母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

レンギョウの花

2015年03月26日 | 花(春)
春の彼岸には
墓を囲んで咲いた黄色いレンギョウの花だった

北風寒く吹く高原の
村の彼岸は
先祖さまに会う日だった

真昼の陽を浴びた黄色いレンギョウはいつも
春の訪れを告げる
金いろのまぶしい花だった

雪を抱く高山に囲まれ
豊かな湧水に恵まれ
黒土の肥沃な田畑の村は
平和に横たわり欠伸し
冬の眠りから目覚める季節だった


それから長い長い時が過ぎ去り
いつかレンギョウの木も
人も村も老いに疲れ果て
家も道も小川も
レンギョウの木と共に姿を変え
幾つも並ぶ墓石らは
悠久の流れの中の命の喜びと儚さと
再生を願い
静かに立っているのだった


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