
お久し梟
6巻目が終ってしまった。 読んでいて長い小説だと思わず、どれもずーっと面白い。 身内に関係者はなく、戦争の様子は本でしかわからないが、 大国ロシアの負けは、悪しき一君帝政と国民の力の低さ、 小国日本は、勝ちたい思いと民の気概、それと運のよさであろうか。 司馬さんは、この巻のあとがきで記している。 『執筆は4年と3ヶ月、準備に5年ほどをかけ、自分の40代はこれで消えてしまった。 書き終えたとき、夜中の数時間ぼう然としてしまった。』 大仕事をおえたとき、あの大きな目の表情はどのようであったろう。 元来は、『書きおえたときの感傷を軽蔑する習慣を自分に果たしていた』そうであるが、 それを思うと、この数時間のぼーっは途方もない感慨であったのだと思う。 |