日本と世界

世界の中の日本

韓国世論は「反日・非合理」、尹政権の難題解決の足引っ張る「自滅型国民性」

2023-04-04 10:23:46 | 日記
勝又壽良のワールドビュー
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。


韓国世論は「反日・非合理」、尹政権の難題解決の足引っ張る「自滅型国民性」

2023年04月03日

  • 韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評
   
落込む大統領支持率
尹氏の合理的な背景
日韓経済は親子関係
年功序列はアナログ

日韓首脳会談が、行われてから2週間経った。韓国世論は、旧徴用工賠償問題の国内解決策に対する不満が渦巻いている。こうして、尹(ユン)大統領への支持率は30%へと低下した。日本の謝罪がないことへの不満や、その後に発表された日本の教科書が、竹島を日本領であると記載していることを理由に、日本非難の声を大きくしている。さらに、福島産など魚介類が原発に汚染されているので、絶対に輸入させないと息巻いている。この問題は、科学的に無害が証明されているにも関わらず、感情論によって拒否しているのだ。

まさに、韓国世論は手をつけられない状態である。この裏には、最大野党「共に民主党」代表の李在明氏が、横領・収賄罪などいくつかの罪名で在宅起訴されていることへの非難をかわすべく、反日を声高に叫ぶ戦略も隠されている。こうして、二重三重の思惑が反日論へ結びついていることは疑いない。

この根底にあるのは、韓国世論の「非合理性」である。物事を理性的に捉えず、感情論で反応していることが、問題を複雑にしている。福島原発問題も、決して科学的に理解しようとしないのだ。韓国原子力学会が、無害であると立証しても騒ぎ立てる。こうなると、日本側は説得のしようがなくお手上げだ。「お好きにどうぞ」と言う心情になろう。

落込む尹大統領支持率
尹錫悦大統領の支持率は、前記の通り30%まで下落した。これは、昨年11月第4週(30%)以降で最も低い数値である。韓国ギャラップによると、尹大統領の肯定評価は30%、否定評価は60%である。肯定評価の理由では、「外交」がトップで12%。否定評価では、こちらも「外交」がトップで21%だ。このように「外交」への評価が、肯定と否定で完全に分かれている。旧徴用工賠償問題が、肯定・否定で割れたのだ。

韓国世論には、日韓関係改善によって韓国にどのような効果をもたらすか。そういう「未来」の視点を見出せないのだ。「謝罪がない」とか、「独島(竹島)は韓国領」という感情的な反発が全面に出ている。独島は、韓国が実質支配している。これに安心できず、空騒ぎしているのだ。韓国が、「横取りした」という意識なのだろう。

最大野党「共に民主党」は、旧徴用工賠償問題解決策に対して「国政調査権」を発動させる動きを見せている。韓国メディアによると、首脳会談を対象とした国政調査は異例とされる。「共に民主党」所属の国会議員82人は3月29日、首脳会談をめぐる政府の対応の真相究明を図るとして、国政調査を求める要望書を国会に提出した。
これによると、韓国が首脳会談で日本に対して行った約束やその後の韓国が行った諸施策のすべてを洗い直すというもの。文政権が、日韓慰安婦合意を白紙にさせたと同じ動きを見せているのだ。問題点として、次の点を上げている。
1)元徴用工問題の政府解決策
2)訪日中の竹島(韓国名・独島)や慰安婦問題に関する議論や言及の有無
3)福島県産水産物の輸入制限措置の解除要求の有無
4)韓国側が先にWTO(世界貿易機関)への提訴を取り下げたことや、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の正常化問題

「共に民主党」は、国会で絶対多数を占めている。結論はどうなるか不明だが、韓国の外交的な信頼を落とすことは確実だ。この裏には、李在明代表への嫌疑を薄める狙いがあるとも指摘されている。個人の利害が、国家の信頼を揺さぶる公私混同が起こっている。韓国政治の一断面を見せつけているのだ。

韓国左派は、日韓関係の不安定化に全力を挙げてきた。日韓関係を不安定化させて、北東アジアの安保を支える日米韓三カ国の協力体制を揺さぶる狙いとされる。文政権が、こうした左派の狙いを実行に移したことは容易に想像できよう。左派にとって、反日は反米の消極的な表現である。それは、親北朝鮮と親中国への積極的な表現と見なされている。「反日米・親中朝」は、左派の共通項であるのだ。

最近、強く驚かされたのは、韓国左派の主力である全国民主労働組合総連盟(民主労総)幹部が、数年間にわたり北朝鮮のスパイを働いていた容疑で捜査を受けている事件だ。民主労総は、110万人以上の労働組合員を擁し、韓国二大労組の一角を占める。その幹部が謝金を得て、スパイの手先になっていたのだ。おおよそ、100回の北朝鮮指令文を受け取り、約30件の報告文を作成して北朝鮮に送ったことが判明している。

尹氏の合理的な背景
尹大統領は、検察出身である。検察は、犯罪捜査で一つ一つ証拠を積み上げて事件を立証しなければならない。これは、尹氏が職業的にも合理性を身につけていることを示している。もう一つ、韓国検察は日本の検察制度を導入している。このことが、日韓検察を結びつけている絆になっている。尹氏が、合理的でありかつ知日派であるのは、職業から得たものと言えよう。

さらに付け加えれば、尹氏の父親(大学教授)が日本へ留学していたことから、尹氏も、たびたび日本へ来た経験があることだ。これは、読売新聞のインタビューでも答えている。「ウナギ」がおいしかったなどの思い出を語っているのだ。尹氏は、こうして日本への良いイメージができているので、左派とは異なり日韓関係改善に向けて何らの抵抗もなく着手できたのであろう。