今までとちょっと毛色の変わった本を読みました。
冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見 日経ビジネス人文庫

筆者は27歳で投資の世界に本格参入し10年間で巨万の富を築き上げ37歳にして引退し世界中を旅してまわっている人です。一度目はバイクによる世界一周(1990~91年)で今回の旅は大改造したメルセデスベンツで1998年末から2001年末まで3年間、恋人(旅の途中で結婚)とともに116カ国を走破した記録です。
飛行機で目的地まで飛んでいって観光地をまわって帰ってくるのでは絶対に味わえない世界がそこにあります。お金持ちの観光世界旅行記ではなく超一流投資家からみた世界各国の政治経済状態のレポートであり、決死の冒険記なのです。
国境を車で越えるということがどんなに大変なことか、役人との手続きだけで何週間も費やしてしまうことがたびたび、国の役人にもさんざんだまされたり金で解決したり、そのやり取りの中でその国の政治行政の状態が見えてきます。
そして世界各地で今現在も戦争状態の地域のなんとも多いことに驚かされます。隣国でありながら国交断絶してる国は国境を超えられず、船で迂回して次に進んでいきます。極め付きは戦地の中を軍隊の警護を受けながら走るこの筆者の度胸と何でも見てやろうという探究心に敬服します。
地べたを走ってその国の庶民の生活や生の経済状態を見て回る筆者の視点にすいこまれていきました。歯に衣着せぬ毒舌で万人の共感は得ることは難しい書だと思いますが、常人を超えたレベルの人しか味わえない世界が垣間見られ、また世界情勢を地べたからの視線で見れる稀有な書だと思いました。