先月のことです。 NHK地元局のニュース番組をつけていたら、
奥さん 「孝造さん、亡くなったって。 ほら、人間国宝の」
への次郎 「えっ!!…」
現代美濃陶芸界の重鎮でした。 80歳を超えても作陶に向かう姿が時々、報じられていましたが…。
への次郎が加藤さんの作品を初めて見たのは、ずいぶん前のこと。 どこかの陶芸展だったと思います。 作家たちの作品を次々と見ていて、思わず立ち止まり、しばらく見入っていた作品がありました。加藤さん作品です。豪快なド迫力の志野茶わん、すさまじい存在感を放っていて、素人目にもわかる違いでした。
帰って調べたら、加藤さんは当時、岐阜県の無形文化財保持者。 「長生きをされたら、もしかしたら…」と思ったのを記憶しています。 それからしばらく経った2010年、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
亡くなってひと月、加藤さんの追悼展が始まったので行って来ました。
やって来たのは、岐阜県多治見市のとうしん美濃陶芸美術館。
「ここは、年金生活者にやさしいからなぁ」
入口はここ。チケット販売所はありません、無料ですから。
久しぶりの2回目。展示会場を探し、
ここから入って、右回りに進むと、
奥さん 「仙太郎窯の作品だよ??」
への次郎 「じゃ、向こうの方かな」
入口近くには、多治見の代表的な窯元の作品や、企業の商品が展示されていました。
円形回廊式の展示会場を進んで行くと、ありました。
ここからが、加藤さんの作品でした。
奥さん 「いきなり、瀬戸黒だよ」
への次郎 「これだね、人間国宝になったのは」
瀬戸黒は、火が燃え盛る窯の中で、釉薬が溶け出した瞬間を見極め、一気に引き出して水に浸け急冷することで、漆黒と独特の艶を出すそうです。ただタイミングが難しいようです。
上から下から、左から右から、丹念に鑑賞しました。
つぎにあったのは、志野茶わんです。
初めて見た、ごつごつとした志野ではなく、上品な志野でした。
こんなのもありましたよ。
唐津茶わんです。他に黄瀬戸茶わんもありました。茶わんの他には、
志野水指や、
灰釉花入、志野花入などもありました。
今回は、美術館所蔵の作品の中から、15点が紹介されていました。最後の方に来ると、
奥さん 「いいものがあるよ」
への次郎 「こんなの使って、呑みたいねぇ」
一番最後は、志野湯呑でした。
奥さん 「ほら、見て! 去年の作品だよ」
への次郎 「文字もしっかりしてるね」
この日、来ていたのは我々のみ。たっぷり時間をかけ、加藤さんの15作品を鑑賞しました。
出口(入口)に来ると、
奥さん 「えっ! この陶壁、加藤さん作だって」
への次郎 「ほんとだ。入るときは、気づかなかったなぁ」
右半分が織部、左半分が黄瀬戸。黄瀬戸は、下半分は艶があって、上半分は艶消しになっていました。題は「連」、2015年の作。
二人でしばらく鑑賞したあと、陶壁に手を合わせ、ここを後にしました。
謹んでお悔やみ申し上げます。