ソンドハイムミュージカルの映画化という点でも、ティム・バートン監督という点でも、私にとっては二重、三重にmust seeだった映画を見てきました。
ちなみに舞台版はちょうど1年くらい前に宮本亜門演出のを観ていますので、どうしても舞台と比べてしまうのはご容赦を。
最初この映画の話を聞いた時には、ティム・バートンがソンドハイムミュージカル? とびっくりしましたが、舞台を観てみて、ダークな雰囲気といい、ブラックユーモアといい、ティム・バートンにはぴったりだな、いや好きそうだな(笑)と。
というわけで、そこそこ期待してました。そこそこ、というのは、舞台を観て、そもそもこの作品、特にすごく好きではないな、と思ったからですが・・・
観てみて、まあ概ね期待どおり・・・かな?
最近のミュージカル映画でも、「オペラ座の怪人」とか「RENT」とか、ミュージカル好きな私でも「急に歌いだして変・・・」と思ってしまうものが結構あるのですが、この作品は意外とそういう違和感はありませんでした。(ミュージカル慣れてない人にはそうでもないかもしれませんが・・・)
特に「オペラ座の怪人」は、音楽と映像が合ってないな・・・というか、単に普通の映像に音楽を乗せているだけ、という感じがしてしまったのですが、そういう違和感はなく、音楽に映像が合っていたと思います。
ただ、映像の強みというか、映像ならでは、というところは特になかったですね。たとえば「オペラ座の怪人」だと冒頭のオペラ座が過去の姿によみがえるところとか、ミュージカルじゃないけどケネス・ブラナー監督の「魔笛」の序曲のところとか、映像と音楽のコラボレーションに「おお」と思わせるようなところまでは行ってなかったですね。
また、音楽と違和感がない映像になっていたのは良かったけれど、音楽に縛られる分、普段のティム・バートンらしさが縛られているような感じもしました。
ラベット夫人の妄想のシーンはとてもティム・バートンらしかったけど。あそこは良かったなあ。
音楽は、舞台だとあり得ない大編成のオーケストラで聴けたのは良かったですね。でもどうせならもうちょっと上手いオケで聴きたかったかな・・・(汗)
あと、舞台ではコーラスの不協和音の迫力が鳥肌ものだったのですが、なんかコーラスあんまり聴こえなかったなあ。音量小さめにしてる?
舞台も1回しか観てないので記憶曖昧ではありますが、舞台を観た時の感想を読み返してみたら、アンサンブルの人たちの三重唱とか、かなりコーラスが印象的だった部分があったのに、多分映画ではカットされてたような・・・それともメインの人たちが歌うように変更されてたのかな?
でも、やっぱり音楽がいいなあ、と思いました。今回はトッドもアンソニーも割と歌えてたので(汗)ジョアンナの歌とかいいなあと思いました。美しいメロディが不安気な不協和音に支えられて流れているのが、不吉な感じでいいですねえ。ソンドハイムらしいです。
このジョアンナの歌が、違うシーンでも繰り返し使われているのに今回初めて気がつきました。
心配していた?ジョニー・デップの歌、意外に上手くてびっくりでした。ヒュー・ジャックマンみたいに本当にすごく上手い、というのとはわけが違いますが(笑)あれだけ歌えてれば合格点です、この作品に関しては。市村さんより上手かったかも(爆)
でも、ヘレナ・ボナム・カーターとかアラン・リックマンは、まあそんなもんか・・・という感じですね(汗)ヘレナ・ボナム・カーターは歌多かったからちょっとキツかったかな・・・
でもまあ、ジョニー・デップが意外と上手かっただけでも良かったです。
あ、指輪ミュージカルのガラドリエル、ローラ・ミシェル・ケリーさんが出てましたね。本職のミュージカル俳優?は彼女だけだったとか。美人ですねえ・・・。不安気な歌がまさにソンドハイム、という感じで良かったです。
あ、彼女もですが、ジョアンナ役の子が、「スリーピーホロウ」のクリスティーナ・リッチにかなり雰囲気が似てました。メイクとかも。ティム・バートンの趣味なんでしょうねえ。
ジョニー・デップのトッドは、歌もまあまあだったし、終始しかめっ面ながら、時折見せる苦悩の表情とか、やはり上手かったですね。文句なしのイメージぴったりでした。
ヘレナ・ボナム・カーターもイメージどおりでしたが、大竹しのぶさんのラベット夫人の方がかわいかったなあ・・・まあこれは演出の違いによるところが大きいのでしょうが。
亜門版では、登場人物たちが皆死に化粧めいた白塗りだったのですが、ラベット夫人だけ普通のメイクで、彼女だけ血が通った人間のように見えました。
そのせいか、大竹しのぶさんのラベット夫人はなんだかかわいくていじらしくて、トッドを好きなあまりに・・・というのがなんだか健気に哀れに思えたものでした。
ヘレナ・ボナム・カーターのラベット夫人は、かわいらしさや健気さよりも、不気味さを優先してしまった感じでしょうか。妄想のシーンはとてもかわいかったけど。このあたりはまあ監督のせいでしょうけどね・・・
アラン・リックマンの検事は、舞台だとギラギラしたエロおやじな感じでやってたのですが(汗)なんだか愚かさの中にもかわいく思えるところがあったりして、良かったです。
しかし、検事の手下の役人がティモシー・スポール・・・二人揃ってるとハリポタに見えて仕方なかったのですが(汗)
この検事の手下の役人、亜門版では、保身のために検事のために動いているけれど、実は結構冷静に検事の愚かさを見ていて・・・という部分もあってなかなか良かったと思ったのですが、映画ではそういうの全然なかったですね・・・。ただひたすら手下という感じで。
最後も殺されてたっけ?
アンソニーは歌上手くてよかったです。(それだけ?(汗))
ジョアンナはかわいくて歌もそこそこだったけど、亜門版でソニンがやってたジョアンナの方が印象強かったなあ。
亜門版のジョアンナは、閉じ込められたことで精神的に不安定な感じになっていて、その不安定な感じをソニンが好演してたんですよね。
映画のジョアンナは、ただのかわいい女の子ですね・・・ちょっとつまんないかな、と思いました。
トビー(舞台ではトバイアスだったと思うんだけど・・・)は、舞台よりもかなり年齢低くして来ましたね。
舞台では、15,6歳くらいの設定? 知的障害が少しあり、足にも障害がある少年だったんですが、映画では単に幼いだけで、障害は全くない設定にしたんですね。むしろ頭結構切れたりして。
障害がある設定だと色々問題あるから、幼い普通の少年にしたんでしょうかね。ちょっとオリジナルのダークさが減じた感じがしました。特に、ラベット夫人への思いは、舞台の設定の方がより共感できると思うんですが・・・
最後って、トビーが・・・だったでしたっけねえ? 少なくとも、カッコよくスタスタと歩き去ってはいなかったような。なんかあのあたりも違和感でした。
殺人のシーンは、もっとスタイリッシュにやってくれるのかと思ったら、結構リアルでグロかったですね・・・首を切り裂くと喉が鳴るのとか、リアルすぎでなんか嫌でした・・・
でも、殺人よりもゴキブリの方が怖かったですが・・・(汗)
床屋での殺人のシーンも、舞台で観た時はブラックに笑えるシーンだと思ったんですが、そんなに笑えなかったですね。笑うシーンにしてなかったというか。ここはちょっと期待してたのであれー、でした。
全体的に、ミュージカルの映画化としてはなかなか良くできていたかな、と思いますが、舞台の方がインパクトはあったかな・・・。宮本亜門氏にとりあえずは軍配。
ティム・バートン映画としても、音楽に縛られている分いつものらしさが少なかったかな?
てなわけで、まだ2本しか観てませんが、今年見た映画の順位。
1.スウィーニー・トッド / 2.転々
なかなか比較しづらい2本ですが(汗)まあ順当にこの順位で・・・
ちなみに舞台版はちょうど1年くらい前に宮本亜門演出のを観ていますので、どうしても舞台と比べてしまうのはご容赦を。
最初この映画の話を聞いた時には、ティム・バートンがソンドハイムミュージカル? とびっくりしましたが、舞台を観てみて、ダークな雰囲気といい、ブラックユーモアといい、ティム・バートンにはぴったりだな、いや好きそうだな(笑)と。
というわけで、そこそこ期待してました。そこそこ、というのは、舞台を観て、そもそもこの作品、特にすごく好きではないな、と思ったからですが・・・
観てみて、まあ概ね期待どおり・・・かな?
最近のミュージカル映画でも、「オペラ座の怪人」とか「RENT」とか、ミュージカル好きな私でも「急に歌いだして変・・・」と思ってしまうものが結構あるのですが、この作品は意外とそういう違和感はありませんでした。(ミュージカル慣れてない人にはそうでもないかもしれませんが・・・)
特に「オペラ座の怪人」は、音楽と映像が合ってないな・・・というか、単に普通の映像に音楽を乗せているだけ、という感じがしてしまったのですが、そういう違和感はなく、音楽に映像が合っていたと思います。
ただ、映像の強みというか、映像ならでは、というところは特になかったですね。たとえば「オペラ座の怪人」だと冒頭のオペラ座が過去の姿によみがえるところとか、ミュージカルじゃないけどケネス・ブラナー監督の「魔笛」の序曲のところとか、映像と音楽のコラボレーションに「おお」と思わせるようなところまでは行ってなかったですね。
また、音楽と違和感がない映像になっていたのは良かったけれど、音楽に縛られる分、普段のティム・バートンらしさが縛られているような感じもしました。
ラベット夫人の妄想のシーンはとてもティム・バートンらしかったけど。あそこは良かったなあ。
音楽は、舞台だとあり得ない大編成のオーケストラで聴けたのは良かったですね。でもどうせならもうちょっと上手いオケで聴きたかったかな・・・(汗)
あと、舞台ではコーラスの不協和音の迫力が鳥肌ものだったのですが、なんかコーラスあんまり聴こえなかったなあ。音量小さめにしてる?
舞台も1回しか観てないので記憶曖昧ではありますが、舞台を観た時の感想を読み返してみたら、アンサンブルの人たちの三重唱とか、かなりコーラスが印象的だった部分があったのに、多分映画ではカットされてたような・・・それともメインの人たちが歌うように変更されてたのかな?
でも、やっぱり音楽がいいなあ、と思いました。今回はトッドもアンソニーも割と歌えてたので(汗)ジョアンナの歌とかいいなあと思いました。美しいメロディが不安気な不協和音に支えられて流れているのが、不吉な感じでいいですねえ。ソンドハイムらしいです。
このジョアンナの歌が、違うシーンでも繰り返し使われているのに今回初めて気がつきました。
心配していた?ジョニー・デップの歌、意外に上手くてびっくりでした。ヒュー・ジャックマンみたいに本当にすごく上手い、というのとはわけが違いますが(笑)あれだけ歌えてれば合格点です、この作品に関しては。市村さんより上手かったかも(爆)
でも、ヘレナ・ボナム・カーターとかアラン・リックマンは、まあそんなもんか・・・という感じですね(汗)ヘレナ・ボナム・カーターは歌多かったからちょっとキツかったかな・・・
でもまあ、ジョニー・デップが意外と上手かっただけでも良かったです。
あ、指輪ミュージカルのガラドリエル、ローラ・ミシェル・ケリーさんが出てましたね。本職のミュージカル俳優?は彼女だけだったとか。美人ですねえ・・・。不安気な歌がまさにソンドハイム、という感じで良かったです。
あ、彼女もですが、ジョアンナ役の子が、「スリーピーホロウ」のクリスティーナ・リッチにかなり雰囲気が似てました。メイクとかも。ティム・バートンの趣味なんでしょうねえ。
ジョニー・デップのトッドは、歌もまあまあだったし、終始しかめっ面ながら、時折見せる苦悩の表情とか、やはり上手かったですね。文句なしのイメージぴったりでした。
ヘレナ・ボナム・カーターもイメージどおりでしたが、大竹しのぶさんのラベット夫人の方がかわいかったなあ・・・まあこれは演出の違いによるところが大きいのでしょうが。
亜門版では、登場人物たちが皆死に化粧めいた白塗りだったのですが、ラベット夫人だけ普通のメイクで、彼女だけ血が通った人間のように見えました。
そのせいか、大竹しのぶさんのラベット夫人はなんだかかわいくていじらしくて、トッドを好きなあまりに・・・というのがなんだか健気に哀れに思えたものでした。
ヘレナ・ボナム・カーターのラベット夫人は、かわいらしさや健気さよりも、不気味さを優先してしまった感じでしょうか。妄想のシーンはとてもかわいかったけど。このあたりはまあ監督のせいでしょうけどね・・・
アラン・リックマンの検事は、舞台だとギラギラしたエロおやじな感じでやってたのですが(汗)なんだか愚かさの中にもかわいく思えるところがあったりして、良かったです。
しかし、検事の手下の役人がティモシー・スポール・・・二人揃ってるとハリポタに見えて仕方なかったのですが(汗)
この検事の手下の役人、亜門版では、保身のために検事のために動いているけれど、実は結構冷静に検事の愚かさを見ていて・・・という部分もあってなかなか良かったと思ったのですが、映画ではそういうの全然なかったですね・・・。ただひたすら手下という感じで。
最後も殺されてたっけ?
アンソニーは歌上手くてよかったです。(それだけ?(汗))
ジョアンナはかわいくて歌もそこそこだったけど、亜門版でソニンがやってたジョアンナの方が印象強かったなあ。
亜門版のジョアンナは、閉じ込められたことで精神的に不安定な感じになっていて、その不安定な感じをソニンが好演してたんですよね。
映画のジョアンナは、ただのかわいい女の子ですね・・・ちょっとつまんないかな、と思いました。
トビー(舞台ではトバイアスだったと思うんだけど・・・)は、舞台よりもかなり年齢低くして来ましたね。
舞台では、15,6歳くらいの設定? 知的障害が少しあり、足にも障害がある少年だったんですが、映画では単に幼いだけで、障害は全くない設定にしたんですね。むしろ頭結構切れたりして。
障害がある設定だと色々問題あるから、幼い普通の少年にしたんでしょうかね。ちょっとオリジナルのダークさが減じた感じがしました。特に、ラベット夫人への思いは、舞台の設定の方がより共感できると思うんですが・・・
最後って、トビーが・・・だったでしたっけねえ? 少なくとも、カッコよくスタスタと歩き去ってはいなかったような。なんかあのあたりも違和感でした。
殺人のシーンは、もっとスタイリッシュにやってくれるのかと思ったら、結構リアルでグロかったですね・・・首を切り裂くと喉が鳴るのとか、リアルすぎでなんか嫌でした・・・
でも、殺人よりもゴキブリの方が怖かったですが・・・(汗)
床屋での殺人のシーンも、舞台で観た時はブラックに笑えるシーンだと思ったんですが、そんなに笑えなかったですね。笑うシーンにしてなかったというか。ここはちょっと期待してたのであれー、でした。
全体的に、ミュージカルの映画化としてはなかなか良くできていたかな、と思いますが、舞台の方がインパクトはあったかな・・・。宮本亜門氏にとりあえずは軍配。
ティム・バートン映画としても、音楽に縛られている分いつものらしさが少なかったかな?
てなわけで、まだ2本しか観てませんが、今年見た映画の順位。
1.スウィーニー・トッド / 2.転々
なかなか比較しづらい2本ですが(汗)まあ順当にこの順位で・・・