母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

ひな様のまつり

2019年03月04日 | Weblog
ひな様は真昼は
うとうと眠っておいでです
喧噪のこの世では
ひなさまはゆっくりお話もできません
テレビジョンの音は金属的で
心安まる時もありません
ひな様のお好きな笙の音色も
お正月くらいしか聴けません
美しい言葉は
荒々しい会話に変わり
時は忙しく空しく
あっという間に流れ去るだけ

たべものは過ぎるうまみに味が変わり
濃い味もすぎると辛く
ひな様は少しの塩だけでなんでもおいしいと
欲望を離れ自然のままおられます

ひな様の横顔は何時も静か
怒りを見せず
哀しみを見せず
傍に居る人をただ和ませ
聞こえぬ天上の音色のなか
春の宵を
ゆっくり流れる時間の中においでです

ひな様は夜更けは眠ることなく
時の流れを振り返り
想い出をなぞり
ふたりでそっと語り合われる
白酒をすこし口にされたり
黄色と桃色の花の色を愛でられ朝まで
今年もおふたりの短い早春のまつりを
楽しまれておいでです


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