二輪のもも色椿
信楽に挿した春の日
朝焼けのようにうす紅が透け
夕焼けのようにうす紅が急ぐ
三日目に椿はひとつ ふたつと畳に落ちて
形を失い命終えたが
花の去った枝はそれから何日も
きらきら光る濃い緑の葉たちを従え
何もなかったように信楽の壺に控えていた
そこに二つのうす紅の花のあったこと
その終わりがあったことも
何もなかったように輝きを失わず
静かに息遣いして
花冷えの午後をゆるりすごしていた
信楽に挿した春の日
朝焼けのようにうす紅が透け
夕焼けのようにうす紅が急ぐ
三日目に椿はひとつ ふたつと畳に落ちて
形を失い命終えたが
花の去った枝はそれから何日も
きらきら光る濃い緑の葉たちを従え
何もなかったように信楽の壺に控えていた
そこに二つのうす紅の花のあったこと
その終わりがあったことも
何もなかったように輝きを失わず
静かに息遣いして
花冷えの午後をゆるりすごしていた