母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

緑の葉

2016年03月10日 | Weblog
二輪のもも色椿

信楽に挿した春の日

朝焼けのようにうす紅が透け

夕焼けのようにうす紅が急ぐ

三日目に椿はひとつ ふたつと畳に落ちて

形を失い命終えたが

花の去った枝はそれから何日も

きらきら光る濃い緑の葉たちを従え

何もなかったように信楽の壺に控えていた

そこに二つのうす紅の花のあったこと

その終わりがあったことも

何もなかったように輝きを失わず

静かに息遣いして

花冷えの午後をゆるりすごしていた


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