かつては、グローバリズムなくして経済を語るな。
とまで言われたものだった。
私は、急激なグローバリズムがクリントン大統領の時代から世界に拡散していくのを、不安な気持ちで見ていた。
特に貧しい地域の人たちが、今まで無料で飲めていた地下水の所有者がどこか見たことも聞いたこともない米国の持ち物となり、そして、課金されるのを見て、「なんてことだ」と嘆いたりもしたものだった。
だが、そういう貧しい地域の人たちは、タフだった。
ひとたびグローバライゼーションが進むと、率先してその企業の誘致に乗り出し、産業を育成し、雇用を確立させた。
自分たちこそが、グローバライゼーションを作り上げたとまで胸を張るほどだ。
これは過去30年間に起きた事象である。
無論、中国などは、もともと古い鉄道と、効率の悪い工場に、全員がなんとか食えればいいという農業だけが、50年間も面々と続いていたのだったが、それこそ、手品の箱が開くように、あっというまに、先進国なみになってしまった。
その中国が気に入らない。
と、ドナルドトランプは言う。
なぜなら、あいつらばかり儲けて自分の所は、仕事のない人間ばかりになってしまったからだ。
と。
そもそも、グローバライゼーションは英語で、しかも、米国が主導して行ってきたものだ。
それが、自分の所が儲からなくなると、もう、手のひらを返したように、閉鎖主義に走るという。
極端な理論はどちらにも瑕疵がある。
それは、世の常だ。
トランプの瑕疵は、その狭量さゆえに、世界から孤立してしまうことだろう。
実際、米国内でも彼は際立って孤立している今までもっとも不人気な大統領だ。
今後、世界は、冷戦時代のように、
「グローバリスト VS アンチ グローバリスト」の戦いになろうとしているかのようだ。