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韓国、「出生減」地方大学に大量廃校危機、2040年代に半分の約200校「存続不可能」

2023-04-25 18:01:09 | 日記
韓国、「出生減」地方大学に大量廃校危機、2040年代に半分の約200校「存続不可能」



2023年04月24日

  • 韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評

   
韓国の合計特殊出生率は、0.78(2022年)と史上ワースト・ワンになっている。

これは18年後の大学進学時に受験生が急減すことを予告している。

この結果、2040年代には学生不足の結果、約200校(現在385校)が閉校危機を迎えるという。

韓国では、2000年代に入って19校が学生不足で閉校になった。

この間、日本でも17校が閉鎖(2023年まで)した。現在、2校が学生募集を停止すると発表している。

偶然だが、日韓がほぼ同じペースの大学廃校である。

ただ、韓国の4年制大学進学率は64.69%(2020年)、日本が50.85%(同)である。

韓国は世界2位、日本が13位である。

韓国の進学率は、「目一杯」である。ただ、短大や専修学校から4年制大学へ進学先を変えれば、大学進学率を上げられる余地はありそうだ。

『韓国経済新聞』(4月23日付)は、「韓国の地方大学廃校問題、地方大学だけの問題ではない」と題するコラムを掲載した。筆者は、呉世正(オ・セジョン)ソウル大学総長である。

韓国で2000年以降に廃校した大学は19校で、そのうち18校が地方大学だ。

また、今年の大学定時募集で定員を満たせなかった大学は60校ほどだったが80%が首都圏以外の大学だった。

来年には大学入学資源が今年よりも5万人ほど減るため状況はさらに深刻化するだろう。

(1)「ソウル大学社会発展研究所と韓国保健社会研究院の研究によると、学齢人口減少のため2040年代には韓国の大学385校のうち半分ほどだけ生き残るという。

おそらく廃校になる大学の大部分は地方大学だろう。人口学者の予測によると20年後には首都圏の大学の定員だけで全国の学齢人口をすべて受け入れられるようになる。

すなわち現在の首都圏大学人気が続くならば、地方大学は1校も生き残れないという予測だ。

果たして韓国の政界はこうしたことが起きるよう放っておくだろうか。

遠からず首都圏の大学も定員を減らせという強い圧力を受けるほかない。首都圏の大学もいまから定員縮小に対する備えをしなければならないだろう」

韓国では、大学も受難期を迎えている。入学してくる学生がいなくなるからだ。すでに大学進学率が高いだけに、学生数では限界に達している。

(2)「最も直接的な影響を受けるのは、地方大学とその大学が所在する地域だろう。

大学が廃校すれば当然その学校に通っていた学生や教職員が最も大きな被害を受けることになり、これとともにその大学があった地域社会も少なくない影響を受けることになる。

地域商圏が崩壊するだけでなく地域人材を活用した企業も多くの困難を経験することになるためだ。

さらに大きな問題は地域蘇生の種がなくなるという事実だ。

韓国はすでに地方消滅を防ぐために多くの政策を繰り広げた。

「地域均衡発展」というスローガンの下に政府機関や公共機関、公企業を地方に移転したり地域人材の義務採用制度を実施したりもした。

しかし不幸にもこのような政策は効果がわずかだった。

結局、地域を生かすためには過去とは違う発想の転換が必要なのだ」

韓国は、首都圏と地方の格差が極めて大きい。

就職先も首都圏であり、地方は付属物という形である。

これは、李朝時代の専制体制で行政・商業が、すべてソウル中心であった結果である。

ここから一歩外へ出れば、「闇」という関係であった。

この遺風が、今も続いているのだ。

日本は、江戸時代の封建体制において、各藩が幕府を支える体制であった。これが、地方発展のテコになっている。それぞれの歴史を理解しないと、日韓の真の姿は分からないであろう。

(3)「韓国で、地方消滅を防ぎ国土の均衡発展を成し遂げるためには、地方に研究中心大学を育成するしかない。

大学が地域発展の核になり先端産業を振興してこれを通じ地方に人口を流入させてこそ首都圏集中現象も緩和され首都圏での深刻な競争も減らせるだろう。

人口が集中した首都圏の出生率が最も低い点を考えれば、これは出生率低下防止にも効果があるだろう」

韓国は今後、地方を発展させなければならない課題を背負っている。

韓国が、封建時代を経験していないギャップは大きい。専制時代から直接、日韓併合による近代化路線へ入った結果だ。

世界で、封建時代を経験しているのは欧州と日本だけである。

(4)「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、教育分野の主要国政課題のひとつとして「いまや地方大学の時代」を掲げて地方所在の研究中心大学を育成すると宣言した。

これを受け教育部は30校ほどの「グローカル大学」を選定し5年間に1000億ウォン(約100億円)ずつ支援するという

世界的な研究中心大学の年間予算が5兆ウォン以上(約5000億円)であることを考えればこうした支援金額は極めて少ないが、ひとまず始める意味はあるだろう。もちろん地方大学の骨を削る自救努力も必須だ」

尹氏は、大変な時期に大統領になった。

韓国の抱える課題が、すべて尹氏の手腕にかかっているからだ。

文前大統領は、こういう難題の存在も知らずに5年間を過ごしていた。「幸せな」大統領であった。