足の向くまま森に来た。

不思議な音がするので木を見あげたら、リスが小さな手で実を持って食べている。
まだ春の若い子なのか少し油断している近さ。
昔飼っていたリスの名前でちょっと呼んでみる。
リスたちはみんなとてもよく似ていて、どの子もみんなあのこに見える。
リスは少しだけ離れてまた実を食べる。
死んだ子は私の胸に眠っているけれど、そうだ、どうせなら森に帰ればいい。
木の上の子と実を食べて跳ねて暮らせばいい。
寂しくなったらいつでも帰ってくればいいし。
いもしないリスを森に返して帰ってきた。
少し軽い胸を涼しい風が通り抜けていった。
