こだわりメモ帳

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・ 「美の旅人」

2007年06月04日 | ◆ こんな本

神戸梟 retouch

 『絵画というものは、時代背景がどうあれ、画家の製作意図がどうあれ、
鑑賞者にとってわかりやすくなくてはならないと、私は思う。
・・・中略・・・
わかりやすさとは、素直に人々の胸へ入ってくる最大の条件だと私は思う。』・・・伊集院 静・著 「美の旅人」 より

モネの絵画をオルセー美術館で見て、モネがその代表であると言っている。
自分が好きなモネだから言うわけではないけれど、この箇所は絵を見るとき大いに味方になってくれる所見で、
これからは絵を見るとき、少しだけ気が楽になるかもしれない。
翻って、写真をつくるとき、この事は忘れてはいけないと自戒すべし。
美術本はいろいろあるけれど、この本は作家が世界の名画を美術館に追っかけて
自分の言葉で歴史や背景、情感を披露している。
固っ苦しい美術解説本からは入ってこない楽しみが得られる。


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・ 立花隆 「宇宙を語る」

2007年05月25日 | ◆ こんな本

神戸梟 retouch


 まだ読み終えてないけれど、これ面白い。
作品展準備の日、早く着き過ぎ立ち寄った近くのジュンク堂大阪本店の新刊コーナーで飛び込んできた。
好奇心旺盛な立花隆が、4人の日本人宇宙飛行士とフライト経験を対話する。
人はなぜ宇宙へ行くのか。
毛利衛、向井千秋、菊池涼子、野口聡一、体験者の生の話は刺激的で貴重である。以下はその一部。
  ・宇宙で無重力に慣れるのも、帰還後重力世界に慣れるのも体は3,4日で対応する。
  ・地上の無重力訓練時の体験と、宇宙での無重力体験はもう非常に違う。
  ・宇宙船にウォシュレットは付いてなく、小はきれいな水にした分だけ細いチューブから放出する。
  この時、またたくまに氷の粒となりキラキラ光って見える。
  ・星はチカチカせずくっきり見え、暗黒の世界の黒は、たとえようの無い暗黒である。
  ・地球を見て、「なんて荘厳で気品があるのだろう」
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・ 「台湾人と日本精神」

2007年05月03日 | ◆ こんな本

神戸梟 3


 今、台湾はオリンピック聖火の通り方で渦中にある。
時代が進み、中国もオリンピックが開催できるまでになり、大人の解決をみつけることであろう。
司馬遼太郎「台湾紀行」は、1993.7.2号からの週刊朝日連載で、亡くなる3年前の仕事である。
この本の現地取材の水先案内をしたのが蔡焜燦・サイコンサン、本の中では「老台北」・ラオタイペイとして登場する。
分かりにくい台湾事情は、この「台湾紀行」と「台湾人と日本精神」のふたつでよく理解でき、
聖火問題も台湾側の事情を応援したくなる。
この本では、日本人がもっていた「公」の心を書き記す熱い思いが印象的で、それと、
台湾人と中国人の決定的な違いは、「公」の観念の有無である。と言い切る。
一度販売中止となったこの本が、再び出版されて良かった。
この本はといえば、OB会報の編集長が携えていて教えてもらった。
昨秋から発信中の週刊「ジャズ雑記帖」にも熱が入っている。
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・ 「N.Yのとけない魔法」

2007年04月08日 | ◆ こんな本

和み梟・神戸 070313


 ニューヨークは12月がもっとも美しいらしい。
行ったことのない町ニューヨークの印象は、人種の坩堝、大きいだけの冷たい町の印象がこの本を読み変わった。
世界一お節介で、おしゃべりで、図々しくて、でも憎めないニューヨーカーたち。
東京と同じ大阪と同じ孤独な大都会なのに、人と人の心が触れ合う瞬間に満ちているらしい。
みんな切なくて人恋しくて、でも暖かいユーモアを忘れない。ニューヨークはそんな町らしい。
岡田光世・著 「ニューヨークのとけない魔法」を読んで楽しくなった。
しゃべれないけれど、出てくるいろんなフレーズがおもしろい。

Long time no see!*******しばらくぶりだな。**(おお、元気か。 Long time no see! しばらくぶりだな。)
I'll be back.*************また来るわ
Bye now.***************じゃ、さいなら
Do you have the time?****今、何時かわかりますか? (見知らぬ人との会話のきっかけ)

**N.Y情報にはこんなWEBサイトもある。「ニューヨークの総合情報サイト」
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・ 「暗 闘」

2007年03月06日 | ◆ こんな本
 著者は昨年司馬遼太郎賞を受賞し、今年の菜の花忌会場で受賞スピーチをした。
その話し振りは、現場の第一線で活躍する学者型研究者というイメージで映ったが、
受賞作を語った中味がおもしろそうで、花園図書館から借り出し読みふけった。

「暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏」長谷川毅著 中央公論 2006.2刊  3,200円

中味は、
太平洋戦争はいかに終結されたか、日米ソの動きを詳細に調べ書き上げたもので、
ソ連の動きを含めた太平洋戦争の歴史書はかつて存在していない。
トルーマンは原爆投下しソ連参戦前に戦争終結をはかった。
スターリンは、日本が降伏する前に満州に侵攻、参戦することが最大の目標であった。
無条件降伏を天皇が受諾した8月14日以降に、ソ連軍は満州、樺太に侵攻した。
さらに、千島、北海道への攻撃を命令し、千島を占領する9月5日まで侵攻は続いた。
日本はソ連を頼りに戦争終結を願望し、ソ連は日本を国益追求に利用した。
和戦派は天皇制維持のため早期終結を、継戦派は国体維持のため本土決戦を画策。
継戦派は原爆投下後もなお継戦を続けた。
「現人神」から「人間天皇」への転換は、戦後占領下になされたのでなく、
降伏決定の過程のなかですでに行われていた。などなど、
歴史教養にうとい身にとり、新発見もあり大変おもしろい本であった。
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・ 「外交敗北」

2007年03月05日 | ◆ こんな本
 気になる新刊本は図書館に予約を入れ読むに限る。
読後の保管場所はいらず家計にやさしく、年金生活者の基本的生活である。
読み始めたホンが全部おもしろいとは限らない。
むしろ全部読み通せるほどの当りは半分も無いのでは。
そんな中、このホンはおもしろかった。

「外交敗北」 重村智計著 サブタイトル 日朝首脳会談と日米同盟の真実 講談社2006.6刊

TVにも出ていて、いつも簡明直裁にコメントしている著者のめちゃめちゃ良く判るおもしろいホンである。
中味のポイントは、
2002年、米国が北朝鮮の濃縮ウラン計画を知り対北路線を変えようとしていた時、
それを読めぬ外務省のペースで、米にも知らせず小泉首相は
北と首脳会談を実現させ、日朝国交化へ動き始めていた。

拉致解決と核放棄で、我国がとる外交スタンスを示唆している。

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・ 「人はかつて樹だった」

2007年02月10日 | ◆ こんな本
 ラジオ深夜便、04時過ぎからの「心の時代」で先日聞いた。
聞いたとはいえ半覚醒で、とばしとばしだったが話は大変に気になっていた。
あとから確かめてご本人長田弘著「人はかつて樹だった」を読む。
本では余りわからない事を、放送の中でしゃべっていた。再放送されればいいのだが。


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・ 「バイオポリティクス」

2006年10月16日 | ◆ こんな本

とんがり梟


 生命倫理の分野で、この9月10月に報じられたものだけでも、変やなーと思う出来事がいくつか有る。

09月 慶大病院で、受精卵の着床前遺伝子診断・良性悪性判断を行った後、今年3月に出産。
10月 宇和島で、親族基準に合わない腎臓移植を実施。ドナーに現金30万円や約150万円の新車提供。
10月 11月米中間選挙で共和党は倫理観で苦慮苦戦。ブッシュはヒト胚研究慎重論で2004年を勝利している。
10月 タレント向井亜紀夫妻が、米国で代理出産により男児を得るが、品川区は出生届不服で最高裁へ。
10月 長野で、祖母が娘夫婦の子を代理出産していた。

たまたま新聞の書評欄で見つけた本を読み、これらの分野の最新状況を知る。
人の命はいつ始まるのか-これがアメリカで大統領選挙の争点になったり、臓器移植、
韓国のヒトクローン胚捏造論文など、生命をめぐる技術革新と人間感情の間にギャップが出来てきている。
さらに、肝臓や腎臓の移植はインドが約100万円と最も安いとか、
脳死者の皮膚、アキレス腱、心臓弁、血管、角膜、インプラント用人骨粉末等がNPO組織で売買されているとか、
美容整形用の皮膚は、一人の供給者で100人は賄えるとか、ヒト組織の再利用は驚愕の状況も示されている。
『「バイオポリティクス」人体を管理するとはどういうことか』 著者:米本昌平、中公新書 840円。2006.6.25発行。
久しぶりに興味深い本を手にした。
それにしても、この分野で日本は全くの法未整備の後進国だそうである。心配だ。
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