母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

くりの実

2017年10月29日 | ふるさと
セピア色の艶を持つきれいな木の実が
はじけて落ちてくるのは
秋の陽の温もりのせいです

セピア色の秋の木の実が
黄金色に熟れて甘いのは
大気がしっとりと美味だからです

セピア色の木の実を煮る湯気のなかで
皮をむくとき
秋は じっくりと実って
木の葉焚く煙の匂いに幼い日の
にぎやかだった茶の間の思い出がやってきます
けむり色の セピア色の匂いです


    

     『清水みどり詩集 黒猫』東京文芸館 1997 より

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