Sydney Yajima


GSM会員希望者は下記のURLへお進みください。
http://www.gsm.jp/

トランプは訳が分からなくなってきている

2017-02-09 21:36:42 | 経済

「ドル高がいいのか・・・それともドル安のほうがいいのか・・・どちらのほうが米国にとっていいんだ?」

と、トランプは真夜中にフリン大統領補佐官に尋ねたという。

フリン大統領補佐官は「自分の専門外のことなので、わからない」と言ったら、トランプは不満そうだった。

 

専門家であったとしても、今の米国の状況でドルが強くなるのは、想定内だと言うに違いない。

当たり前の話だが、トランプの打ち出す政策は、すべてアメリカに雇用を増やし設備投資を増やすというものなのだから、資金が集まり、それが結果的にはドル高を誘う。

しかし、他方彼は貿易収拾赤字を見ていて、それをドル高のせいだと考えて、ドル安が良いのかな?と思ったのであろう。

 

米国に多くのインフラをするということは、外国からの資材の輸入が増えるということなので、ドル高はむしろ歓迎することでもあるだろうから、当面のドル高とそれによって資材調達を滑らかに行うことは、間違いだとも言えない面がある。

 

こういう色んな事を、考えているうちに夜も寝られなくなり、ついにフリンさんに電話をかけて相談してみたのだろう。

 

笑うべきではない。

彼は真剣に悩んでいるのだ。

そのうえで、電話したのだが、色よい返事をもらえなかった。

もっとも、真夜中に大統領から電話でたたき起こされて、分からないと言ったら、不機嫌になられても・・・とフリンさんも困惑したに違いない。

 

ただ、さすがにトランプは、勘がいいと私は感心した。

なぜなら、アメリカを立て直すという公約を守るためには、ドルの為替がどうなるのか?というビジョンを持っていることは、とても重要だからだ。

今の、矛盾は、トランプ自身も気が付いていないことだが、ドルがあまりにも多くサプライされてしまってそれが、様々な副作用を起こしてしまったことがひとつ。

次に、中国経済が不安定さを増してきており、それが、世界の市場に時折 冷や水をかけているという点。これが二つ目。

さらに、米国の孤立主義が、米国を繁栄に導くという単純さでは、複雑に入り組んだ現在の多くの企業の持ち合いや貸借の現状を、簡単に薪を割るかのようには、解決することにはならないということ。これが三つめ。

 

移民の排除によって、白人の仕事が増えるということを、トランプは考えていたのかもしれないが、多くの移民がする汚れたきつい仕事を、白人たちが代わりにするだろうか?ということについて、あまりにも無知だということだ。例えばエアポートの便所掃除を20代の白人がするだろうか?ということも、現実を見て彼は感じたことがあるのだろうか? これが4つ目。

 

最後に、もっとも彼の盲点になっているのは、多くの製造業が米国で物を作っている現実を知らないまま、140文字のツイートで米国の政策について毎日更新している点である。

 

アメリカの通貨は今後しばらく強くなる。

いくらトランプが歯ぎしりしても、そうなるだろう。

おそらく、ほとんどの経済学者が同意見のはずだ。

そして米国産の輸出は衰えるだろうし、グローバル企業は海外に出て行ってしまうかもしれない。

企業にとって、米国内での雇用を担保するよりも、自分の企業がより競争力の高い為替レートで物を作ったり、開発を進めたりすることは、重要だと考えるはずだからだ。

それに、もっとも大きなトランプの間違いは、彼の近視的な目標の立て方と性急な解決を常に求めている点だろう。

彼の任期は4年しかない。年齢からみても、あるいは、人気の点から考えても、次も当選するとは、私には思えない。

しかも・・・

4年後の米国では、衰えた輸出産業と、集まりすぎたドルの暴落とスーパーインフレーションが待っているかもしれない。

その時に、もういちどTPPをしましょうなんて、いくらなんでも 虫が良すぎる話だろうし、カナダやメキシコだって、今までとは違うお付き合いを望むに違いない。

そして、今度は、中国の習近平とまずは、文通から始めるのだという。

シャイな中学生のようなお付き合い。

それにしても、朝日新聞は中国にトランプが「一つの中国を支持する」と言ったと報道しているが、それは、本当のことなのだろうか?

と私は耳を疑った。

唐突で、しかも、今 彼がそれを言って何のメリットもない。

さらに、おととい中国からのアスファルト材に372%!!!の関税をかけると発表し、さらには昨日、肥料原料 硫酸アンモニウムには、493.4%!!!の関税をかけると発表したばかりではないか。

朝日新聞は、中国の発表を鵜呑みにして、トランプが言ってもいないことを、中国大本営が捏造したものを、書いたのではないか?と、疑ったのだ。

少なくとも、ここから見えることは、中国はアメリカに「なんとか自分たちのメンツを保たせてほしい。」と願い、「なんとか、物を買ってほしい」と乞い、しかも、「自分たちも第二次世界大戦の戦勝国であり、米国と同じ立場なのだから、それ相応の、敬意を払え」と言っている間に、米国は、着々と、THAADの配備をして、対中国の戦争準備を怠りなくしているという構図だ。

中国が、自分たちの置かれている立場をもう少し理解できていたならば、戦争は却って回避できるだろう。しかし、北京の共産党幹部たちは、おおよそ、米国の軍事的戦術とその準備の周到さを、見ているとは思えないのである。もし、見ていたならば、米国がやるまえに、北朝鮮をもっと、経済的に圧迫して引き締めていただろう。韓国に対しても、あいまいな制裁ではない方法を取ったに違いない。

だが、中国はアメリカを甘く見ている。

THAADを8月には配備完了させて、次の段階に移ろうとしている米国の戦術を、事細かく分析もせずに、ただただ、楽観的に大国を気取っているようだ。

 

 

 

 

 

 


アメリカがTHAAD配備を急ぐ理由

2017-02-09 18:55:15 | 政治

THAADとは、韓国に配備予定のミサイル防衛システムである。

ミサイル防衛は、長距離弾道弾を始めとし、中距離にも対応する。したがって3000キロまでの範囲のミサイルには対応できるとされている。

しかし、超短距離には対応しない。

北朝鮮のどこから撃たれるかにもよるが、大まかに言って、韓国の北部は迎撃できないだろう。これは米軍も1999年5月 「TMDミサイル防衛システム議会報告書」のなかで公に言っている。

ソウル市は北朝鮮から40キロしか離れておらず、高度 40~150キロで迎撃するTHAADでは迎撃できないのだ。

 

つまり、米軍は韓国の南部から東側・・・つまり 日本の防衛のためにTHAADを配備するのであって、韓国を守るためではないという事だ。

そして、その韓国は、輸出貿易のほとんどを頼っている中国に袖にされながらも健気にTHAADを配備しようとしてくれている。

彼らにはその意識はなくとも、それは 結果的に もちろん、日本のためになる。

中国の名前が出たので、続ける。

重要なことだからだ。

なぜならTHAADは、いつでもつぶせる北朝鮮からの防衛という名分にしては、驚くほど重厚なシステムだということだ。もっと言えば、THAADの配備によって、北朝鮮からの攻撃には対処が難しいが、しかし、中国からの攻撃に関して言えば 大いに効果があるということだ。

中国の反発の意味が分かるだろう?

その、THAADが今年の8月ごろには、ほぼ配備が終わる。

アメリカにとっては、「いつでも撃ってこい」と言わんばかりの配備網の完成だ。

北朝鮮が南進するならば、まず最初にアメリカ軍基地を狙うであろうし、THAADの拠点を攻撃するはずだ。しかも、ソウルの町を火の海にする という常とう句も、実行に移すだろう。

だが、北朝鮮が南進する可能性は、ゼロではないが、しかし、限りなくゼロに近い。

それよりも、米軍が北朝鮮に対して、Xディーを決めて、空爆を開始する可能性のほうがずっと高い。

もし、THAADの配備を終えて、そののち、北朝鮮に入り、そこから匕首を中国ののど元に突きつければ、十分な防御と攻撃の体制が整うので、中国としては手も足も出ない。

もちろん、中国だって指をくわえてみているわけではないから、対抗処置として、さまざまな行動に出てくることは予想に難くない。

米国にとっても中国にとっても、良いことは無い。

というのが、中国の外交部の主張だが、それはちょっと違う。

確かに中国にとっては良いことは無いかもしれない。

だが、米軍にとってやる価値は十分にある。

まず、軍需が増えると、米国内の産業が潤う。

これで米国に集まりすぎた米ドルを使用できる名目になるので、インフレを当分抑えられる。

さらに、崩壊後の北朝鮮に米軍を配備することで、今後の中国、ロシアとの交渉を楽に進められる。少なくとも、無視できない距離に米軍がいることの恐ろしさを、中国は感じるはずだ。

最後に、米軍は、多くの物資を持ち込むだろう。

コカ・コーラにマクドナルド、ケンタッキーにタコベルが北朝鮮に軒を並べ、スターバックスが出店し、フリーWi-Fiで様々な世界情報を北朝鮮から中国向けに垂れ流しすることで、中国国内の不満分子の喚起がおこる。

などという計算は当然立っているはずだ。

だが、机上の計算は、時に危険なことは言うまでもなく、ましてや相手は歴史の長い中国なのだから、アメリカも相当神経を使っているはずだ。そう、簡単に始まったりはしないだろうというのが、私の希望を加えた目算だ。