母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

かすみ草

2014年03月06日 | ふるさと
かすみ草を好きだった母は
春を待たずに遠く去った
それから十年があっという間に過ぎても
きのうのように覚えている母の去った日

毎年毎年忘れずに
かすみ草の花をそなえて想いだす母
かすみ草の小さな白い花に
優しかった母の白い顔がうかぶ

どんなきれいな人も
老いると小さな花になる
薔薇や牡丹でなく
百合でもなく
野の花になりかすみ草になって消えてゆく

私たちもいつか同じかすみ草になって
母のもとにゆくのだろう
優しい母といっしょにまた
卵かけご飯を賑やかにたべるのだろう
生きとし生けるものは何度でも
魂をいただいて蘇り
同じ母のもとに戻るのだろう

季節風の吹く日かすみ草は
たまゆらのように心包んで
今朝もふわり 咲いている

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