母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

牛首の麓から

2015年08月08日 | 
マツムシソウにみつ蜂の群れたひろい草はら
牛首山からいきなり吹き下ろす風に
帽子を盗られてあわてた
私たちの高原は
人の知らないお花畑を隠していた
「地元の人も知らないところ」
カノコユリやワレモコウ、ナデシコに黄スゲらとりどりの野の花が
生きもののように首を振るなだらかな斜面に
わたしたち兄弟三人は
子供のころの姿に戻ってはしゃいでいた日
「飯盛山へ続くあれは白い道」
「あの曲線が釜無の流れ」
「こんもりと小さいのは旭山」
瑞牆山も金峰もすぐそこ 
そして甲斐駒の峰はきりりと聳え
真昼の昼下がり人の気配薄いこの秘密の草はらに立って
わたしたちはその時
まるでふるさとを抱え込んだようにうっとりと
うねうねと続く河川
深緑の樹林とやまなみと
湧き起こり流れてゆく雲に見とれていた


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2 コメント

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山栗さん (はな)
2015-12-19 16:51:55
コメントありがとうございます。

新しく道が通ったころ、だいぶ前のことで以来訪れていませんが、きっと花たちはひろい山麓では今も咲いていると思います。 

庭に咲くマツムシ草、清里ならではでいいですね。
山麓の店などでも野花を見かけますが、のびのび咲く姿はみんな自由でいいです―。 






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初めまして (山栗)
2015-12-18 14:17:25
初めまして、清里の山栗といいます。

牛首山に“秘密の花園”があるんですね。この美しい響きの文章を読んでいて、私も行ってみたくなりました。

庭には買ってきて育てたマツムシソウが咲きましたが、大自然の中で咲いているマツムシソウを見てみたいです。
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