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韓国  2月の国税16兆ウォン減少、景気減速の中で税収不足への懸念広がる

2023-04-01 18:03:04 | 日記
1、2月の国税16兆ウォン減少、景気減速の中で税収不足への懸念広がる
Posted April. 01, 2023 08:36,   
Updated April. 01, 2023 08:36

今年に入ってから2月まで、国税が昨年同期より約16兆ウォン少なく徴収されたことが分かった。

2月だけで9兆ウォンが減り、1月(6兆8000億ウォン)より税収減少幅がさらに大きくなった。不動産取引減少と景気減速にともなうもので、「税収不足」をめぐる懸念が広がっている。

31日、企画財政部によると、今年1~2月の国税収入は54兆2000億ウォンで、1年前より15兆7000億ウォンが減少した。

1~2月の累計基準で、過去最大の減少幅となる。

1年間徴収しようと目標に据えた税金のうち、実際に徴収された税金の割合である進度率は、2月は13.5%だった。

昨年2月(17.7%)はもとより、この5年間の2月の平均進度率(16.9%)にも及ばない水準だ。

これは、不動産および株式市場の低迷が大きな影響を及ぼした。

昨年12月、住宅売買件数は1年前より48.6%激減し、譲渡所得税は4兆1000億ウォン減少した。

証券取引税は8000億ウォンで、昨年より8000億ウォン減少した。

景気減速も一役買った。昨年から景気が低迷し、付加価値税(13兆9000億ウォン)と法人税(3兆4000億ウォン)は、それぞれ5兆9000億ウォンと7000億ウォンが減少した。

昨年、新型コロナの税制支援による基礎効果も一役買った。2021年下半期(7~12月)の納付猶予措置で、一昨年に徴収しなければならない税金が昨年1、2月に集中的に入ってきたのだ。

企財部は、基礎効果を勘案した今年1~2月の実質税収の減少幅は6兆9000億ウォンだと分析した。


世宗市=キム・ヒョンミン記者 kalssam35@donga.com


ロシアのウクライナ侵略による世界経済への影響

2023-04-01 17:33:55 | 日記
第Ⅰ部 第1章 世界経済に対する地政学的不確実性の高まりと経済リスク

第1節 ロシアのウクライナ侵略による世界経済への影響

2022年2月24日にロシアはウクライナへの侵略を開始した。翌日の同年2月25日に、岸田文雄内閣総理大臣は、ロシアによるウクライナへの侵略は、力による一方的な現状変更の試みであること、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害する明白な国際法違反であること、国際秩序の根幹を揺るがす行為として断じて許容できず厳しく非難すること、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しロシアに対して軍の即時撤収と国際法の遵守を強く求めること等の我が国としての姿勢を表明した。

ロシアによるウクライナ侵略を受けて、G7を中心とする先進国は、エネルギー分野を含め、前例の無い大規模な経済制裁を迅速に導入・実施し、ロシアとの経済・政治関係の見直しを急速に進めてきた。

これを契機に、冷戦後かつてないほどに経済的分断への懸念が高まっており、自国中心主義や経済安全保障の重視により多極化が進行する国際経済の構造変化を加速させ、国際経済秩序の歴史的な転換点となる可能性が出てきている。

また、新興国・途上国の多くは、ロシアへの経済制裁などの踏み込んだ措置の導入を控え、ロシアとの経済・政治関係に関して、ロシアに配慮した中立的な姿勢を示している(第Ⅰ-1-1-1図)。

本節では、この侵略によって世界経済にどのような影響が及び得るのかを見ていく。

 各国のロシアへの対応

1.世界経済と金融市場・商品市況の動揺
2022年2月24日にロシアはウクライナへの侵略を開始し、当初の反応として金融市場・商品市況は大きく動揺した。

2022年3月にOECDが発表した報告書1によれば、ロシアとウクライナは経済規模として大きくはないものの(IMFによれば、2021年の名目GDPの規模及び世界の名目GDPに占める割合について、ロシアは1.8兆ドル(世界第11位)で1.8%、ウクライナは0.2兆ドル(同54位))、

主要な食料、鉱物、エネルギー資源の輸出国であることから、ウクライナ危機が、食料やエネルギー価格を中心とした商品市況価格の高騰を通じて、世界経済と金融市場に大きなショックを与えるとしている。

同報告書の分析では、ロシアによるウクライナへの侵略が早期に撤収されなければ、金融市場と商品市況へのショックによって、世界の実質GDP成長率は、侵略の一年目には1.08%ポイント押し下げられ、世界の消費者物価インフレ率が2.47%ポイント押し上げられると試算している。
ロシアと貿易・投資の結びつきの強いユーロ圏への影響が大きく、実質GDP成長率は1.4%ポイント低下する見通しとなっている。

ロシア経済は、成長率が10%ポイント超押し下げられ、インフレ率は15%ポイント近く押し上げられると試算されている。

IMFが2022年4月に公表した世界経済見通しにおいてもOECDと同様の見方が示されており、ロシアによるウクライナ侵略は、ウクライナにおける深刻な経済縮小とロシア経済の混乱を引き起こし、食料やエネルギーといった商品市況の高騰、貿易、そして金融を通した影響が世界経済へ波及することが想定されている。

IMFが公表した見通しによれば、2022年のウクライナの実質GDP成長率は-35.0%と大幅な経済の縮小が予想されており、ロシアについても、経済制裁等の影響により、同年の実質GDP成長率は-8.5%が予想されており、両国について、前回の見通し(ウクライナは2021年10月時点の3.6%、ロシアは2022年1月時点の2.8%)からは大幅な予測の引下げとなっている。

世界の実質GDP成長率は、2022年1月予測の4.4%から3.6%に0.8%ポイント引き下げられ、ロシアによるウクライナ侵略の直接の当事国ではない経済についても、ユーロ圏の成長率が3.9%から2.8%に1.1%ポイントと大きく引き下げられ、アジア地域新興国への影響も比較的大きい。

 ウクライナ、ロシア、世界、ユーロ圏、アジア新興地域の実質GDP成長率

IMFの世界経済見通しでは、2022年にインフレが深刻な水準に高進することも予測されている(第Ⅰ-1-1-3図)(ただし、ウクライナについての見通しは公表なし)。

具体的には、ロシアでは、資源価格の高騰に加えて、経済制裁等による物資の供給に混乱が生じることもあり、2022年のインフレ率は21.3%(前回2021年10月時点の見通しは4.8%)と2021年の6.7%から大幅な上昇が予測されている。

その他にも、資源価格高騰の影響によって、2022年の世界経済のインフレ率は7.4%(前回2021年10月時点の見通しは3.8%)と2021年の4.7%からの上昇、ユーロ圏の2022年のインフレは5.3%(前回2021年10月時点の見通しは1.7%)と2021年の2.6%からの上昇、そしてアジア新興地域の2022年のインフレ率は3.5%(前回2021年10月時点の見通しは2.7%)と2021年の2.2%からの上昇が見込まれており、特にロシアへのエネルギー依存の高い国が多いユーロ圏でのインフレ率が大幅に上昇することが予測されている。


また、世界銀行やロシア当局からも、同国の困難な経済見通しが示されている。

ロシア中央銀行が2022年5月に公表した景気見通しによれば、2022年の実質GDP成長率は-8.0%~-10.0%と大幅なマイナス成長が予測されており、2023年と2024年についても経済成長率の回復が小幅であることが見込まれている。

さらに、インフレ率については、商品市況の高騰に加えて、ロシアのウクライナ侵略によってロシア国内の物資供給に混乱が生じていること等もあり、2022年は8.0%~23.0%と大幅な上昇が見込まれており、2023年と2024年についても上昇率は高水準が続くことが見込まれている。

世界銀行でも、2022年4月に公表したレポートでは、2022年のロシア実質GDP成長率を-11.2%(2022年6月に公表した世界経済見通しレポートでは-8.9%へ修正)、インフレ率を22.0%と予想しており、他の見通しと同様に大幅な経済の落ち込みとインフレ高騰を見込んでいる(第Ⅰ-1-1-4表)。

 ロシア中央銀行と世界銀行によるロシア経済見通し

足下のロシア経済の主要な経済指標は、上述のロシア経済についての困難な見通しと整合的な動きとなっており、経済制裁等の影響が既に現れている(第Ⅰ-1-1-5図)。

具体的には、ロシアの企業景況感を示す購買担当者景気指数(Purchasing Manager Index: PMI)は、2022年4月時点で景況感の境目となる50を下回っており、同年3月時点の製造業生産は前年比-0.3%と減産に陥っている。

更に同年4月の消費者物価指数は前年比17.8%の上昇となり、商品市況の高騰と物資供給の混乱の影響が示唆されている。

こうした分析を踏まえて、金融市場と商品市況の動きを見ると、世界の株式市場の動向を示すMSCIの世界指数(先進国分)と新興市場指数は、ロシアによるウクライナ侵略の直前(2022年2月23日)と比較して、それぞれ-3.8%(同年3月8日時点)と-14.9%(同年3月15日時点)の下落となり、新興国の株価が特に大幅に下落した(第Ⅰ-1-1-6図)。

紛争状態が継続する間は不安定な推移になると見られる。

 ロシアによるウクライナ侵略の開始以降の金融市場
以下で議論するとおり、ロシアは石油や天然ガス等のエネルギー部門が輸出の約5割を占めており、ウクライナは穀物等の食料を主な輸出品目としている。

ロシアによる侵略が開始されてからの商品市況の動向を見ると(第Ⅰ-1-1-7図)、原油価格の代表的な指標の一つであるWTI原油先物価格は、ロシア産の原油が供給不安になるとの懸念が高まったことで、2022年3月に入り2014年6月以来となる1バレル100ドルを超え、侵略開始直前と比較して34.3%と大幅に上昇し(同年3月8日時点)、その他の主要な原油価格動向も同様の推移となった。

また、同年5月31日に、EUがロシア産原油(パイプライン経由を除く)の年内での禁輸措置を表明したことにより、石油の供給不安が高まったことで、同日には欧州での原油価格の指標となるブレント原油価格の上昇が見られた。

さらに、天然ガスの先物価格は、米国のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、ロシアによる侵略開始前に比較して94.1%の上昇となり(同年5月25日時点)、欧州での価格動向を示すオランダTTFでは、侵略開始直前に比較して2.6倍にまでの急騰も見られた(同年3月7日時点)。
 ロシアによるウクライナ侵略の開始以降の原油と天然ガスの価格動向

上述のようなロシア国外での代表的な商品市況の動きがある一方で、同国国内で特有の動きも生じている。具体的には、ロシア産原油の価格動向を示す指標銘柄を見ると、アジア向けとされる東シベリア太平洋(ESPO)パイプライン経由の原油価格が低迷しており、主に欧州向けとされるウラル原油価格もロシアによるウクライナ侵略後に下落していた(第Ⅰ-1-1-8図)。

後述するように、欧州諸国ではロシアに対する制裁の一環として、同国からのエネルギー輸入を制限する動きが出てきており、同国での原油在庫の増加がそうした価格動向の背景になっていると見られる。


穀物価格の面では、両国の主要な輸出品目の一つである小麦と、ウクライナの主要な輸出品目の一つであるトウモロコシの先物価格動向を見ると(第Ⅰ-1-1-9図)、小麦先物価格は侵略開始直前に比較して62.7%もの上昇となり(同年3月7日時点)、トウモロコシの先物価格は19.7%の上昇となった(同年4月29日時点)。総じて、このような商品市況の混乱は、ロシアがウクライナへの侵略を開始し、世界経済の不透明感が高まったことによって引き起こされたものである。

第Ⅰ-1-1-9図 ロシアによるウクライナ侵略の開始以降の穀物の先物価格

2008年9月に世界金融危機が起こった際にその影響が懸念されたように、株価の大幅な下落は、金融機関のバランスシートを毀損させることで、企業への貸し渋りや金融システム不安を惹起させるリスクがあり、金融資産価値の目減りは負の資産効果を通じた個人消費への悪影響も懸念される。

また、原油や穀物等の商品市況の高騰は、関連する製品の価格に直結していることから、企業活動や国民生活への影響は重大である。

さらに、エネルギーや食料の大きな価格変動は、特に新興国及び途上国の貧困層の国民生活に甚大な影響を及ぼす。

例えば、IMFによるサブサハラアフリカ地域の分析レポートによれば、同地域の小麦輸入依存度は85%と高水準であり、同地域では食料が消費支出に占める割合が40%と高水準であることから、世界食料価格が高騰するとその3割以上が国内価格に反映されるほか、原油価格の高騰によって同地域の原油輸入代金が190億ドル増加し財政収支が0.8%ポイント悪化するとされており、ロシアによるウクライナ侵略の影響に対してぜい弱性があることが指摘されている

また、食料やエネルギー等の生活必需品を中心としたインフレ高騰は、低所得国の新興国・途上国を中心に社会の不安定化のリスクを高めるおそれがあり、スリランカやパキスタン等において既に政情不安が顕在化している。

侵略を開始したロシアとそれによる甚大な被害が出ているウクライナとの直接的な経済のつながりだけではなく、このような金融市場や商品市況の大幅な変動を通した間接的な影響には留意を要する。

ロシアがウクライナへの侵略を開始したことによって、ロシア経済自体が混乱するとの懸念が強まったことから、ロシアの金融市場も大きく混乱した(第Ⅰ-1-1-10図)。

ロシアの通貨であるルーブルは、2022年3月7日に対米ドルでの為替レートが一時は史上最安値となり通貨価値が大幅に下落し、株式市場は低迷している。

ただし、ルーブルは、足下ではウクライナ侵略以前の水準に回復しており、この背景には、ロシア中央銀行による通貨防衛を目的とした政策金利の大幅な引上げのほか、例えば、2022年2月28日に公表された、輸出企業による外貨収入の80%を3営業日以内にルーブルに転換することの義務化や、同年3月9日に公表された、民間銀行によるロシア国民に対するルーブルの外貨両替の停止等といった資本取引規制強化の効果があると考えられる。

さらに、ロシアによる債務履行に対しての不透明感も強まったことから、ロシア国債の金利とクレジットデフォルトスワップ(CDS)が急騰した。ロシア側の対応としては、市場での大幅なルーブル安を受けて、ロシア中央銀行は通貨価値を防衛するために、同年2月28日に政策金利を9.50%から20%へと大幅に引き上げている(ロシアルーブルの為替レートが安定したこと等により、その後は利下げに転じている)。

このようなロシアに対する懸念の高まりを受けて、主要な債務格付会社はロシアの外貨建て債務格付を、ウクライナへの侵略前の投資適格段階から債務不履行が懸念される投機的段階まで大幅に格下げし、EUによる経済制裁の一環から格付自体を停止している(第I-1-1-11表)。

ロシア中央銀行の統計によると、ロシア国債は発行残高の20%程度が非居住者によって保有されている(第Ⅰ-1-1-12図)。

株価の影響と同様に、ロシア国債の利払いや元本支払いに対する懸念が強まることで有価証券としての価値が低下すれば、金融機関を含めた投資家のバランスシートが毀損することには留意が必要である。

第Ⅰ-1-1-12図 ロシア国債の非居住者の保有動向

ロシアによるウクライナ侵略が引き起こした商品市況の高騰は、マクロ経済的な観点で見れば、資源国にとっては交易条件(輸出物価の輸入物価に対する比率)が改善し、非資源国にとっては交易条件が悪化することを意味し、所得が非資源国から資源国に流出しやすくなる環境が不自然な形で醸成されることになる。すなわち、商品市況の高騰は、資源国への所得移転をもたらし、輸入国における家計の購買力低下や企業収益の圧迫に繋がるため、間接的には、個人消費や世界経済成長率への下方圧力が経済へのリスクとなる。

この観点から、代表的な非資源国(日本、ドイツ)と、代表的な資源国(米国、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、ブラジル)を比較すると、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大から世界経済が正常化する過程において、物流が景気回復の顕著な地域に偏ったことや、グリーン投資需要等によって関連する資源価格が上昇したため、ブラジルの交易条件の悪化という資源国における例外はあるものの、ロシアによるウクライナ侵略が開始される前から既に、非資源国の交易条件の悪化と資源国の交易条件の改善が顕著になっていた(第Ⅰ-1-1-13図)。

石油や天然ガスといった資源の貿易は、長期契約に基づいていることが一般的であるため、ロシアによるウクライナ侵略が引き起こした商品市況の高騰は、即時に交易条件に影響する訳ではなく、今後更に非資源国の交易条件を悪化させることも考えられる。今回の商品市況の高騰が時差を伴って非資源国の交易条件に与える影響には留意する必要がある。


2.我が国と諸外国のロシアによるウクライナ侵略への対応
我が国を含めたG7を始めとする国際社会は、ロシアに対する制裁を強めている(第Ⅰ-1-1-14表)。具体的には、IMF、世界銀行、欧州復興開発銀行を含む主要な多国間金融機関からのロシアへの融資の防止、デジタル資産などを用いたロシアによる制裁回避への対応、ロシア中央銀行との取引制限、プーチン大統領を含むロシア政府関係者やロシアの財閥であるオリガルヒ等に対する資産凍結等の制裁、ロシアの特定金融機関及びそれらの子会社に対する保有資産の凍結、SWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシアの特定銀行の排除、ロシア政府による新たなソブリン債の国内発行・流通等の禁止、ロシアへの新規投資の禁止等の金融措置や、WTO協定に基づく最恵国待遇の撤回、贅沢品の輸出禁止、ロシアの軍事関連団体に対する輸出禁止、国際的な合意に基づく規制リスト品目や半導体など汎用品・先端的な物品のロシア向け輸出禁止、ロシア向け石油精製用の装置等の輸出に関する制裁、石炭・石油輸入のフェーズアウトや禁止を含むエネルギー分野でのロシアへの依存低減等の貿易措置等といった、ロシアを国際金融システムや世界経済から隔離させるための対応を講じてきている。その他、各国政府において、入国ビザの発給停止といった措置が講じられていることに加え、民間企業も、ロシア事業の停止やロシアからの撤退等の行動を示している。
第Ⅰ-1-1-14表 ロシアのウクライナ侵略に対する我が国と諸外国の対応
3.ロシアとウクライナの世界経済とのつながり
各国におけるロシアとウクライナとのつながりを見ると、金融面での直接的なつながりは大きくはない。具体的には、国際決済銀行(BIS)の国際与信統計によると、ロシアとウクライナに対する金融機関の国際与信残高は、欧州諸国や米国、そして我が国の割合が比較的大きいものの、各国における国際与信残高総額に占めるロシアとウクライナの割合は大きくはない(第Ⅰ-1-1-15図)。
第Ⅰ-1-1-15図 ロシアとウクライナに対する各国金融機関の国際与信残高
また、ロシアに対する国際与信残高の推移を見ると、特に2014年以降において残高の減少が顕著となっており、足下の残高(2021年12月末:1,052億ドル)を2013年第4四半期末(2,250億ドル)に比較すると-53.2%と半減している。そうした推移は、各国が、2014年のロシアによるクリミア「併合」以降に、ロシアに対するエクスポージャーを減らしており、金融リスクが管理可能な程度であることが示唆されている(第Ⅰ-1-1-16図)。
第Ⅰ-1-1-16図 ロシアに対する国際与信残高の推移
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一方で、冒頭に述べたOECDの報告書で議論されているとおり、ロシアとウクライナが世界経済に与える影響が大きいと見られるのは、貿易を通じた影響である。ロシアとウクライナの貿易動向を概観すると、WTOの集計によれば、両国は、世界の財貿易額に占める規模自体は大きくはない。2021年の財輸出においては、ロシアは4,940億ドルで世界第13位(全体の2.2%)、ウクライナは681億ドルで世界第48位(全体の0.3%)である。また、2021年の財輸入額においては、ロシアは3,039億ドルで世界第22位(全体の1.3%)、ウクライナは725億ドルで世界第49位である(全体の0.3%)。2021年のロシアの主要な輸出相手国は、中国(全体の14.0%)、オランダ(同8.6%)、ドイツ(同6.0%)、トルコ(同5.4%)、ベラルーシ(同4.7%)であり、トルコやベラルーシにおいては、ロシアからの輸入割合が比較的高く、ロシアの主要な輸入相手国は、中国(同24.8%)、ドイツ(同9.3%)、米国(同5.7%)、ベラルーシ(同5.3%)、韓国(同4.4%)であり、ベラルーシの輸出に占めるロシアの割合が比較的高くなっている(第Ⅰ-1-1-17図)。また、2021年のウクライナの主要な輸出相手国は、中国(全体の11.7%)、ポーランド(同7.7%)、トルコ(同6.1%)、イタリア(同5.1%)、ロシア(同4.2%)であり、主要な輸入相手国は、中国(全体の15.2%)、ドイツ(同8.5%)、ロシア(同8.5%)、ポーランド(6.9%)、ベラルーシ(同6.7%)であり、主要な輸出相手国にとって、ウクライナは大きな輸入元ではなく、主要な輸入相手国にとって、ウクライナは大きな輸出市場とはなっていない(第Ⅰ-1-1-18図)。
第Ⅰ-1-1-17図 ロシアの2021 年の貿易動向
第Ⅰ-1-1-18図 ウクライナの2021 年の貿易動向
また、ロシアとウクライナの輸出品目の詳細を見ると(第Ⅰ-1-1-19図)、ロシアの輸出品目では、石油・同製品、石炭、石油ガスといったエネルギー関連が上位品目に多く、ウクライナの輸出品目では、植物性油脂、トウモロコシ、小麦等といった食料関連が上位品目に多い。両国の主要な輸出品目は、それらを輸入に依存する国において、国民生活に影響を及ぼす重要な品目であるといえる。
第Ⅰ-1-1-19図 ロシアとウクライナの主な輸出品目
ロシアの主要な輸出品目であるエネルギー関連品目の2020年の生産動向を概観すると、原油については、ロシアは日量1,067万バレルで、世界シェアの12.1%を占める世界第3位の生産国である。石炭については、ロシアは4.0億トンで、世界シェアの5.2%を占める世界第6位の生産国である。天然ガスについては、ロシアは6,385億立方メートルで、世界シェアの16.6%を占める世界第2位の生産国である。

他方、食料関連については、

小麦において、ロシアは世界第1位、ウクライナは世界第5位の輸出国、

トウモロコシにおいて、ウクライナは世界第4位の輸出国、

ひまわり油(2019年)について、ウクライナは世界第1位、ロシアは世界第2位、

そして肥料についてロシアは世界第1位の輸出国である。

上述のとおり、ロシアとウクライナは貿易規模としては大きくないものの、特定の品目については、世界の主要な供給国である

第Ⅰ-1-1-20図 ロシアとウクライナのエネルギー生産と食料関連品目の輸出

そのようなロシアとウクライナの主要な輸出品目を踏まえて、ロシアからのエネルギー関連の輸出額が多い上位5か国について、それぞれの国の輸入調達動向を見ると(第Ⅰ-1-1-21表)、(第Ⅰ-1-1-22表)、(第Ⅰ-1-1-23表)、ドイツといった欧州の中でも経済規模の大きい国において、ロシアからの輸入割合が大きい品目があり、ロシアによるウクライナ侵略によって、エネルギーの供給不安が高まった場合に、経済活動への影響が大きいと考えられる。また、特徴的な動向として、例えばドイツが石油及び歴青油(原油に限る)(HS2709)をオランダから輸入しており、オランダにおいても同品目の輸入割合に占めるロシアの割合が高いことから示唆されるように、調達したエネルギー関連品目を欧州各国同士で融通している可能性が挙げられる。


ドイツ製造業の試練 ロシアの安価なエネルギーに頼るビジネスモデルが崩壊

2023-04-01 17:23:28 | 日記
23.03.02(木)


ドイツ製造業の試練 ロシアの安価なエネルギーに頼るビジネスモデルが崩壊

  • 国際経済


ドイツはヨーロッパで「ひとり勝ち」とも言われるほど経済の力強さを誇ってきました。

その経済を支えていたのが、ロシアから安く、安定して調達できる天然ガスです。

しかしウクライナ軍事侵攻のあと、ロシアは天然ガスの供給を削減。

ドイツ経済の屋台骨を支える製造業が今、揺らいでいます。

ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」。供給が削減された

「ロシアのガスは使わない」 エネルギー経費1.5倍に

ドイツ西部・ルール工業地帯の大手化学メーカー「Evonik」。

この工場は敷地内の発電所で電気をまかない、その燃料の多くはロシアからパイプラインで運ばれる天然ガスでした。

パイプラインが今運ぶのは天然ガスではなく、

天然ガスを運ぶパイプラインは今、「LPG」=液化石油ガスを工場へと送り出しています。

LPGは近隣の石油精製所から購入し、工場が使うガスの40%を代替することもできるといいます。

このメーカーの広報担当を務めるトビアス・レーマーさんは「ロシアのガスはもう使わない。私たちはロシアのガスから解放された」と話します。

広報担当者は「ロシアのガスから解放された」と話すが…

しかし、大半を占めるロシア産以外の天然ガスの価格は、激しい争奪戦で高止まりしたままです。

このメーカーの2022年のエネルギー経費は、ウクライナ侵攻前の21年に比べ1.5倍に急増しました。

23年は21年の2倍になると懸念されています。

大手化学メーカー クリスティアン・クルマンCEO

「ドイツはエネルギー価格の高騰と、混乱と呼ぶしかないエネルギーインフラに、今後10年間は間違いなく苦しむことになる」

電気代が4倍になった鋳造部品メーカー

ドイツでは電気料金も高い水準が続いています。電気を大量に使う鋳造部品メーカーは苦しい経営を迫られています。

鉄くずを溶かすために4つの電炉を使っていますが、その電気代が22年の4倍に増えました。

電気代が一気に4倍になった鋳造部品メーカー

鋳造部品メーカー クレーメンス・キュッパー社長

「日々5万ユーロ(715万円)の追加コストが発生している。毎日だ。

毎日、新しい大きなベンツが買えるほどだ」

メーカーは、製品に電気代を転嫁せざるをえないと顧客にも通告。

キュッパー社長によると、燃料調整費は100キログラム当たり約2.5ユーロ(357円)でしたが、「60ユーロ(8580円)に引き上げた」といいます。

このまま電気代の高止まりが続けば、取引先がコスト高のドイツから海外に移転してしまうのではないかと心配しています。

専門家「ドイツ経済は分岐点に」

専門家は、ドイツ経済の状況を次のように指摘します。

ifo経済研究所 クレーメンス・フースト所長

「今、ウクライナ戦争という新たな衝撃が(ドイツの)変化をさらに加速させている。現在は時代の分岐点とも言える」
クレーメンス・フースト所長(左)

中小企業の4社に1社が海外への移転を検討?

天然ガスの価格はひところの急激な上昇に比べて落ち着いたとは言っても、高止まりが続いています。

経済団体の調査ではドイツの中小企業の4社に1社が海外への移転を検討しているということです。

産業の空洞化が起きないかどうか重要な分岐点となりかねない事態となっていて、ドイツ国内では経済をロシアに依存しすぎていたという議論も起きています。

ドイツは輸出では中国と深く結びついています。こちらについても今後、一つの国への依存という点で議論となるのか注目されます。

(ヨーロッパ総局 有馬嘉男)

【2023年3月2日放送】

輸出不振に直面し、政府が打開策を模索(韓国)

2023-04-01 17:06:50 | 日記
輸出不振に直面し、政府が打開策を模索(韓国)

2023年2月20日

韓国の輸出が不振に陥っている。

確かに、2022年通年の輸出でこそ、前年を上回る実績だった。

具体的には、前年比6.1%増の6,837億ドルを記録した。

しかし、月を追うごとに勢いが衰えているのだ。月別に輸出の前年同月比を追うと、2021年5月をピークに伸び率は低下傾向だ。

2022年10月以降は、4カ月連続してマイナスを記録している

2022年の輸出を半期別にみると、上半期(1~6月)は前年同期比15.6%増の3,505億ドルだったのに対し、下半期(7~12月)は同2.4%減の3,332億ドル。減少に転じたかたちだ。

さらに、2023年1月は前年同月比16.6%減と、大幅に減少している。輸出不振がさらに鮮明になったことがわかる。

なお、貿易収支は、2022年通年で赤字だった。

これは輸入が、同18.9%の7,312億ドルと大幅に増加したことを受けた結果だ。

貿易赤字を計上したのは、リーマン・ショック時の2008年以来だ。

出所:韓国貿易協会データベース

半導体価格下落から、輸出が不調に

韓国の総人口は5,163万人(2022年中位推計、出所:統計庁)。

内需規模が必ずしも大きいとは言えない。そのため、経済成長には輸出の役割が重要だ。

統計庁のデータベースによると、韓国の輸出依存度(名目GDPに対する通関ベースの輸出額の比率)は、2021年時点で35.6%。

主要国の中ではドイツ(38.6%)と並び、高めの水準になっている。

ちなみに、同データベースなどによると、輸出依存度(同年)は、中国19.0%、日本15.0%、米国7.6%だ。

いずれも、韓国よりも大幅に低い。

輸出依存度が比較的高いというのは、輸出の好不調が経済に大きく影響する構造と言い換えることもできる(注1)。

足元の輸出が不振な最大の原因は、主力品目の半導体の輸出減少だ(注2)。

前年同期比106億ドル減(15.0%減)と、輸出総額の減少幅(80億ドル)を上回るほどだった。

半導体輸出がここまで減少したのは、半導体価格の下落によるところが大きい。

半導体メモリー(HS 854232)の輸出単価は、2022年半ばから下落が鮮明になっている。

2022年で最も高かったのは、5月。

その当時のキログラム当たり2万1,700ドルが、12月には同1万400ドルと半分以下に下がった

市況回復には時間が掛かる見通しだ。

かと言って、半導体に代わって輸出が好調な品目も見当たらない。そのため、当面は輸出不振が続きそうだ。

ちなみに、韓国銀行(中央銀行)が2022年11月24日に発表した経済予測では、2023年の実質GDP成長率は1.7%にとどまる。

韓国では2%を切る経済成長率は低成長とみられがちだ〔実際、2010年以降で2%未満だったのは、新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年(マイナス0.7%)1年だけだった〕。

2023年の経済成長率が低水準になるとした大きな理由は、輸出の不振が続くとみたことにある。

同行では、同年の財貨・サービス輸出(実質GDPベース)が0.7%増(上半期は前年同期比3.7%減、下半期は同4.9%増)にとどまるとみている。

輸出先の多角化、新しい輸出品目の創出に注力
昨今の輸出不振に対して、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は強い危機感を抱いている。

尹大統領は2023年1月1日、国民向けに「新年の辞」を発表した。主に言及されたのが経済分野だ。

その中でも、幾度となく輸出の重要性を強調したのが特に印象的だった。

まず、世界経済や韓国経済が直面する課題に言及した後、「複合危機は輸出で突破しなければならない。

輸出は韓国経済の根幹で、雇用の源泉」と述べ、輸出の重要性を強調した。

さらに、「韓国の輸出戦略は過去とは変えなければならない」「全ての外交の中心を経済に置き、輸出戦略を直接構築する」と決意表明している。
では、政府として具体的にどのような輸出政策を取ろうとしているのだろうか。

産業通商資源部(「部」は日本の「省」に相当)は2022年12月27日、「2023年 産業通商資源部業務報告」を発表した。

この報告には、2023年に実施予定の政策がまとめられている。

報告に付されたタイトルには、当年中に「輸出6,800億ドル以上」「設備投資100兆ウォン(注3)」「対内直接投資300億ドル以上の誘致」を目標にするとの文言が躍る。

ここでもまず「輸出」に言及していることから、特に輸出の回復に注力する方針を宣言したものといえる。

報告の内容は、4つの柱で構成されている。

その第1の柱もやはり、「政府を挙げて輸出増を実現」だ。輸出回復を最優先する姿勢を、さらにここでも示している。そのための方策として挙げたのが、次の項目だ。
  • 貿易金融、認証、マーケティングという「輸出に伴う3大隘路」を集中的に解消する。
  • 貿易に携わる若年層育成とデジタル貿易拡大により、輸出の裾野を拡大する。
  • ASEAN・中南米・アフリカなどの新興国、中東などの資源国に対して、輸出を支援。これにより輸出先の多角化を進める。
  • 原発、防衛産業、プラントの「3大有望分野」で、輸出拡大を推進する。
  • 大統領主催の「輸出戦略会議」を通じ、政府を挙げて輸出支援戦略を推進する。
以上の項目には、さまざまな次元の対策が含まれている。(1)輸出先、(2)輸出品目の2つの視点で整理すると、次のようになろう。
  1. 輸出先の多角化
    まず輸出先については、中国に対する輸出依存度を低める狙いが込められていると読み取れる。ちなみに、対中輸出が輸出総額に占める割合(2022年)は22.8%。これに香港を加えると26.8%と、4分の1を超過する。 中国に代わる輸出先として、韓国政府が特に注目しているのが、ASEANと中東だ。 ASEANについては、文在寅(ムン・ジェイン)前政権も、「新南方政策(注4)」を展開してきた。
  2. 尹政権になってからは、「新南方政策」という用語は使用していない。しかし、2022年12月28日に「自由、平和、繁栄のインド太平洋戦略」を発表。
  3. 前政権同様に、ASEAN諸国との関係強化を図る考えを示した。実際、輸出総額に占めるASEAN向け輸出の割合も上昇傾向にある(注5)。ASEANは中国依存度を低める上で、切り札になり得る地域といえよう。 中東については、尹大統領は2023年1月に早速、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問。経済のさまざまな分野で、両国が協力していくことで合意している(2023年1月18日付ビジネス短信参照)。ただし、中東向け輸出が輸出総額に占める割合は2.6%(2022年)にすぎない。その存在感が急速に高まることは期待しづらいだろう。
  4. 有力輸出品目の育成
    産業通商資源部は2022年8月31日、「輸出競争力強化戦略」を発表した。この戦略で、前述の原発、防衛産業、プラントの3業種について「大規模輸出プロジェクトの成果を上げる」と、決意を示している。同時に、「主力産業で他国との技術格差を維持する」「バイオ医薬品、車載電池、消費財などの輸出有望産業の成長を支援する」と記載。原発、防衛産業、プラントとともに、これらの業種の輸出を強化する考えだ。
    とはいえ、新しい輸出品目を育成していこうというのは、尹政権になって初めて打ち出された政策ではない。例えば、産業通商資源部が毎年、年初に発表する前年の輸出入実績(速報値)をみると、2020年以降は主力の15品目(注6)の輸出入実績とともに、「新規有望3品目(有機EL、ソリッド・ステート・ドライブ、マルチチップパッケージ)」「5大有望消費財(農水産食品、化粧品、ファッション・衣類、生活・乳児用品、医薬品)」の輸出入実績が別途、掲載されている。それ以前にも、品目に若干の違いがあるものの、輸出有望品目が別掲されていた。こうしたことからも、新規品目の輸出拡大を目指した歴代政権の姿勢を垣間見ることができる。
    にもかかわらず、近年、主要輸出品目には変化があまりみられない。実際、韓国の主力輸出品目(韓国独自の分類体系のMTI3桁ベース)の変遷をみると、2000年以降はほぼ同じ顔ぶれだ(表参照)。意気込みがあっても、実際に有力品目に成長させるのは難しいということだろう。
    尹政権も、このことに危機感を持っている。そこで打ち出されたキーワードが「産業大転換」だ
  5. 産業通商資源部は2023年1月26日、「産業システムの根本的改善のための産業大転換を本格推進」と題したプレスリリースを発表した。これは、「産業大転換フォーラム座長会議」の第1回会議の結果をまとめたものだ。この会議は、2023年上半期に発表予定の「産業大転換戦略」策定に当たって設けられた。会議では政府や専門家、経済団体の関係者が参加・議論した。


プレスリリースによると、「産業大転換」の必要性について、参加者から次のような見解が示された。
  • 2000年代以降、韓国の産業は「失われた20年」に陥っている。主要輸出品目に変わりなく、新しい主力輸出産業が育たなかった。
  • 半導体などを除いて、主力産業が中国企業の追い上げに直面している。特に中国市場では、半導体メモリーなどの限られた品目だけが、かろうじて競争力を保っているにすぎない。
  • 10年後の主力産業の姿が見えない。このままでは、韓国経済は現在の水準で停滞する。産業立国の地位を失いかねない。


岸田首相夫人異例の単独訪米へ 批判投稿に「長男」と「安倍昭恵氏」が登場る謎解き

2023-04-01 17:00:38 | 日記
岸田首相夫人異例の単独訪米へ 批判投稿に「長男」と「安倍昭恵氏」が登場る謎解き

公開日:2023/03/30 15:35 更新日:2023/03/30 15:35


欧米歴訪の際には長男・翔太郎氏を同行した岸田首相(右は木原誠二官房副長官)/(C)日刊ゲンダイ拡大する


 岸田文雄首相(65)の妻である裕子夫人(58)が4月にも訪米し、バイデン大統領(80)の妻であるジル夫人(71)と面会する方向で調整している──と、NHKで報じられ、ネット上で賛否が飛び交う事態となっている。

 報道によると、5月に岸田氏の地元・広島で開かれるG7サミットを踏まえ、日米関係の強化に向けて、「首脳夫人間でも信頼関係を構築する狙い」があるというのだが、総理夫人の単独訪米は異例だろう。

 SNS上では、《奥様同士で仲良くするのはいいこと》といった受け止めがある一方、《日米の首脳夫人が2人で面会してどうなる? お茶してバイバイになるだけでは》といった否定的な見方も少なくない。

■「首相夫人は公人ではなく私人である」と閣議決定

 批判的な投稿の中には、岸田氏の「長男・翔太郎氏」と「安倍晋三元首相の夫人・昭恵氏」に触れるものも少なくない。

 昨年10月、岸田氏は長男の翔太郎氏(32)を首相秘書官に抜擢。

「身内びいき」「縁故採用」との批判が続出する中、翔太郎氏は1月に岸田氏の欧米5カ国訪問に同行した際、公用車でパリやロンドンを観光していたことから、国会質疑で「公私混同」と大論争となった。