こだわりメモ帳

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・ こんな本

2011年12月25日 | ◆ こんな本


葭の髄から


 暮れとなるが、ことし本が読めたのかどうか。
文春の佐和子さんの対談は毎号おもしろく読んでいるが、
毎土朝のBSTV佐和子の対談は、地でいけているようないけてないような、
はやく毎回が地で行けるように応援したい。
この御父君の書き物はいい。
文芸春秋巻頭エッセイはいつも読ませる。「天皇さんの涙」

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・ 百先生月を踏む

2011年10月12日 | ◆ こんな本



 この本とどこで出会ったか定かでない。
この物語は作者のフィクションと巻末に付記されているが、
好きでたまらないという風情が、隅々まで溢れていて、
文章まで似てるのでないかと思ってします。
執筆中に急逝とあり、未完で末章はおわっているが、
本で読む縦書きの日本語のうつくしさ、つづりかたの美しさが独特である。

百先生月を踏む  より

 四月某日。
 久しぶりに日記をつけてみようか、という気になった。長つづきするかしないかは、私の周辺に何が起こるか次第であって、私の克己心や精神の持続性のせいではない。
 春先から左の耳の奥で遠慮がちにヴァイオリンが鳴り出し、桜のころに何やら感傷的なメロディーになったと想ったら、昨日それがサラサーテの<チゴイネルワイゼン>だと判ったので、早速小田原のレコード屋で買ってきて、右の耳で聴き比べてみたら、やはり<チゴイネルワイゼン>だった。岡山の中学生だったころから聴き憶えはあったが、なぜいまごろ帰ってきたのか解らない。
・・・・・・

百日記帳  より

内田百の小屋
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・ 夏によむ

2011年08月14日 | ◆ こんな本


asahi.comより


  夏にはいる前、ある週刊誌でこの作家を知る。
自分を偽らず、正直に生きていることがすぐ判る記事であった。
それからすぐこの作家の予約をいれて読みはじめた。
最初が「乳房」、女優夏目雅子が若くして死んだことは知っていたが、
旦那が作家であることはあとで知った。
これを読むと、どれだけ惚れていたかよくわかり、物書きの悲しさを知る。
その後、今年のヒット作という「いねむり先生」を読むことになる。
この小説の主人公は知ってはいたが、わき道の小説家とひとりゴチていた。
ナルコレスピーとは不思議な病気をもち、考えられない症状であることが
私小説風のこのヒット作によく描かれている。
その後、病気の主人公が書く「引越し貧乏」を読むと、つれ合いとの生活が垣間見れ、
次の興味は、嫁はどんな女であったかにつづく。
知らなかったが、嫁もだんなを送ったあと、私小説を書いている。
このいとこ同士は、籍を同じにしてないがいい連れ合いであった。
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・ 引越貧乏

2011年08月07日 | ◆ こんな本


ナシ


 暑いときは中で本読みにかぎる。
伊集院静を読んでいて、色川武大『引越貧乏』、『狂人日記』に
繋がってきたが、暑いときにちょうどいい。
ナルコレプシーという奇病のせいだろう、若いときから平凡でない生活と、
戦後の時代背景や、体験できない病気のこともあり見れない世界が垣間見えた。
50才の記念企画でスタートしたが、遅筆もあり60才になりようやく完結。
この短編集は10年の歳月が7篇の裏の流れになっている。
面白かったのは、夫婦の会話形式ですすむ「引越貧乏」で、
二人は従兄妹通しとどこかにあったが、世間にこんな夫婦もあるのや。色川武大(1929-1989)




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・ 南洲残影

2011年07月27日 | ◆ こんな本


『南洲残影』 ・江藤淳より


 何かのきっかけで南洲残影をよむ。
暑い中で読み始めたが、これを吹き飛ばし何故かおもしろい。
作家は西郷が好きだったのだと感じたが、
あわせて明治改革の凄さ、悲しさをおもい知る。  『南洲残影』

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・ 写真の世界

2011年07月19日 | ◆ こんな本


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表 紙
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本文1頁目
(府立図書館の蔵書ながら青梅図書館から来てる)


 日ごろ楽しむ写真は、身近な写真芸と言えるのか・・・・・

見て楽しい、見てハッとする写真ができるといいと、
日々ここに向かっているつもりで、
写真は撮って始まるから、まず何を撮るかで分かれる。
つぎに、仕上げた後、できたものを見分ける目がいる。
これがなかなか曲者で簡単でない。(写真家ブログ)
教室では、いい日本画をたくさん見なさいとよく言われる。
この「美を求めて」という本は子供のために書かれたと聞いたが、
著者小林秀雄は、美しいものは人を沈黙させる力があるという、
絵や詩や音楽はよく見て聴いて感じなさいと。
いいものに感じるやさしい心をやしなうことが肝要とある。

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・ 今年は不作で

2010年12月26日 | ◆ こんな本

海遊館   2010.12.21



 この写真は最後の撮影会のもの。
不作とは本読みのことで、
残念ながらこの一年、いいものに出あえなかった。
夏休みころ読み始めた長編大菩薩峠は、背景説明や歴史コメントが
面白くはいり、話しの展開も斬新だったが文庫7巻目で挫折、
エンドレスを感じはじめ、とても20巻までいけなかった。
梅原猛「葬られた王朝」が面白かったが、
12月、最後にきた「アメリカン・デモクラシーの逆説」渡辺靖著が一番になる。
「貧困大国アメリカ」新旧では、さみしい姿を見せられたが、
その一年近いあと、厚みのある奥の深いアメリカが見れた。
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・ 大菩薩峠

2010年09月01日 | ◆ こんな本
文庫版


 暑い日はなにもできない。何もできない日は、本読みにかぎる。
机竜之介なる孤高の剣豪長編小説、くらいの印象しか持たなかった「大菩薩峠」、
幕末混乱期を背景に、土方歳三らとも絡むと知り面白そうで読み始めた。
何せよこの時代は、どの切り口からも興味深いものがある。
 時代は幕末、「音なしの構え」を使う剣客・机竜之介は大菩薩峠で
老巡礼を無慈悲にも辻斬り混乱の中、同郷土方歳三ら新撰組もからみ
古事、伝承を広く背景にしながら物語が京都、竜神、伊勢、江戸へと広がる。
後半は白骨、勿来、恐山まで展開する模様。
史実と着想がない交ぜとなる大型エンターテーメントが面白い。

 (文庫版語句・表現について 筑摩書房編集部編集付記より抜粋)
 介山の作品が、「人間界の諸相を曲尽して、大乗遊戯の境に参入するカルマ曼荼羅の面影」を捉えることを目指し、
民間信仰の基層に思いをこらし、疎外された人々の姿を共感を持って描き出したのは当然なことであった。
 ★★★中里介山(1885-1944) 大菩薩峠(1913-1941)ちくま文庫全20巻★★★



  伊勢 間の山節 (あいのやまぶし)・・・伊勢古市の場面でうたわれる

ゆうべあしたの鐘の声 寂滅為楽と響けども 聞いて驚く人もなし 
花は散りても春は咲く 鳥は古巣へ帰れども 生きて帰らぬ死出の旅
野辺より那処の友とては 金剛界のまんだらと 胎蔵界のまんだらに 
血脈一つに珠数一連 これが冥土の友となる

(半地元民ながら、間山とは外宮と内宮を通じる道、秀吉が道をひらいたこと共に知らなかった。)
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・ 日本の美

2010年06月22日 | ◆ こんな本
  東山魁夷・「日本の美を求めて」
講談社学術文庫 S51年


 ことしは梅雨らしい梅雨となり、まことに鬱陶しい。
そんななか、予約をしていたが入り、没頭する。
  風景  自然と色彩 から
日本列島は程良い緯度に位置し、・・・
湿潤な気候を持ち、樹木の種類も多く、よく繁茂している。・・・
湿潤な気候は霧や霞を伴い易く、
抑制された柔らかみのある独特な色感がうまれる。・・・
きめこまやかで味わい深いという点で、
世界にも比類の無い風景といえる。

きめこまやかで味わい深い、という所に凝縮が有るように感じる。
このあと、若いころのヨーロッパへの船旅の行き帰りの体験や、
北の果てから南の果てまで、海をながめる旅あるきから、
日本の海が、群青色と緑青色からなるどこにもない色彩だ、と続く。
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・ 貧困大国アメリカ Ⅱ

2010年03月29日 | ◆ こんな本


メラスフェルラ 2010.3.29


_ 若いころ、むしょうにNYに行ってみたい時期があった。
メトロポリタン美術館やセントラルパーク、それより何より
今はなきWTCやウォール街、摩天楼などなどを眺め歩きたかった。
夢は叶わなかったが、これらの本で読み知ると夢破れる思いである。
『貧困大国アメリカ Ⅱ』(堤未果著 岩波新書)は、なまなましい現況をレポートしている。
若者は高騰する学費のローンで破綻し、
高齢者は不況による年金カットで疲弊し、
最高の高度医療ながら低所得層は無保険社会、
刑務所労働がローコストの巨大なアウトソーシング先に。などなど
前回第1弾にも増してきびしい現実がさらけ出されている。
オバマ念願の医療保険で加入率95%まできたが、国勢が二分したよう。
自由と自律がバックボーンの国も裏面はきびしい。
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