感たっぷりで、すごくカッコイイ!
とてもすぐれた表現力を持つ言語なんだなあ、と実感します。
でもでもこの言語、使用範囲がせますぎて、実用の役に立たないのです。
長女の通訳がなければ、口話言語のひとびと(圧倒的多数)とのコミュニケーションが取れないのですから。
長女が学校音楽会で独唱する場面に、胸を打たれました。
舞台で娘が歌っていても、客席にいる両親には何も聞こえません。
でも、周囲のひとが上気して涙を流したりするのを見て、「ああ...」と顔を見合わせる両親です。
このごろよく聞く「コーダ」という言葉。
「Children of Deaf Adults」の頭文字だそうです。