古い日記を前のPCファイルで見つけた。
読み返したらあまりにくだらなく、ばかばかしく面白いので転記する。
去年だか一昨年、１月の日記である。
夕べのことである
名古屋は上前津のホテルで毎年恒例の大新年会があり、仕事の関係者約３００人近くが集まって盛り上がった。
宴会の余興では、若手社員を中心に何やかや出し物をするのも恒例である。
歌に踊りに漫談、寸劇と、趣向を凝らしてネタを披露するのであ～る。
かつてオレは、仕事場のどシロート集団を率いて大サンバ大会をやったことがある。
スルド、スネア、アゴゴ、クイーカ、タンボリン、ホイッスルetc・・
あちこちから楽器を集め、リズム感のないオヤジ達と練習をたくさんやった。
触ったことも、見たことすらない楽器をメンバーは頑張って練習してくれた。
汗をかきかき、何故だか知らないが血を流している奴までいた
振り付けも決め、万全を期して本番に臨んだ。
演奏はそこそこうまくいったが、女気なしのサンバっつーのはヤッパシさびしー。
ボインボインのおねーちゃんとひらひらの羽根と露出度いっぱいのコスチュームなしでは、クリープのないコーヒー、おかずのないご飯、気の抜けたビール、エロ本のないセン○リだった。
義理の拍手と、おつかれさんでした～というねぎらいの声を背に、オレは敗北感に打ちひしがれ、それ以降二度と人前に立つことはなかった。
そんなオレが何年かぶりに舞台に立ってしまった。
「今池おかま八楽坊」という出し物である。
女子十二楽坊のパロディーを例によってオヤジ集団でやろうというコンセプトだ。
さすがに音楽はＣＤをカマ、いやオケにして見た目勝負のコスプレ大会となった。
衣装は女子社員手作りの腰から割れるロングドレス、ハゲたオヤジにはズラに付け毛。
念入りに厚化粧をして気持ちを入れ替え、内股歩きで・・
オレは、いつもはひどいガニ股なのだ。
楽屋では、はじめのうちこそお互いに顔を見合わせては、「キモイ」だの「コワイ」だの言っては笑っていたが、慣れてくるとだんだん黙って手鏡で自分の顔を真剣なまなざしで点検していた。
良く見ると皆オカマの自分にウットリしているではないか。
かくいうオレも、肌のノリがとても良かったらしく、化粧してくれた女子社員たちの「わ、カワイイ！」「キレイだがー」「今日から店出れるが～」などの賞賛を浴び、駆け付けで飲んだビールのせいもありすっかりその気になってしまった。
一人通路で、ロングドレスで内股で歩く練習を黙々とこなした。
本番もオレは完璧に内股で踊りきり、笑いと絶賛の中メンバーともども勝利を収めた。
舞台は入れ替わり次の演目と移っていったが、本番後もオレたちオカマ軍団は、会場をそのまんまの姿で歩きまわリ、場内を魅了したのは言うまでもない。
イベントの時間も終了し、歓談の時間となった。
とりあえず衣装は着替え、化粧顔にスーツといういでたちのオカマ８人衆は、準備をしていたために何も食べられなかった分を取り戻すべく、料理にむさぼりついたのだった。
周りの人たちも化粧顔のオカマにだんだんと慣れ、普段と何ら変わりなくビールを注いだり、仕事の話を始めたり、違和感がなくなっていった。
頃合いを見計らって、司会が言った
「宴もタワケでございますが、そろそろお開き云々・・」
客がぞろぞろと会場を後にして行った後、オレたち８人はあたふたと余興の後片付けをし、二次会へと三々五々場所を替えて散っていった。
オレは居酒屋グループと別れ、カラオケグループへ混じりタクシーに乗り込んだ。
名駅近くのカラオケ屋で、得意のファルセットボイスでオールディーズヒットソングを次々と披露し、周りをノックアウトしたオレは最終電車へ乗り込んだ。
最終電車はさすがに酔客で混み合っていたが、何故かラッキーなことにオレは座れた。ツイてる。
しかも二人がけの座席の横にも座ってこないので独り占めである。ツイてる。
思えば、ホームで電車を待っている間もオレの周りに広い空間が与えられていた気がする。なにゆえ～？
ふと、車窓に映った自分の顔を見て気付いた。
きりりと書かれた眉、真っ黒に大げさなラインを入れた目元、きらきらとラメの輝く赤い頬、艶かしい真っ赤な唇。
ステージ顔のまんまだったのだ・・・
寝たふりをして事なきを得たオレは、豊橋駅からタクシーも考えたが、この際堂々と電車を乗り継ぐことに決めた。
タクシー代がなかったのだ。
開き直ったオレは、お見合い型の渥美線の車両での周りの視線は気になるはずであったが、その時はまだ酔いが残っており、恥ずかしいというよりも化粧顔を誇りたいようなオメデタイ気分であった。
電車を降りて家路を歩くオレの姿は、完全に内股だった。
読み返したらあまりにくだらなく、ばかばかしく面白いので転記する。
去年だか一昨年、１月の日記である。
夕べのことである
名古屋は上前津のホテルで毎年恒例の大新年会があり、仕事の関係者約３００人近くが集まって盛り上がった。
宴会の余興では、若手社員を中心に何やかや出し物をするのも恒例である。
歌に踊りに漫談、寸劇と、趣向を凝らしてネタを披露するのであ～る。
かつてオレは、仕事場のどシロート集団を率いて大サンバ大会をやったことがある。
スルド、スネア、アゴゴ、クイーカ、タンボリン、ホイッスルetc・・
あちこちから楽器を集め、リズム感のないオヤジ達と練習をたくさんやった。
触ったことも、見たことすらない楽器をメンバーは頑張って練習してくれた。
汗をかきかき、何故だか知らないが血を流している奴までいた
振り付けも決め、万全を期して本番に臨んだ。
演奏はそこそこうまくいったが、女気なしのサンバっつーのはヤッパシさびしー。
ボインボインのおねーちゃんとひらひらの羽根と露出度いっぱいのコスチュームなしでは、クリープのないコーヒー、おかずのないご飯、気の抜けたビール、エロ本のないセン○リだった。
義理の拍手と、おつかれさんでした～というねぎらいの声を背に、オレは敗北感に打ちひしがれ、それ以降二度と人前に立つことはなかった。
そんなオレが何年かぶりに舞台に立ってしまった。
「今池おかま八楽坊」という出し物である。
女子十二楽坊のパロディーを例によってオヤジ集団でやろうというコンセプトだ。
さすがに音楽はＣＤをカマ、いやオケにして見た目勝負のコスプレ大会となった。
衣装は女子社員手作りの腰から割れるロングドレス、ハゲたオヤジにはズラに付け毛。
念入りに厚化粧をして気持ちを入れ替え、内股歩きで・・
オレは、いつもはひどいガニ股なのだ。
楽屋では、はじめのうちこそお互いに顔を見合わせては、「キモイ」だの「コワイ」だの言っては笑っていたが、慣れてくるとだんだん黙って手鏡で自分の顔を真剣なまなざしで点検していた。
良く見ると皆オカマの自分にウットリしているではないか。
かくいうオレも、肌のノリがとても良かったらしく、化粧してくれた女子社員たちの「わ、カワイイ！」「キレイだがー」「今日から店出れるが～」などの賞賛を浴び、駆け付けで飲んだビールのせいもありすっかりその気になってしまった。
一人通路で、ロングドレスで内股で歩く練習を黙々とこなした。
本番もオレは完璧に内股で踊りきり、笑いと絶賛の中メンバーともども勝利を収めた。
舞台は入れ替わり次の演目と移っていったが、本番後もオレたちオカマ軍団は、会場をそのまんまの姿で歩きまわリ、場内を魅了したのは言うまでもない。
イベントの時間も終了し、歓談の時間となった。
とりあえず衣装は着替え、化粧顔にスーツといういでたちのオカマ８人衆は、準備をしていたために何も食べられなかった分を取り戻すべく、料理にむさぼりついたのだった。
周りの人たちも化粧顔のオカマにだんだんと慣れ、普段と何ら変わりなくビールを注いだり、仕事の話を始めたり、違和感がなくなっていった。
頃合いを見計らって、司会が言った
「宴もタワケでございますが、そろそろお開き云々・・」
客がぞろぞろと会場を後にして行った後、オレたち８人はあたふたと余興の後片付けをし、二次会へと三々五々場所を替えて散っていった。
オレは居酒屋グループと別れ、カラオケグループへ混じりタクシーに乗り込んだ。
名駅近くのカラオケ屋で、得意のファルセットボイスでオールディーズヒットソングを次々と披露し、周りをノックアウトしたオレは最終電車へ乗り込んだ。
最終電車はさすがに酔客で混み合っていたが、何故かラッキーなことにオレは座れた。ツイてる。
しかも二人がけの座席の横にも座ってこないので独り占めである。ツイてる。
思えば、ホームで電車を待っている間もオレの周りに広い空間が与えられていた気がする。なにゆえ～？
ふと、車窓に映った自分の顔を見て気付いた。
きりりと書かれた眉、真っ黒に大げさなラインを入れた目元、きらきらとラメの輝く赤い頬、艶かしい真っ赤な唇。
ステージ顔のまんまだったのだ・・・
寝たふりをして事なきを得たオレは、豊橋駅からタクシーも考えたが、この際堂々と電車を乗り継ぐことに決めた。
タクシー代がなかったのだ。
開き直ったオレは、お見合い型の渥美線の車両での周りの視線は気になるはずであったが、その時はまだ酔いが残っており、恥ずかしいというよりも化粧顔を誇りたいようなオメデタイ気分であった。
電車を降りて家路を歩くオレの姿は、完全に内股だった。
