駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

ニュースから

2019年12月10日 | 駄日記
アフガニスタンで襲撃された中村哲医師のご遺体が8日に帰国した、というニュース。
素晴らしい人だとは聞いているが、詳しくは存じ上げないので、知ったかぶりするつもりはない。
しかし、どうにも納得いかず、やるせないのである。単にご冥福を祈るというだけでは済まされない、なにかがある。
非政府組織「ペシャワール会」の活動として、長年人道支援を行い、大きな成果を上げてアフガンの人々からも慕われ、その功績により名誉市民権を得て、今年のノーベル平和賞候補にも挙げられた。
帰国の際にはガニ大統領自身がひつぎを担いで見送ったほどに、国を挙げて悲しみ、悼んだ。

それに比べ、成田空港に到着したご遺体を待ち受けていた日本の体制はと言えば、TVの映像で見る限り報道陣に混ざって鈴木外務副大臣や外務省幹部ぐらいのもので、在日のアフガニスタン人の方が多かったように見受けられた。
志半ばで凶弾に倒れてしまったが、自身の命を削って人々の生きる糧を救おうと尽力してきた中村医師を、さすがに天皇陛下までとは言っては不遜だが、我が国の総理、せめて外務大臣よ、迎えてほしかった。

この理不尽なテロ行為、犯行グループが拘束されたというニュースを聞いたので、今後、全貌はつまびらかにされるかわかりませんが、この事件により何一つ益になるものがない、無意味な殺戮であることだけははっきりしている。
国の混乱だけが目的のテロというならば、ひたすら空しいし、たとえ犯行グループや糸を引く組織全員を死刑にしたところでこれもまた何も生まれない。
なぜこのような無意味な殺戮が行われるのか、新聞などでは詳しくは書いていない。しいて言えば貧困と地域的な宗教というぐらいの曖昧な分析だった。

中村さんは生前、米国の申し入れた医療関連の物資協力を、一切断っていたという。
それは、アフガンでは米国に対する抵抗感が激しく、物資援助を受け入れただけでこれまで地道に築いた信頼関係が一気に失われるというのだそうだ。そこまで徹底して築いた信頼を、一瞬で叩き壊す銃弾によるテロの、どこかに正義とか意味があるとするならば示してもらいたい。

そんな中、「BLOGOS」というサイトの中に、この事件の真犯人は巨大な麻薬組織であるという記事を見つけて、興味を引いた。
農業もできない干ばつ地帯では、「ケシ」のみが育ち、これが麻薬製造にもってこいという。
貧しくて、生きるためになんでもするしかない農民たちを、いいように操って莫大な裏資金を稼ぐ闇組織。
この組織が、貧しい農民のために肥沃な農地を目指して奔走する中村医師が目障りだったという。農業で農民が潤えば、犯罪と分かっているはずの麻薬の製造などしなくなるのが分かっているから。
ネット記事なので真偽のほどはわからないけれど、納得できないがうなづける推論だろう。
しかし、もしこれが真実だとしたら、これもまた空しい答えである。

このところ、日本でも芸能界はじめ、ごく身近な地域にも麻薬汚染が広がっていて、新聞の地方版でもそんな事件が毎日のように載っている。
一昨年だったか、『バリー・シール/アメリカをはめた男』というトム・クルーズ主演の映画を観た。
今年観たクリント・イーストウッドの『運び屋』もそうだが、どちらも実話に基づいた作品で、麻薬の運び屋をするだけで莫大な現金が手に入れられ、上手いことやって贅を尽くした末に、最後は悲しい現実が待っているという話。
命を懸けて危険な他国で人に尽くす人がいれば、一方で金に目がくらんで非生産的な薬物売買に手を染める人がいる。

貧困という罪に深く考えさせられる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする