JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

肩越しの女子高生

2008年09月13日 | a-c

昨晩は先日亡くなった友人の通夜でした。坊さんという職業柄、死亡直後に身内だけの葬儀を済ませ、一般向けの葬儀は今になったというわけですが、さすが大きなお寺ということもあり、檀家さんを始め多くの弔問者が訪れておりました。
あらためて冥福を祈ります。

焼香を済ませた私はS君とともに「喫茶店ででも一服しようか」という話になり、寺の近くをウロウロ、昔は「犬も歩けば喫茶店に当たる」と言われたほど多かった喫茶店も、今や探すのも困難なわけで、結局黒ネクタイのままマクドナルドで珈琲を飲むことになりました。
店内には家族連れやカップル、女子高生といったお客さんが数組、完全分煙された喫煙ブースには私ら二人しかおりません。
あはは、面白いものですねぇ、男同士なんてぇものは酒でも入らないと話も弾まないものでして、そんななかどうにも気になるのはS君の肩越しに見える3人組の女子高生、そうちょうど我が娘くらいの年頃でしょうか。
それが、いかにも今の子らしいしいうか、3人で何か会話はしている様子なのですが、携帯の画面から一時たりとも視線を外さず、器用にボタン操作を続けているのであります。

「しかしなぁ、起用というか、失礼な奴らというか、アレが普通なんだろうなぁ今は」
その彼女たちが我々二人に思わぬ話題を提供してくれたのでした。

「我々の高校時代には、良い悪いは別としても、それぞれに行きつけの喫茶店みたいなものがあって、そこでたむろしてたけど、今の子はマックとかミスドとか・・あっカラオケ、漫画喫茶もそうか、そういうところでたむろするしかねぇんだろうな」
「・・・・・・・でもさ、思うに、あの子達、店の人と仲良くなったり会話したりなんて事あるのかな?ほら、我々の頃はその茶店のママやマスターとは、いやいや他の客とまで顔見知りになってさ、仮に一人で行ってもそこそこ暇つぶしになったりしたジャン」

その時、私はふと思ったのですよ。
「あれはある意味世代を超えた交流の場でもあった」なんてね。
同世代はもちろんですが、まったく年の違う、ヘタをすれば自分の親のような世代の常連さんと話をしたりふざけたり出来る場所だったじゃないですか、そんな中で先輩やもちろん後輩ともどう接っするべきかというか、つまりは人間と人間の付き合い方を覚えていった(生身のね)そんな気がふとしたのです。

「あの子達は、我々おじさん連中となんか話しもしたくないんだろうね」

もちろんこれは女子高生に限ったことではなく、男子高生もおそらくはそういう場を持っていない子が今は多いのだと思います。
まっ、私のように高校の頃から飲み歩くのはイカンですよ、でも、親子、親類縁者といった関係が全くない、年の違う人とのお付き合い(変な意味じゃありませんよ)って、いずれ必ず必要になることですよね。それを我々はそんなところで覚えてきたんじゃないか、なんてね。

「あっ、でもほら、アルバイトなんかでそういう場はあるんじゃないの?」
「なるほど、だけどさ、喫茶店なんかで知り合う気楽な関係と、アルバイトで知り合う、つまり何て言うかなぁ、上司と部下みたいな付き合いとはまた違うジャン」
「う~~ん、だから、今の若い連中は、区切られた空間での自分たちだけで飲むっていう酒の飲み方をするのかなぁ?」
「それも、携帯片手にじゃ、面白くねぇだろうなぁ」
そう思うのはオヤジだけなのかもしれませんが(笑)


これは高校時代、我がバイト先のジャズ喫茶で行われた
ママのサヨナラパーティー、ここに高校生が混じっているのは
ちと、問題があるといえば問題があるんですが(笑)

昔、大学生時代に藤沢駅前のビル中でアルバイトをしていたことがありました。
いつだったか帰りがけに駅前に立ち並ぶ屋台で飲んでおりますと、隣で飲んでいた、そう私の父より少し若いくらいのおじさんと話が弾みまして、
「俺にも、あんたくらいの息子がいるんだけどね、まぁ親子の会話は無いね」
もちろん当時私だって父との会話など無しに等しいものでした。
「それがさぁ、こうして息子と同じ年代の君と飲んでいると、素直に話せるから不思議だよなぁ、よし!今日はとことん飲むぞ!おじさんのおごりだ!」
結局、明け方近くまで飲み明かし、帰りのタクシー代までおごってもらいました。
翌日、ふと父の声が聞いてみたくなって、実家に電話をした覚えがあります。もちろんたいした会話はありませんでしたけどね。(笑)

ともかく、そんな話題を提供してくれた『肩越しの女子高生』達は、ついに我々が店を後にするときまで携帯から目をそらすことはありませんでした。
帰り際車の中で、我が息子と娘をふと想った私でありました。とさ。


自分が写った写真を使わないところがいいですよね(笑)

さて、今日の一枚は、ケニー・バレルです。
邦題が『ケニー・バレルの全貌』という、なんだか凄いアルバムでありますが、たしかにギル・エバンスの巧みなアレンジで、バレルの魅力を引き出した一枚であることは間違いないでしょう。
ただね、個人的趣味で言わせていただくと、マイルスとギルの協同アルバム同様、あまりこの雰囲気は好きじゃないんですよねぇ。バレルの場合は、もっと、そう「INTRODUCING」みたいな演奏の方が、どうしても私は好みなのであります。そこには、何処がどうという確固たるものは無いのですよ、ただの雰囲気。
中身もアレンジもまったく違いますが、例えば同じギターのジム・ホール、彼の「CONCIERTO」いわゆるアランフェス協奏曲も、肝心のA面よりB面が好きみたいな。(笑)ほんと、単純に個人的感覚だけなのです。

おっと、話は今日のアルバムでしたね。
好みは別として、ギルのアレンジというのは、マイルスでもそうですけど、一人のソリストを巧みに押し出すアンサンブルの作り方、そのへんにかけては天下一品であるとは思います。
おそらく、このアルバムの全てが彼のアレンジでは無いんじゃないでしょうか?それ故になおさらそれを感じ取れるようにも思えます。
これって、好きな人にはたまんないんでしょうね。

GUITAR FORMS / KENNY BURREL
1964年12月4,5日, 1965年4月5,12日録音
KENNY BURREL(g) GIL EVANS(arr,cond) & オーケストラ

1.DOWINSTAIRS
2.LOTUS LAND
3.TERRACE THEME
4.EXCERPT from "PRELUDE #2"
5.MOON AND SAND
6.LOIE
7.GREENSLEEVES
8.LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG
9.BREADWINNER