オーストラリアの住宅バブル
オーストラリア、特にシドニーは住宅バブルに沸いていた。それが、ここ15年から20年近く続いていた傾向だ。住宅の伸び率は、移民受け入れとと、資源価格の高騰により、GDPの177%まで借金するという借金体質を作り上げてしまい、今、まさにそれが崩壊寸前である。
参照1: http://article.wn.com/view/2009/03/27/Rudd_warns_of_recession_or_depression_if_G20_fails/
ケビン ラッド首相は、G20の話し合いがうまくいかなければ、オーストラリアは景気後退か、恐慌のどちらかになると話している。だが、これはもちろん責任転嫁に他ならず、今の経済危機を乗り切る方法は、オーストラリアには、少ない人口で、限られた内需の拡大を試みることと、お金持ちの移民を受け入れるという 虫のいい話と、ラッキーカントリーという今までの経験を信じてこれからも続けていけるという、他愛のない自信以外には、枯れた牧草と、赤茶けた広大な砂漠と、あと、できれば日本辺りにちょっとばかり資源鉱山を買ってもらえるかどうかの、運任せ以外には、あまり知恵もないのである。
そこで、もし住宅バブルが崩壊したなら、どのくらい悪くなるのか?を考えてみた。様々な試算が為されている。参照2 http://www.smartcompany.com.au/Free-Articles/The-Briefing/20090127-Australias-housing-bubble-yet-to-burst-report.html
控えめに見て、5-10%という試算だが、これは今年1月での試算であり、景気はさらにそのころから悪化をし続けていることから、もしかすると、数字はもっと極端に 悪くなる可能性もある。
参照3 http://housingbubble.com.au/
日本がバブルの絶頂期から、価格を下げたのを参考に考えても、その下げ幅がオーストラリアを襲ったと仮定したなら、かなりインパクトのある数字になると思われる。
バブルの絶頂期の東京は、ちょっとしたマンションが、軽く2億円を超えていた。場合によっては6億円などという数字を不動産屋のウィンドゥーに、恥ずかしくもなく貼ってあったことを思い出す。
それに比べると、今のシドニーの住宅価格はもっと、大きなバブルなのだと、数字の対比をすると、すぐに分かる。これは、オーストラリア全体を見渡しての話で、シドニーだけを取って考えるともっと深刻だ。この数字だけでも、2006年の278という数字は、平均2.97%も伸び続けてきた結果で、日本のバブルをはるかに凌ぐものだ。
参照 P-1 http://housingbubble.com.au/housePricesFixed.JPG
住宅バブルが崩壊すると、ここは暴動や労働組合によるストライキが起こり、あちこちに、社会のほころびが出てくることが予想される。すでに、その兆候が出ており、社会の成熟度が、多民族国家であるがゆえに、価値観の相違をお互いが融合するための時間が足りないために、小さなきっかけで、大暴動になる危険をいつもはらんでいる。政治が悪いという言葉は、こちらの人と話していると、二言目に出てくる常套句で、それは、どんな小さなことであっても、政治の責任になる。民主国家ゆえなのだが、それにしても、社会の借金体質までが、すべて国の責任であるという考え方は、今まで日本にあっただろうか?
177%の借金と、上がりすぎた住宅価格。
そして社会不安と信用力の低下。また、世界中にひろがる金融危機は、このオーストラリア経済を、間違いなくヒットするだろう。その影響の大きさを考えると、シドニーに住んでいる私にとっては、どんないきさつになっていくのか、漠然としているが、不安を感じないではおられないのである。
参照1/a>
参照2/a>
参照3/a>参照 P-1/a>